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記者が教える広報PRの方法

世界最大メディア出身 No. 1 コンサルタント 坂本宗之祐

シャープの発表文には、業績不調の原因がにじみ出ている感じがします【プレスリリース採点】


坂本です。先日思いつきで始めたプレスリリース採点ですが、意外にも好評をいただきました。

僕にとって当たり前のことでも、やはり業界外の方には物珍しく感じていただけるのですね。

「自分にとっての当たり前は、他人には当たり前ではない」。

僕が常々クライアントさんに言っていたことでした。この価値を改めて感じた次第です。

気を良くして2回目の採点をやります。ターゲットに選んだのは、最近何かとニュースを賑わせていた大手家電メーカーのシャープです。今や外資系企業ですね。

本日(7月11日)発表ほやほやのプレスリリースです。引用します。

 

シャープ、屋外のデジタルサイネージに適したLEDディスプレーを発売

晴天下でもくっきり表示可能な5,000cd/m2の高輝度(※1)を実現
LEDディスプレイ<VF-S601>を発売

 シャープは、晴天下でもくっきり表示可能な高輝度の実現により、屋外のデジタルサイネージに適したLEDディスプレイ<VF-S601>を発売します。

 本機は、5,000cd/m2の高輝度により、屋外やショーウィンドウなど、外光の射し込む明るい場所(※2)での高い視認性を実現しました。表示面はもとより、背面にも防水・防塵対策(※3)を施しているので、雨水や粉塵にさらされる環境下でも安心してお使いいただけます。さらに、LED素子同士の間隔が約6mmの狭ピッチなので、高精細な表示が可能となり、文字情報も鮮明に映し出します。

 また、本機を複数組み合わせて、サイズや形状をフレキシブルに設計(※4)できます。店頭に手軽に設置できるコンパクトサイズから、大型の商業施設などに相応しい大画面まで、設置場所に応じた対応が可能です。

 外国人観光客の増加に伴い、ガイダンス表示などのニーズが高まっており、屋外のデジタルサイネージの設置拡大が見込まれています。当社は、本製品により、デジタルサイネージ用ディスプレイのラインアップを強化するとともに、設置からコンテンツ配信、メンテナンスまでのサービスを一貫して提供し、幅広いユーザーのニーズに対応してまいります。

 

うーん、何の変哲もない製品発表ですね。一般メディアはもちろん、日経さん(日本経済新聞)でも大きな記事になるようなニュース性はなさそうです。せいぜいベタ記事でしょう。

あまりに真っ正直すぎます。ニュースで扱ってほしい、取材してもらいたい、という思いがあれば、もっと書き方は工夫できるはずです。

タイトルはシンプルですね。「誰が、何をする」がすっと理解できます。理解しやすいという点では及第点です。

世間ではタイトルから何を言っているか意味不明なリリースが少なくないですからね。

今回のシャープさんのタイトルはわかりやすい点は評価できますが、せっかくのシャープさんご自慢のLEDディスプレイですよね?もっとアピールしませんか?

 

マニアックな専門性アピールに走る失敗

この文章は、メディアの人に向けたものというより、業界関係者に向けたものです。文章を書く前に「誰に向けて書くか?」と、相手の顔を思い浮かべられていないのです。

だから

・5,000cd/m2の高輝度
・背面にも防水・防塵対策
・LED素子同士の間隔が約6mmの狭ピッチ

このようなマニアックな情報を見せられて、「スゲー!!」とマスコミ記者が興奮すると思いますか?しません。

だって、日経や業界誌の記者はいざ知らず、一般メディアの記者たちは、基本的に技術の素人だからです。

このシャープさんのケースに限りませんが、こういうパターンはすごく多いです。

自分たちがいかにすごいか?をアピールするのに、マニアックな専門用語を羅列してしまうのです。

このやり方は専門媒体の記者にはいいですが、もっと幅広い世の中に広めていきたいのなら、逆効果ですよ。

 

「商品・サービスで、社会はどうなる?」を見せてください

では、一般の新聞やテレビで報道してもらうには、どういう伝え方がいいのか?一つは

「この商品・サービスによって、世の中がこんな風に便利になるよ!」という伝え方です。

こんな風に新しい便利さが社会で実現する、という生活者に身近な変化をニュースで伝えたいのです。

「屋外のデジタイルサイネージに適してますよ」という切り口は、そうした装置を必要としている大型ショッピングセンターや公共施設の業者さんにしか響かない切り口なんですよ。

 

ニュース価値を高める妄想、仮説を立ててみました

今回の商品の特徴は、屋外でも見やすいということですよね。それによって、社会にどんな変化や便利さをもたらせるのか?が、このリリースからはよく分かりません。

ちょっと目を引いたのが、「外国人観光客」というキーワードです。これはまさに今のトピックになっている社会現象ですよね。ここに絡められると、ニュース性が高まります。

例えば、今までのデジタルサイネージのディスプレーでは、中国語のフォントがうまく表示できなかった、そのためにある商業施設の屋外では、“爆買い”を推定2億円分、取りこぼしていた。

しかし、新しいこの商品によって、中国語がすごくクリアに表示できるようになり、これで爆買いの取りこぼしを大幅に減らせる!とします。

すると、かなり面白いですね。テレビのリポートで取り上げられそうだし、新聞でも大きな扱いの記事になるはずです。

僕は記者時代、こういう何の変哲もないリリースを元に、このような妄想・仮説を膨らませてから取材に着手していました。

 

採点:40点

今回のリリースはよくある一般的なパターンで、可もなく不可もないものです。

が、やはり焦点の絞れていない今回の書き方に、シャープさんが業績不調に陥った要因がにじみ出ていると感じずにいられませんでした。

というのも、商品のマニアックなスペック向上に取り組んできたものの、「それが誰のどんな役に立つのか?」を、しっかりイメージできていなかったんじゃないかと思うんですよね。

だから、世界最高峰の液晶技術を持ちながら、販売不振に陥ったんじゃないでしょうか。これは他の日本の家電メーカーにも言えますね。

プレスリリースもマーケティングと一緒ですよ。「それを読む人には、どういうニーズがあるのか?」をリアルにイメージできてこそ、相手に刺さるものが作れるのです。

このリリース末尾にあるような「幅広いユーザーのニーズに対応します」という姿勢は結局、最も誰にも刺さらないパターンなんです。

 

 

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