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記者が教える広報PRの方法

元読売新聞記者・電通PR メディアの専門家 坂本宗之祐

記者クラブに投げ込み(プレスリリース)する方法と注意点


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あなたは、記者クラブへの投げ込み、つまりプレスリリースの持ち込みを検討されていることだろう。

民間企業、あるいは個人でも、記者クラブにプレスリリースを提供すること(これを業界用語で「投げ込み」という)はできる。

しかし、間違ったアプローチを行い、失敗するケースがとても多いことを残念に思っている。

中には、「迷惑業者」として記者クラブの人々にインプットされ、ブラックリスト入りしてしまうケースすらある。

とはいえ、記者クラブを上手に活用すれば、テレビや新聞各社がこぞってあなたのプレスリリースを報道してくれる可能性がある。

事実、私自身も全国紙の記者として長年、さまざまな記者クラブに籍を置いてきた。そこへプレスリリースを持ってくる人には、迷惑な業者もいれば、とてもありがたい有益な情報提供者もいた。

あなたには、記者クラブを正しく利用していただき、メディア記者と良い関係を築いていただきたい。

この記事では、正しい投げ込みの手続きと手順について紹介していこう。

東京の記者クラブの種類

まず、記者クラブの具体例を紹介しよう。東京には最も多くの記者クラブが存在している。そのごく一部を下記に紹介しよう。

記者クラブ名 所在地
・司法記者クラブ 東京高等裁判所内
・文部科学省記者会 文部科学省内
・厚生労働記者会 厚生労働省内
・農政クラブ 農林水産省内
・経済産業記者会 経済産業省内
・国土交通記者会 国土交通省内
・総務省記者クラブ 総務省内
・環境省記者クラブ 環境省内
・東京都庁記者クラブ 東京都庁内

 

だが正直に言って、東京のこれらの記者クラブに対して、民間の企業が投げ込みをしても取材につながらないことが多い。

そもそも、外部からのプレスリリースを受けていないところもある。

これらの記者クラブに所属している記者は、所在している官庁(国交省記者会なら国交省)の取材にかかり切りのことが多い。だから、記者に余裕がない。

ゆえに、これらの記者クラブに外部の企業がプレスリリース投げ込みをしても、そのほとんどが取材されない。

 

地方の記者クラブの種類

一方で、地方の記者クラブはかなり状況が異なってくる。

記者クラブは、東京だけでなく全国にある。まず、すべての道府県庁に存在する。さらに、県庁所在地の市役所には、必ず記者クラブがある。

その他の地方拠点都市の市役所にも、記者クラブがある。

これらの記者クラブは東京のそれと比べ、届けられるプレスリリースの絶対数が少ない。ゆえに、記者から目を向けてもらいやすい。

 

下記にほんの一部をご紹介しよう。

記者クラブ名 所在地
・大阪府政記者会 大阪府庁内
・大阪市政記者クラブ 大阪市役所内
・兵庫県政記者クラブ 兵庫県庁内
・愛知県政記者クラブ 愛知県庁内
・札幌市政記者クラブ 札幌市役所内
・福岡県政記者室 福岡県庁内

 

これらの地方の記者クラブは、プレスリリースを持ち込むのに適している。

多くのクラブで、外部からのプレスリリース持ち込みを受け付けている。

 

記者クラブへの投げ込みの申し入れ手順

1 記者クラブに電話する

まず、記者クラブに電話をかけよう。

電話のかけ方は簡単。上記の役所の代表番号に電話をする。そして受付の職員に「記者クラブをお願いします」と頼めばいい。すると電話を記者クラブに回してくれる。

記者クラブの人が電話に出たら、「プレスリリースを提供したい」旨を説明しよう。

場合によっては、プレスリリースの内容を聞かれることがある。単なる宣伝チラシだと判断されれば、持ち込みを断られる。気をつけよう。

 

2 必要部数と訪問時間を確認する

記者クラブの人と話をすれば、プレスリリース投げ込みの段取りを教えてもらえる。

聞いておくべきなのは、プレスリリースの必要部数、それから持参できる時間のことだ(当日午後4時まで、48時間以降、など)。

その他、記者クラブによっては、プレスリリース投げ込みのルールがそれぞれ微妙に異なる。確認しておこう。

 

3 プレスリリースを記者クラブに持参する

必要部数と日時を確認したら、実際に記者クラブに足を運ぼう。

どの記者クラブも、ドアを開けると入り口付近に大きな受付ボックスの棚がある。それぞれ、A4サイズの紙がちょうど入るくらいのサイズ。

その棚は、新聞、テレビ、ラジオ各社ごとに分かれている。そのボックスそれぞれにプレスリリースを投函していくので、「投げ込み」と呼ばれる。

ただ、記者クラブに入っていきなりプレスリリースの投げ込みを勝手に始めてはいけない。

必ず、受付の職員か、記者クラブ幹事の許可を得てからプレスリリースの投げ込みをしよう。

多くの記者クラブでは、職員がプレスリリース一式を引き取り、「あとはこちらで各社にお配りしておきます」と言われることが多い。

 

記者クラブ投げ込みでの注意点

1 宣伝チラシを持ち込まない

記者クラブは、宣伝PRをするための機関ではない。ここは念を押しておきたい。

あたかも記者クラブを「無料で宣伝できるところ」という言い方をする人がいる。そういう認識で記者クラブに近づくと、確実に記者に嫌われる。

記者は、業者が宣伝しにやってくることを毛嫌いしている。

 

ではどうしたらいいか?

記者たちは「自分たちは世の中に必要な情報を届けるのが役目だ」と考えている。

だから、記者クラブに持ち込むプレスリリースには、「社会性」が必要だということだ。

つまり、「世の中にとって必要としている人がいる情報なので、力を貸してください」というスタンス。

営利事業の宣伝行為はやってはいけない。これは最も大事なことだ。

下記の記事で、正しいプレスリリースの書き方を説明している。ぜひ読んでおいてほしい。

記者が教えるプレスリリースの書き方 初心者向けテンプレートを公開 – 記者が教える広報PRの方法記者が教えるプレスリリースの書き方 初心者向けテンプレートを公開  

 

 

2 メディア各社に公平に情報を提供する

「新聞社はいいので、とりあえずテレビ各社にだけプレスリリースを配りたい」

などという人が、ごくたまにいる。これはNG。

記者クラブは、メディア各社が公平に情報をキャッチすることが基本的なルールになっている。

もちろん、マスメディア各社は、自社独自の報道(特ダネ、スクープ)を狙って日々、取材活動をしている。

だが、記者クラブにおいてはお互い抜け駆けせず、ルールに則って行動することを申し合わせている。

だから記者クラブへの情報提供は、加盟各社に同時・一斉に配布することが原則だ。

もしあなたが、特定のメディア・報道機関にだけ情報提供をしたいのなら、記者クラブではなく、直接そのメディアに持ち込んでほしい。

下記の記事で、プレスリリースを直接、メディアに届けるやり方を説明しているので、参考にしてほしい。

プレスリリースの方法!新聞テレビ・マスコミ取材の確率を3倍高める送り方・送り先 – 記者が教える広報PRの方法プレスリリースの方法!新聞テレビ・マスコミ取材の確率を3倍高める送り方・送り先  

 

 

3 勝手に「解禁日時」などを設定しない

たまに一般企業のプレスリリースで、一方的に「このプレスリリースの報道は、・月・日・・時以降に解禁します」などと書いているものがある。

これは非常に失礼なプレスリリースで、確実に記者たちのひんしゅくを買う。

解禁付きのプレスリリースとは、発表主体とマスメディア各社との間で「報道協定」が結ばれた場合だけ認められる、特別なものだ。

だから、発表する側が記者たちに対して「いついつまでに報道するな」と一方的に通告することは、ルールとマナーを逸脱している。

もし、ある特定の日時まで報道を控えてほしい理由があるのなら、それは事前に記者クラブの幹事社の記者に相談してほしい。

納得できる理由があるのなら、記者側も頑なではない。

 

記者クラブに投げ込みできるプレスリリースの種類

ただの商品やサービスのお知らせでは、受け付けてもらいにくい。

営利企業の宣伝を、記者はとても嫌う。

だから、記者クラブにプレスリリースを持ち込むのなら、例えば次のような内容であることが望ましい。

・社会貢献性のあるイベント (社会性)

・地域活動のお知らせ (地域性)

・地域の特産品を用いた商品開発 (地域性)

・困っている人を助ける活動 (社会性)

・今までにないユニークな活動 (特異性)

 

 

記者クラブ投げ込みのタイミングは?

記者クラブによって、持ち込みが可能な日時のタイミングは異なるので、事前に電話をかけて確認してほしい。

一般的に、午後2〜3時頃は、記者たちは比較的落ち着いている。新聞社は夕刊の締め切りが終わり、ランチを終えて一息つくからだ。
(とはいえ、その日によって状況は全然変わるので一概にはいえないが)

また、金曜日は役所の発表ものが多い傾向がある。だから金曜日は記者は忙しいことが多い。

「イベントのお知らせ」の場合、イベント開催の1か月前にはプレスリリース投げ込みをしておきたい。

新聞各紙の地方面には毎週1回、イベント・行事の掲載コーナーがある(ここのは比較的、載りやすい)。ここに載せてもらうには、早めに届ける必要があるからだ。

 

記者クラブはどういう様子なのか?

役所の建物の中に、記者クラブの1室がある。なぜかどこも「市長室」「知事室」と同じフロアにあるケースが大半だ。

役所のフロア1階などに掲げてある「庁舎案内」をじっくり見れば、「・・県政記者室」「・・市政記者室」という名称が見つかるだろう。

それがいわゆる記者クラブの部屋だ。

入り口のドアを開けると、だいたいとの記者室にも、目の前に受付ボックスの大きな棚がある。

その棚は、記者クラブ加盟の新聞テレビラジオ各社ごとに区切られており、そこにプレスリリースが投げ込まれる。

 

その棚の前には、受付の職員がいる。女性が多い。その役所の臨時職員で、記者クラブにまつわる事務を取り仕切っている。

見知らぬ人がやってきたら、その職員が声をかけてくれる。プレスリリース持参した旨を伝えれば、慣れているのでスムーズに対応してくれるだろう。

部屋の奥を見てみると、机がいくつも並んでいるのが見えるだろう。それらは、マスメディア各社ごとの机となっている。

取材で記者たちが出払っていることもあれば、何人もの記者が在室していることもある。

よっぽどの特ダネであれば、他社の記者が大勢いる記者クラブで記者が原稿を書くことはない。

が、記者クラブあてに一斉発表された各社横並びの情報なら、隠れて原稿を書く必要がないので、記者クラブで堂々と原稿を書いている。

ただ、締め切り間際に発生した突発ニュースの対応をしている場合などは、記者たちは殺気立っている。

もちろん、そういう時ばかりではなく、ネタが少なくのんびりしている時もある。

 

記者クラブを訪問したらやるべきこと

記者クラブに入ったら、まずは受付の職員さんにあいさつしよう。そして、自分が何者で、何の用件で来たか?を簡潔に伝えること。

そして後は、基本的に受付の職員さんの指示に従ってほしい。

場合によっては、幹事社の記者にあいさつし、名刺交換ができそうなら名刺交換をするといい。

記者クラブごとに微妙に異なるルールなどがある。ルールとマナーを守って、記者クラブを活用しよう。

要件が済んだら、速やかに退室しよう。物珍しそうにジロジロ見たり、室内を勝手に歩き回ったりしてはいけない。

 

 

まとめ

記者クラブには、「宣伝チラシ」を決して持って行ってはいけない。

そんなことをすれば、「迷惑業者」として記者たちにインプットされることだろう。ますますメディア掲載が遠ざかるだけだ。

記者クラブは基本的に、「社会性」のある情報しか受け付けない。

そして、結局は人間関係だ。

記者と顔見知りになり、本音で話ができる関係を築いてほしい。それこそが、広報担当者が取り組むべきことだ。

人間関係が築けない広報担当者は、存在価値がない。AIやロボットに取って代わられる。

「広報の仕事には将来性がある」とされるのは、人間同士のコミュニケーションが必要な仕事だからだ。

だから、「記者クラブに行ってみよう」と検討しているあなたは、とても正しい。

記者のもとへ足を運び、実際に会って、あなたが世の中に投げかけたい思いをしっかり伝えてほしい。

それができれば、机に座って外に出ず、プレスリリース配信サービスだけで情報をばら撒こうとしている人よりも、10倍以上の成果を出せるようになるだろう。

ぜひ記者に会って、彼らと話をしてみてほしい。

そして、世の中に有益な情報をぜひ届けていってほしい。

 

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