YouTubeを広報PRに取り入れるメリットと動画の作成ポイント
広報・メディアコンサルタントの坂本宗之祐です。
このところ、YouTubeへの関心・注目が特に高まっています。
結論から言えば、広報でもYouTubeをすぐやるべきです。
なぜなら今、最も視聴者が伸びているメディアだからです。
「社会の波(トレンド)に乗る」活動を旨とする広報がやらない選択肢はありません。
テレビから若い人が離れています。私の10代の娘たちも、テレビよりYouTubeばかり観ています。。
YouTubeは外注ではなくても、自社ですぐ撮影できます。
以下にYouTube広報のメリットや注意点などを説明していきましょう。
(※この記事は2019年12月1日公開し、2020年6月12日修正・再アップしました)
目次
YouTube 広報のメリット
①短時間に圧倒的に大量の情報を与えられる
まず、圧倒的に大量の情報を短い時間に伝えられるというメリットがあります。
例えば、料理の作り方。
もし「チーズケーキの作り方」について、レシピや手順をテキストだけで説明しようとするとどうでしょうか?
膨大な文章量が必要となりますよね。読む方も疲れてしまい、読まなくなります。
しかし、これを動画で説明すれば、非常に分かりやすく、短時間の説明ですみます。
発信側、受け手側に負担が少なくてすみます。
②信頼されやすい(見てもらえれば)
知らない人の動画をたまたま見た。
最初は「怪しい人だな!」と感じたけど、見ていくうちに慣れてしまい、いつの間にか親しみを感じるようになっていた・・・
という経験ありませんか?僕は何度もあります。
「メラビアンの法則」という有名な法則があります。
人が情報を判断する要素は、
・話の内容などの言語情報が7%
・口調や話の早さなどの聴覚情報が38%
・見た目などの視覚情報が55%
(※ウィキペディアより引用)
つまり、非言語コミュニケーションが極めて大事(93%!)ということです。
人は話の内容よりも、伝え手の雰囲気や話し方、しぐさを観て判断するということですね。
ということは、文字情報だけで伝えるプレスリリースやブログの場合、情報のたった7パーセントしか伝わらない、ということ。
その一方、YouTube動画であれば、「聴覚」「視覚」に訴えることができます。
その結果、視聴者に信頼感を与えやすいメリットがあります。
③ユーチューブ視聴者が激増しており、人目に触れる機会が増加
ユーチューバーが小学生の憧れの職業ナンバーワンと言われるように、YouTubeは若い人向けというイメージがありました。
しかし最近、YouTubeの利用者層は幅広い年代に浸透してきました。
スマホがシニアの方々にも普及したこともあります。
スマホから動画を視聴することが今後、ますます一般化していくのは確実です。
④5Gの時代の波に乗れる
動画のデメリットとして、データ量がとても多いため、通信環境の整った場所でしか楽しめない点がありました。
しかし日本では2020年春から「5G」と呼ばれる超高速・大容量のモバイル通信が始まります。
これにより、通信可能な情報量は100倍になると言われています。
つまり、これまでは外出先でスマホ動画を見るには制約がありましたが、それが取り払われるということ。
いつでもどこでも、動画を楽しめる環境が整うのです。
だから、YouTubeの視聴者がよりいっそう増えるのは確実と見られます。
そもそも、広報の仕事の条件の1つは、「トレンド」に敏感でいることです。
まさにYouTubeはトレンドを迎えます。その「波」に乗るべきです。
間違いだらけのYouTube広報
さて、感度の優れた企業団体の方が、動画を発信しているケースはよくあります。
ただ、間違いを犯しているケースもかなり多いと感じています。
それは、「自分が宣伝したいことありき」での動画発信が多い、ということ。
あるいは、軽すぎる動画のはんらんです。
・昔ながらの啓蒙ビデオ
「啓蒙されたい」という人間は、この世には存在しません。
にもかかわらず、「啓蒙してやる」的な動画を発信する人が後を絶ちません。
こうした動画は、行政系にありがちです。それ以外でも、やたらと人を説得しようとする動画はよくあります。
・おふざけ動画
YouTubeでは、これまで「面白動画」が多く話題になりました。
もともと若者文化として始まったメディアなので、どうしても若者に寄せたくなる気持ちもわかります。
しかし、しかしこれからYouTube動画は単なるエンタメツールから脱し、確実に一般化していきます。
良い大人がふざけた動画を公開して、まともな社会人はどう思うでしょうか?
特におふざけを大学や行政がやるのは論外。安易に若者に迎合すべきではありません。
YouTube 広報動画の作成ポイント
最低限考えるべきは、「見る人が喜んで見てくれる動画かどうか?」です。
「役に立つ」や「悩みの解決」に貢献してくれる情報にすることです。
以下に作成のポイントを挙げていきます。
①動画タイトルが超重要
動画タイトルで、人は見るかどうか?決めます。ここで見る人のメリットを明確に伝えます。
「チーズケーキの作り方」などです。
タイトルは検索エンジンにもヒットします。その意味でもしっかり考えてつけましょう。
②サムネイルは、15字程度+人の顔
サムネイルとは、トップ画像のこと。タイトルと同じくここを見て、多くの人は見るかどうか決めます。
最近のスタンダードは、「文字」と人の顔。この組み合わせがスタンダードになっています。このような感じです。
③内容は、台本で構成
撮影前に、事前に台本を作りましょう。基本的な構成の流れは
1 主張(結論)
2 理由
3 具体例
です。
④最初の30秒が勝負!
動画を視聴する人の多くは、最初の1分以内に動画を見るのをやめてしまいます。
この離脱する人は1人でも減らしたい。そのためには、この動画を見る“メリット”を最初にしっかり伝えると良いです。
だから、最初に結論を述べます。動画の最後に結論、ではすぐ離れてしまいます。
「この動画は役に立ちそうだな」「面白そうだな」と感じてくれれば、じっくり見ようと思ってもらえます。
この離脱率が下がれば、ユーチューブからの評価が高まり、広まりやすくなります。
⑤再生回数ではなく、視聴時間を意識せよ
どうしても再生される回数が気になりますよね。
しかし、むやみに数を追うよりも、その動画を必要とする人にしっかり見てもらえるかどうか?を意識しましょう。
必要とする人のニーズを満たす動画であれば、最後までしっかり見てくれます。
YouTubeの運営側は、最後まで見られる動画を高く評価します。
すると、YouTube検索や、「おすすめ動画」で紹介されるようになります。
⑥できるだけ顔を見せる
「顔出しなしで良いですか?」という方がいます。絶対ダメではありませんが、顔出しする動画と比べ、大きなハンデを背負います。
人の顔、表情が見えるだけで、信頼感が断然高まりやすいのは事実です。これはブログやプレスリリースでも同じです。
⑦カメラと同じ目線の高さで話す
カメラの位置も注意が必要です。上からだと文字通り「上から目線」となり、感じ悪いです。また、下からだと視聴者は見上げるようになり、違和感を与えます。
カメラと同じ目線で話すことで、あたかも目の前で話しているような安心感を与えられ、親しみを覚えてもらいやすくなります。
⑧講義のようなきれいに喋らない
YouTubeで、アナウンサーやセミナー講師のような話し方はNGです。
こうしたかっちりした話し方はネットでは受けません。見ている側は居心地が悪くなるのです。
視聴者が見るシチュエーションを考えてください。リビングや自分の部屋などでくつろぎながら見るのです。
友人と話すような、フラットな話し方が受け入れられます。
テレビとウェブは、受ける話し方が全く違うのです。
⑨チャンネル登録(ブックマーク)の獲得を目指そう
お気に入りに登録してもらえれば、また動画を見てもらえます。
接触頻度が増えれば、その方にファンになってもらえる可能性が高まります。
⑩動画の本数は必要
露出を増やすには、やはり動画の本数は必要です。
毎日更新が理想ですが、そこまでいかなくても、まずはチャンネル内に動画100本ストックすることを目指しましょう。
YouTube 広報で何をやるべきか?
「役立つコンテンツ」を発信しましょう。つまり
・ニーズから逆算したテーマで動画を出す
ということです。
つまり、ウェブサイトのコンテンツマーケティングと同じ考え方です。
ネットユーザーは「役に立つ」「面白い」コンテンツを求めています。
人の悩みや課題を解決するコンテンツを発信することによって、人気が出て、視聴回数・時間が伸びます。
その結果、チャンネル評価が上がり、検索や関連動画に表示されやすくなります。
最近は、ユーチューブ検索が増えています。動画の評価アップでこの検索上位に出やすくなります。
また、他の動画再生時に「関連動画」が出ます。ここで表示されやすくなります。
YouTubeをやるとなると、往々にして有名企業や有名人のやり方が正しいと思い込みがちです。
しかし彼らの動画が観られるのは、単にネームバリューがあるから。
一般人の日記など誰も読みたくないのと同様、自己宣伝の広報動画など、誰にも見られません。
具体事例
・ライオン
「上手な目薬の指し方」を動画で説明しています。役に立つ動画ですよね。
・海上自衛隊
単純に見て楽しめる動画コンテンツになっています。軍事マニアには特に受けるでしょう。
広報動画の制作は外注すべきか?
YouTube広報を始めるに当たって、映像制作会社に丸ごと委託するのは、あまりお勧めできません。
その理由は以下の通りです。
①既存のプロの常識・こだわりが仇となる
既存のテレビ動画とYouTubeは、多くの点で性質が異なるものです。
にもかかわらず、多くの映像制作会社は、テレビのような映像を作ります。そしてナレーションの音声はかっちり喋ります。
ですが、テレビのテンポは、ウェブ動画と比べ、かなり遅いのです。
ユーチューブ動画の視聴者は、その速いテンポ・リズムに慣れています。
そこで、テレビのような動画を見ると、視聴者はかなりまどろっこしく感じます。
ナレーションもきっちりした話し方だと、ユーチューブ視聴者は堅苦しさを覚えます。
その結果、つまらないので見られない、というケースが多いです。
②一番詳しい本人、当事者の話こそニーズを満たせる
何か知りたいことがあったら、一番詳しい人から話を直接聞きたいじゃないですか?
「代理の私が話します」と言われても、「いやいや、本人の話聞かせてよ」と言うはずです。
YouTube視聴者は、アナウンサーのようなうまい話し方など求めていません。
“本物の情報”を求めているのです。
だから、たとえ話し方がたどたどしくても、その情報に詳しいプロの話が最も歓迎されます。
結論:YouTube広報で長期的な信頼の獲得を目指そう
広報は、社会との信頼構築がその役割です。英語でいえば「公共との関係づくり」(パブリック・リレーションズ)。
ぜひYouTubeを有効活用して、社会との良好な信頼関係を築いていってください。
自己宣伝の広報動画など、誰にも見られません。
そうではなく、まずは役に立てるコンテンツを発信することです。
その合間に適宜、自らの理念やビジョンを発信していけば良いわけです。
YouTubeの盛り上がりで、「企業はメディア化する」という流れが今後いっそう強まるのは確実でしょう。
誰もがコンテンツ発信者になる。優れたコンテンツ発信者こそが勝つ時代ですね。
私、坂本宗之祐のYouTubeチャンネル「広報PR大学」もぜひご覧ください。
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