記者クラブへのプレスリリース投げ込み例文、ルール、注意点を元読売新聞記者が説明します
「投げ込み」とは、記者クラブに所属する新聞社やテレビ局にプレスリリースを配布することを意味する業界用語です。
プレスリリースといえばPR timesなどを思い浮かべる人は多いと思います。しかし、こうした配信サービスを使わずにプレスリリースは一斉配布できます。
私は読売新聞記者時代、県庁や市役所、霞が関の省庁など10以上の記者クラブに在籍し、多くのプレスリリース投げ込みを受けました。
ただ、記者クラブには独特のルールやマナーがあり、それを知らずに記者から嫌われる企業がかなり多いのも事実です。
中には、「迷惑業者」としてブラックリスト入りしてしまうケースすらあります。
この記事では、私の記者経験をもとに、正しい記者クラブの活用について説明するので、ぜひ最後までじっくりお読みください。
※この記事は2017年11月23日に公開しましたが、2024年10月1日にリライトして再度公開しました
目次
記者クラブとは?
記者クラブとは、財務省などの省庁や団体を取材する大手メディア(新聞テレビなど)の記者たちでつくる団体です。
日本全国にある政府・自治体や警察、団体などに数多くあります。
それぞれの行政機関や団体は、記者たちが情報を収集しやすいように、取材拠点となる1室を提供しています。
ただ、記者クラブのシステムには批判もあります。クラブに属していないメディアは記者会見などに参加できず、情報へのアクセスが制限されるケースもあるからです。
(日本の記者クラブは、他国のメディアのあり方とは異なる独特のシステムと言われています)
東京の記者クラブの種類
では具体的に、記者クラブの例を紹介しましょう。東京には最も多くの記者クラブが集中しています。そのごく一部をいくつか挙げます。
記者クラブ名 | 所在地 |
---|---|
・司法記者クラブ | 東京高等裁判所内 |
・文部科学省記者会 | 文部科学省内 |
・厚生労働記者会 | 厚生労働省内 |
・農政クラブ | 農林水産省内 |
・経済産業記者会 | 経済産業省内 |
・国土交通記者会 | 国土交通省内 |
・総務省記者クラブ | 総務省内 |
・環境省記者クラブ | 環境省内 |
・東京都庁記者クラブ | 東京都庁内 |
ただ、正直に言って、東京のこれらの記者クラブに対して一般企業や個人が投げ込みをしても、ほとんど取材につながらないので、おすすめしません。
記者クラブに所属する記者は、その官庁を取材することで手いっぱいです。
そもそも、外部からのプレスリリースを受けていないクラブもあります。
こうした官庁にプレスリリースの投げ込みをして取材される可能性があるのは、あなたのプレスリリースがその官庁の政策とダイレクトに関わりのある場合くらいでしょう。
なぜなら、これらの記者クラブに所属している記者は、所在している官庁(国交省記者会なら国交省)の動きにしか、基本的に興味がないからです。
東京の記者クラブのリアルな実態
例えば、日本最大の記者クラブと言われる国土交通省の記者クラブ。
私が社会部の遊軍記者だった頃、このクラブに応援取材で行ったことがありますが、ひっきりなしに報道発表のアナウンスが流れているのに驚きました。
国交省内には部・課が200以上あります。これらの部・課がプレスリリースを次々と発表しているのです。
当然、クラブ担当の記者たちは省内から発表されるプレスリリース案件の処理に追われまくることになります。
「こんなに発表に追われていたら、外の取材になんてとても出られないじゃないか…」
と、クラブに所属する記者を気の毒に感じたのをよく覚えています。
あるいは、農水省の記者クラブでの話。
記者クラブ内にいると、スーツを着た企業の宣伝担当者と思しき挙動不審な人物が3人ほど入ってきました。
緊張した様子でソワソワしながら、記者に接触を試みており、宣伝目的なのは傍目から見ても明らかでした。
クラブ内の記者たちは「記者クラブで宣伝活動をするなんて…」と、白い目で彼らを見つめていました。
このように、霞ヶ関の官庁にある記者クラブで売り込みをしても、記者から煙たがられるのがオチです。
だから、これら中央省庁の記者クラブに一般の企業がプレスリリース投げ込みをしても、余程のニュース価値がない限り、取材されません!
また、東京には民間の組織団体にも記者クラブもありますが、こちらも事情は同じようなものです。
東京商工会議所内の記者クラブは、会議所の会員企業ですら、大半がプレスリリースの投げ込みを許されていません。
会員企業のうち、ここでの投げ込みが許可されているのは一部の大手企業のみ、という話でした。
ですので当然、東京商工会議所の会員になっていない企業はプレスリリースの投げ込みなどできません。
(※地方の商工会議所にある記者クラブであれば、投げ込みできるところは多いです)
・・・
私はこういう実態を知っているので、東京にある記者クラブに投げ込みを図って消耗するのは(特に中小企業)、無駄だと思います。
東京には何千人ものテレビ新聞雑誌の記者がいます。記者クラブに所属する記者は、それらの一部に過ぎません。
だから、東京のメディアに接触したい方は、記者クラブ経由よりも、「メディアリスト」から直接メディア各社にアプローチすることをお勧めします。
地方の記者クラブの種類
一方で、地方の記者クラブはかなり事情が異なってきます。
記者クラブは東京だけでなく、全国の地方都市にもあります。
まず、すべての道府県庁に存在します。さらに、県庁所在地の市役所にも、必ず記者クラブがあります。
そして、それ以外の市役所(主要都市)の多くにも、記者クラブがあるのです。ご存じなかったでしょう?
これら地方の記者クラブは東京の記者クラブと比べ、届くプレスリリースの絶対数が少ないため、記者から目を通してもらいやすいメリットがあります。
地方にある記者クラブのほんの一部をご紹介しましょう。
記者クラブ名 | 所在地 |
---|---|
・大阪府政記者会 | 大阪府庁内 |
・大阪市政記者クラブ | 大阪市役所内 |
・兵庫県政記者クラブ | 兵庫県庁内 |
・愛知県政記者クラブ | 愛知県庁内 |
・札幌市政記者クラブ | 札幌市役所内 |
・福岡県政記者室 | 福岡県庁内 |
などなど。
これらの地方の記者クラブは比較的、民間企業でもプレスリリースを持ち込むことができます。
地方の多くの記者クラブでは、一般からのプレスリリース持ち込みを受けています。
地方の記者クラブの実態
地方の記者クラブは、主に「県庁(府庁、道庁)」と「市役所」にあります。
・県庁(府庁、道庁)の場合
県庁(府庁、道庁)の記者クラブは、それなりに規模も大きく、どの県でも20社前後の報道機関(テレビ、新聞など)が机を並べています。
各社ごとに担当記者の数は異なりますが、おおむね1、2人です。地元紙であれば3人置いているケースもあります。彼らは記者クラブに常駐しているケースが多いです。
会社には出社せず、朝から記者クラブに出社して日中を過ごし、そのまま家に帰る、という記者もいるくらいです。
私もある県の県庁担当をした時は、朝真っすぐ県庁に出勤。記者クラブを拠点に取材に回り、原稿を書き、夕方まで過ごしました。
会社(支局)にいるのは夜だけでしたから、勤務時間の半分以上は県庁にいました。
こういう状況なので、テレビ新聞各社の記者同士は、嫌でも一緒に長い時間を過ごすことになります。
となると、本来は仕事上のライバルではありますが、自然と雑談も交わすようになって仲良くなります。
なので、記者クラブ内で「あの企業はヤバい、取材しない方がいい」などの情報はすぐ広まりますから注意しましょう。
このように県庁・府庁、道庁の記者クラブの多くは、記者が常駐しています。
・市役所の場合
これに対し、市役所の記者クラブは少し様相が異なります。
県庁所在地や政令市であれば、地域によっては小さな県よりも人口や予算が多いです。
このため、県庁所在地や政令市の記者クラブなら規模は大きく、県庁(府庁、道庁)と同じく記者が常駐している確率は高いです。
しかしそれ以外の小規模な市役所の記者クラブになると、記者が常駐していることはほぼありません。
数日〜1週間に1回、投げ込みのプレスリリースを取りに来るなど、用がある時にたまにやって来る感じです。
とはいえ、小規模の市役所の記者クラブであっても、持ち込まれたプレスリリースを加盟各社に配布する仕組み(メールやファクス等)は、できています。
ただ、小さな自治体は記者クラブ自体がないところも多いです。
あなたの地元の市役所の記者クラブがどうなっているか?は聞いてみないとわかりません。
以下の手順で確認してみてください。
記者クラブへの投げ込みの申し入れ手順
記者クラブにアプローチしていく手順を説明します。
1 記者クラブに電話する
まず、記者クラブに電話をかけましょう。
電話のかけ方は簡単。あなたがアプローチしたい役所の代表番号に電話をかけます。
そして電話に出た受付の方に「記者クラブをお願いします」と頼めば大丈夫です。すると、電話を内線で記者クラブに回してくれます。
記者クラブの人が電話に出たら、「プレスリリースを提供したいのですが」と相談しましょう。
その際、プレスリリースの内容を聞かれることがあります。なぜなら、「単なる宣伝チラシを持ち込まれては困る」と考えているからです。
企業の単なる宣伝活動だと判断されれば、記者クラブへの投げ込みは断られます。気をつけましょう。
2 必要部数と訪問時間を確認する
記者クラブの人と話をすれば、プレスリリース投げ込みの段取りを教えてもらえます。
記者クラブによって、それぞれの細かなローカルルール(決まりごと)が違います。それを確認しておくのです。
最低限、聞いておくべきなのは、プレスリリースの必要部数、それから持参できる時間です(当日午後4時まで、48時間以降、など)。
その他、プレスリリースは指定の書式に限るなど、クラブによって特異なルールがあったりするので、事前に確認しておきましょう。
なお、最近はデジタルデータでプレスリリースを受けてくれる記者クラブも出始めています。
つまり、電話をかけて相談すれば
「メールで送ってください。加盟各社の記者にメールで転送します」
と親切に対応してくださるケースもあります。
この場合は、わざわざ記者クラブまで足を運ぶ必要も、紙で印刷する必要もないので楽です。
※しかし、メール転送で届くプレスリリースは、記者からスルーされやすいため、取材されにくいというデメリットもあります。
3 プレスリリースを記者クラブに持参する
必要部数と日時を確認したら、実際に記者クラブに足を運びましょう。
どの記者クラブも、ドアを開けると入り口付近に大きな受付ボックスの棚があります。それぞれ、A4サイズの紙がちょうど入るくらいのサイズです。
その棚は、新聞、テレビ、ラジオ各社ごとに分かれています。そのボックスそれぞれにプレスリリースを投函していくので、「投げ込み」と呼ばれます。
ただ、記者クラブに入っていきなりプレスリリースの投げ込みを勝手に始めてはいけません!
必ず、受付の職員か、記者クラブ幹事の記者の許可を得てからプレスリリースの投げ込みをしましょう。
多くの記者クラブでは、受付職員がプレスリリース一式を引き取り、「あとはこちらで各社にお配りしておきます」と言われることが多いです。
なお、上記2で説明したように、事前に「メールで送ってください」と言われた場合は当然、記者クラブに足を運ぶ必要はありません。
記者クラブ投げ込みでの注意点
1 宣伝チラシを持ち込まない
記者クラブは、決して宣伝PRをするための機関ではありません!ここは強く申しあげます。
あたかも記者クラブを「無料で宣伝できるところ」という言い方をする人がいます。そういう認識で記者クラブにアプローチすると、あなたは確実に記者たちから嫌われます。
記者は、業者が宣伝しにやってくることを不快に感じています。
ではどうしたらいいか?
記者たちは「自分たちは世の中に必要な情報を届けるのが役目だ」と考えています。
だから、記者クラブに持ち込むプレスリリースには、「社会性」「公共性」が必要です。
つまり、「世の中にとって必要としている人がいる情報なので、世の中に知らせてください」というスタンス。
記者クラブで、営利事業の宣伝行為はやってはいけません。これは最も大事なことです。
こちらの無料オンライン講座では、正しいプレスリリース5つの戦略を伝えています。
2 メディア各社に公平に情報を提供する
「新聞社はいいので、とりあえずテレビ各社にだけプレスリリースを配りたい」
などと、メディアを選別しようとする人が、ごくたまにいます。これはNG。
記者クラブは、メディア各社が公平に情報をキャッチすることが基本的なルールになっています。
もちろん、マスメディア各社は、自社独自の報道(特ダネ、スクープ)を狙って日々、取材活動をしているのは事実です。
ですが、記者クラブにおいてはお互い抜け駆けせず、ルールに則って行動することを申し合わせています。
だから記者クラブへの情報提供は、加盟各社に同時・一斉に配布することが原則です。
もしあなたが、特定のメディア・報道機関にだけ情報提供をしたいのなら、記者クラブではなく、直接そのメディアに持ち込めば良いのです。
3 勝手に「解禁日時」などを設定しない
たまに一般企業のプレスリリースで、一方的に
「このプレスリリースの報道は、・月・日・・時以降に解禁します」
などと書いているものがあります。
これは非常に失礼なプレスリリースで、確実に記者たちのひんしゅくを買います。
解禁付きのプレスリリースとは、発表主体とマスメディア各社との間で「報道協定」が結ばれた場合だけ認められる、特別なものです。
だから、発表する側が記者たちとの協議なしに、「いついつまでに報道するな」と一方的に設定することは、ルールとマナーを逸脱しています。
もし、ある特定の日時まで報道を控えてほしい特段の事情があるのなら、事前に記者クラブの幹事社の記者に相談してください。
納得できる理由があるのなら、記者クラブ側もきちんと耳を傾けてくれ、検討してくれます。
(例文)記者クラブ投げ込みの宛先はどう書くか?
通常、プレスリリースを送るときは、宛先にメディアの部署名・担当者名を記します。
ですが、記者クラブに届けるプレスリリースの場合は、個別に部署名・担当者名を書く必要はありません。
各社それぞれ同じ文書で、プレスリリースの左上に「報道機関各位」、あるいは「○○記者クラブ 報道機関各位」と書いておけば大丈夫です。
(例文)
・報道機関各位
・○○記者クラブ 報道機関各位
記者クラブに投げ込むプレスリリースの書き方
プレスリリースは基本的には書式は決まっていません。
しかし、記者クラブによっては、書き方・書式が指定されている場合があります。
というのも、最近は宣伝チラシのようなプレスリリースが増えたため、記者クラブ側が過度に商業的なプレスリリースを排除する目的で、書式を指定するようになったものと思われます。
ですので、初めての記者クラブにプレスリリースを提供する際は電話をかけて、指定の書式があるかどうか?尋ねてみてください。
いずれにしても宣伝色は極力抑え、社会性を打ち出す書き方にしてください。
以下のような書き方のプレスリリースであれば、記者クラブから断られることはないでしょう。
「①タイトル」「②写真」「③リード文(導入文)」「④本文」「⑤お問い合わせ先」
の5項目で書きましょう。A4サイズ、できれば1枚。長くても2枚以内に収めたいです。
記者クラブへのプレスリリース投げ込み例文
記者クラブにご提供するプレスリリースの例文をお見せします。
「猫好きのための文章教室」を開催します
この度、「猫好きのための文章教室」を開催することとなりましたのでお知らせします。
このところ、空前の猫ブームが起きています。年代を問わず猫を愛好する方々が増えています。
しかし、野良猫の数は今だ多く、全国で殺処分される猫は年間○○万匹と言われます。
そこで、世の中にもっと猫のファンを増やし、こうした不幸な猫を減らすために、猫情報を文章で発信できる書き手を増やそうと、今回の文章教室を企画しました。
この催しは、2023年5月29日午後1時から、東京都千代田区の霞ヶ関キャットビル会議室302号で開催します。
当日は、キャットコンサルタントの山田太郎さんが猫の生態について説明した後、文章講師の山本慎之介先生が、読み手に響く文章の書き方を指導します。
私たちはこの取り組みを通じ、世の中に幸せな猫と飼い主を増やしていけるよう邁進して参ります。
(お問い合わせ先)
○○株式会社 ○○部
坂本宗之祐(さかもと そうのすけ)
〒108-0072 東京都港区六本木・-・-・
tel:03-4410-・・・・/ fax:03-4410-・・・・
メール:・・・@・・・ 携帯:090-1234-5678
プレスリリースの書き方をもっと具体的に知りたい方は、この記事で詳しく説明しています。
記者クラブに投げ込みできるプレスリリースの種類
単なる商品やサービスのお知らせでは、記者クラブ側は投げ込みに「それはちょっと勘弁してください…」と難色を示すことがあります。
営利企業の宣伝を、記者はとても嫌います。
だから、記者クラブにプレスリリースを持ち込むのなら、例えば以下のような内容であることが望ましいです。
・社会貢献性のあるイベント (社会性)
・地域活動のお知らせ (地域性)
・地域の特産品を用いた商品開発 (地域性)
・困っている人を助ける活動 (社会性)
・今までにないユニークな活動 (特異性)
プレスリリースはどういう時に出せるのか?その種類はこの記事でより詳細に説明していますので参考にしてください。
記者クラブ投げ込みの時間、タイミングは?
記者クラブによって、投げ込みが可能な日時のタイミングは異なるので、事前に電話をかけて確認しましょう。
記者クラブの中には、投げ込みの48時間前までの事前予約を必須としている「48時間ルール」を設けているクラブもあります。
ただ、地方の多くの記者クラブはそこまで厳格ではありません。
「いつでも投げ込みに来ていただいて大丈夫ですよ」という記者クラブであれば…
一般的に、午後2〜3時頃は、記者たちは比較的落ち着いています。
なぜなら、新聞社は夕刊の締め切りが終わり、ランチを終えて一息つけるからです(とはいえ、突発事件など起きれば状況は全然変わります)。
また、金曜日は役所の発表ものが多い傾向があります。だから金曜日は記者は忙しいことが多いので、避けた方が無難かもしれません。
「イベントのお知らせ」の場合、イベント開催の1か月前にはプレスリリース投げ込みをしておきたいです。
新聞各紙の地方面には毎週1回、イベント・行事の掲載コーナーがあります(ここは比較的、載りやすいです)。ここに載せてもらうには、早めに届けておいた方が得策です。
ちなみに、以下の記事ではプレスリリース全般の適切なタイミングについてまとめています。チェックしておいてください。
記者クラブはどういう様子なのか?
役所の建物の中に、記者クラブの1室があります。なぜかどこも「市長室」「知事室」といったトップの部屋と同じフロアにあるケースがほとんどです。
役所のホームページや、庁舎フロア1階などに掲げてある「庁舎案内」をじっくり見てみてください。
「・・県政記者室」「・・市政記者室」という名称の部屋が見つかるはずです。
それがいわゆる記者クラブの部屋になります。
入り口のドアを開けると、どの記者室も入ってすぐの入り口付近に、プレスリリース投げ込み用の大きな棚があります。
その棚は、記者クラブ加盟の新聞テレビラジオ各社ごとに区切られており、そこにプレスリリースが投げ込まれます。
一定規模の記者クラブには、その棚の前に受付の職員が座っています(女性が多い)。その役所の臨時職員で、記者クラブにまつわる事務を取り仕切っています。
(※小規模な自治体の記者クラブには、常駐職員はいません。記者も常駐していないことが大半です)
見知らぬ人がやってきたら、その職員が声をかけてくれます。プレスリリース持参した旨を伝えれば、慣れているのでスムーズに対応してくれるでしょう。
部屋の奥を見てみると、机がいくつも並んでいるのが見えると思います。それらは、メディア各社ごとの机となっています。
取材で記者たちが出払っていることもあれば、記者が何人も在室していることもあります。
記者クラブの部屋内は平時は穏やかですが、突発ニュースが発生したりすると、殺気立った雰囲気になることがよくあります。
そんな時は邪魔にならないように静かに退室するなど、記者クラブ内の雰囲気を読み取って行動しましょう。
記者クラブを訪問したらやるべきこと
記者クラブに入ったら、まずは受付の職員さんにあいさつしましょう。そして、自分が何者で、何の用件で来たか?を簡潔に伝えます。
そして後は、基本的に受付の職員さんの指示に従ってください。
場合によっては、幹事社の記者にあいさつし、名刺交換ができそうなら名刺交換をする良いです。
記者クラブごとに微妙に異なるルールなどがあります。ルールとマナーを守って、記者クラブを活用しましょう。
用件が済んだら、速やかに退室します。物珍しそうにジロジロ見たり、室内を勝手に歩き回ったりしてはいけません。
記者クラブ投げ込みにかかる費用
プレスリリースを記者クラブに投げ込むには、費用はかかるのか?
これはもちろん一切かかりません。記者クラブ側から費用を請求されることはありません。
それは、記者クラブが公共的な組織・場所であるからに他なりません。
かかる費用は、強いて言えば、プレスリリースの印刷費と、記者クラブに足を運ぶ交通費くらいでしょう。
ただ、だからと言って、「記者クラブを無料で宣伝できる場所」と勘違いしないでください。
記者クラブへ宣伝にやってくる、浅ましい儲け主義の企業がこれ以上増えると、ますます記者クラブへの門戸が閉ざされるようになってしまう可能性があります。
これを読んでいるあなたの行動が、あなたの後に続いて記者クラブにアプローチする人たちに影響します。
世の中の人々に役に立つ情報として、あなたのプレスリリースを届けましょう。
記者クラブを使わずに、プレスリリースを出す方法
これまで、記者クラブへのプレスリリース投げ込み方法について説明してきました。
が、もちろんプレスリリースを出せるルートは、記者クラブだけではありません。
プレスリリースは、あなたから直接、新聞社やテレビ局に届けることができます。これももちろん無料です。
有料のプレスリリース配信サービスを使う必要もないのです。
下記の記事で、プレスリリースを直接メディアに届けるやり方を説明しています。参考にしてください。
各新聞社・NHKへの具体的な送り方は、以下の記事で説明しています。
自分でできる!メディアリストを作成する方法
記者クラブにいるのは、新聞テレビの「報道記者」のみです。
しかし、メディアには他にも多数の制作者たちがいます。
例えば、テレビのディレクターや雑誌の編集者らです。彼らは記者クラブにはいません。
新聞テレビの報道記者以外のメディア関係者にアプローチするには、あなた自身でメディアに接触していくしかありません。
メディアリストの作り方を以下の記事、動画で詳しく説明しています。参考にしてください。
47都道府県庁の記者クラブの場所一覧
以下に、全国都道府県の庁舎内のどこに記者クラブがあるのか?まとめました。
訪問する前に、ぜひ記者クラブ(記者室)の場所を確認しておいてください。
北海道庁 道政記者クラブ(本庁2階)
青森県庁 県政記者室(本館3階)
岩手県庁 県政記者クラブ(知事局棟3階)
秋田県庁 県政記者室(本庁舎1階)
宮城県庁 県政記者会(庁舎南側3階)
山形県庁 県庁記者室(4階)
福島県庁 県政記者室(本庁舎2階)
茨城県庁 県政記者クラブ(4階)
群馬県庁 刀水クラブ、テレビ記者会(5階)
埼玉県庁 県政記者室(1階)
千葉県庁 県政記者室会、千葉民間放送テレビ記者クラブ(5階)
東京都庁 都庁記者クラブ、共用記者室(4、5階)
神奈川県庁 県政記者クラブ(新庁舎4階)
新潟県庁 県政記者クラブ(行政庁舎4階)
富山県庁 県政記者室(3階)
石川県庁 県政記者室(行政庁舎3階)
福井県庁 県政記者室(6階)
山梨県庁 県政記者クラブ(本館3階)
長野県庁 取材者控室(本館棟3階)
岐阜県庁 県政記者室(3階)
静岡県庁 県政記者室(東館4階)
愛知県庁 県政記者クラブ(本庁舎3階)
三重県庁 県政記者室(行政棟3階)
滋賀県庁 県政記者室(本館3階) ※プレスリリース提供方法はこちら
京都府庁 京都府政記者室(1号館2階) ※プレスリリース提供方法はこちら
大阪府庁 府政記者会(本館4階)
兵庫県庁 新聞記者室、民放記者室(第2号館4階)
奈良県庁 奈良県政・経済記者クラブ(主棟5階) ※プレスリリースについてはこちら
和歌山県庁 県政記者室(本館3階) ※新宮エリアについてはこちら
鳥取県庁 県政記者室(本庁舎3階)
島根県庁 県政記者室(北棟3階)
岡山県庁 県政記者室(本庁舎4階)
広島県庁 県政記者クラブ(本館2階)
山口県庁 県政記者クラブ 県政記者会 県政滝町クラブ(高層棟2階)
徳島県庁 県政記者室、民放記者クラブ(3階) ※プレスリリース提供方法はこちら
香川県庁 県政記者室(本館9階)
愛媛県庁 県政記者室(愛媛番町記者クラブ)(本館3階)
高知県庁 県政記者室(本庁舎2階)
福岡県庁 県政記者室(北棟8階)
佐賀県庁 県政記者室(新館3階)
長崎県庁 県政記者室(行政棟3階)
熊本県庁 県政記者室(行政棟本館4階)
大分県庁 県政記者室(本館3階)
宮崎県庁 県政記者室(本館2階) ※プレスリリース提供についてはこちら
鹿児島県庁 県政記者室(青潮会)(行政庁舎3階)
沖縄県庁 記者クラブ室(本庁舎南側5階) ※記者クラブ加盟者一覧はこちら
全国各地の経済記者クラブ(商工会議所)
地方における記者クラブは、上記のような県庁や市役所の他にも、各地の商工会議所に「経済記者クラブ」として存在する地域が多いです。
ただ、これら経済記者クラブには、県庁記者クラブのように記者は常駐していません。担当の記者は、時間がある時に立ち寄る程度です。
なお、こうした記者クラブで投げ込みできる企業は、その商工会議所の会員企業であることが条件であるケースがほとんどです。
取材がグン!と増えるメディア対応のコツ
記者クラブにプレスリリースを投げ込んだだけで、取材が殺到することはありません。
取材獲得できるかは、あなたが「記者と適切なコミュニケーションを取れるか?」にかかっています。
メディアとのコミュニケーションのコツはこの記事で詳しく説明しているので、ぜひ参考にしてください。
まとめ
記者クラブには決して、「宣伝チラシ」のようなプレスリリースを持って行ってはいけません。
記者クラブで宣伝活動をすれば、「迷惑業者」として記者たちに認知されます。ますますメディア掲載が遠ざかるだけです。
記者クラブは基本的に、「社会性」「公益性」のある情報しか受け付けません。
そして、結局は人間関係です。
記者と信頼関係を築き、本音で話ができる関係を築いていただきたい。
メディアの人と人間関係が築けない広報担当者は、存在価値がありません。いずれAIやロボットに取って代わられるでしょう。
「広報の仕事には将来性がある」とされるのは、人間同士のコミュニケーションが必要な仕事だからです。
だから、「記者クラブに行ってみよう」と検討しているあなたは、とても正しい。
記者のもとへ足を運び、実際に会って、あなたが世の中に投げかけたい思いをしっかり伝えてください。
それができれば、机に座って外に出ず、プレスリリース配信サービスだけで情報をばら撒く会社よりも、10倍以上の成果を出せるようになるはずです。
ぜひ記者に会って、彼らと話をしてください。記者たちもあなたを待っています。
そして、世の中に有益な情報をぜひ届けていってください。
以下の動画でも解説しているのでぜひご参考ください。
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「国内メディアリスト(新聞社・テレビ局・雑誌)」
(計803)
このリストでは
・全国のテレビ局(185)
・全国の新聞社(135)
・雑誌(209)
・ラジオ局、CATVなど(274)
これらの媒体名、所在地をエクセルで一覧にまとめています。
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