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記者が教える広報PRの方法

広報PR情報No.1サイト 元読売新聞記者 坂本宗之祐

危機管理広報の基本と備え。元社会部記者が教える8つのポイント


今の世の中、危機に満ちていますよね。SNSやメディアによって、いつ批判や炎上が沸き起こるか?誰にも予測もできない時代です。

であるからこそ、「備えあれば憂いなし」。たとえ突発的なトラブルが起こっても、日頃から準備と心構えができていれば安心です。

私は、読売新聞記者として11年、数々の事件や事故、不祥事、トラブルの取材をしてきました。

その後、電通PRにも一時期、籍を置き、シニアコンサルタントとして大手企業幹部のメディアトレーニング等にも携わらせていただいています。

ますます重要性を増す危機管理広報について、私の経験を踏まえて説明していきます。

 

危機管理広報とは

危機管理広報とは、組織に災難が降りかかったり、不祥事を起こしたりした時、その社会的なダメージを最小限に食い止めるための広報対応です。

インターネットが普及し、誰もがスマホで情報をやり取りするようになりました。

ネガティブな情報ほど、一瞬で世の中に拡散しやすくなっています。

信用を築くには長い時間がかかりますが、信用が崩れるのは一瞬です。

そして、ネガティブな情報の浸透は、あっけなく企業を存続の危機に追いやります。

だからこそ、危機管理広報は年々、重要性を増しているのです。

私が地方記者だった2005年頃、佐賀県庁に「危機管理・広報課」なるものが新設されました。

当時はまだ危機管理広報という概念が一般的ではなく、「なんで危機管理と広報が一緒なんだ?!」と珍妙に感じたのをよく覚えています。

しかし、その後トラブルが頻発するようになった時代の変化を鑑みれば、佐賀県の取り組みはかなり先進的だったと言えますね。

 

危機管理広報の基本

危機管理広報の基本は、大きく分けて2つあります。

①平常時の備え

②危機発生時の対応

の2つです。

 

①平常時の備え

危機管理とは、平常時の備えこそが重要です。

本番は、いつ起きるか誰にも予測できません。だからこそ、事前の備えは欠かせません。

会社・組織の業種や業容ごとに、ある程度、想定できる危機発生のパターンがあるはずです。

・個人情報を扱うなら、その流出が起きるかもしれない

・工場があるなら、火災や爆発が起きるかもしれない

・社員・職員が、犯罪を犯すかもしれない

決して起きてほしいものではないからこそ、つい目を背けたくなるお気持ちはわかります。

が、あらゆるリスクを想定して、発生しうる危機のパターンを洗い出しておくことをお勧めします。

その上で、それぞれのケースが発生した際、どのようなメディア対応、情報発信を行うのか?

どのような組織の体制で、情報収集や伝達を行うのか?

その手順をマニュアルにまとめておきましょう。

さらには、記者会見を想定した「メディアトレーニング」は、リアルに危機発生をシミレーションできますので、やっておくとよいでしょう。

 

②危機発生時の対応

危機発生時は、初動のスピード感こそ極めて重要です。素早い情報把握と、外部への発表に努めましょう。

マスコミに限らず、世間は熱し易く冷め易い傾向があります。

だから、初動を誤って、悪い第一印象を与えると、それがずっと後を引いて残ってしまうのです。

危機が発生したら、すぐにトップに報告。それから、関係者からすべての情報を上げさせます。

対策本部を設置し、情報が入るたびにホワイトボードなどに記入していきます。関係メンバーが状況を把握できるようにするためです。

そして、ある程度の情報が集まった段階で、「ポジションペーパー」を作成します。

これは、判明した事実関係と、それに対する対応の方針をまとめたものです。

対外的な対応については当然、法律専門家のチェックも必要でしょう。

ですが、法的な責任逃れを優先すると、世間は敏感にそれを感じ取ります。逆に強い反発・批判を招き、二次的な炎上が起きることがあります。

ですので、世間の感覚も勘案して対応する必要があります。

方針を固めたら、半日以内に記者会見を開催し、誠実に正確な情報発信に努めましょう。

 

元社会部記者が教える危機管理対応

●平時の備え

平時からやっておくべき、危機管理の備えを列挙します。

 

(1)普段から記者との関係構築を

ふだんからマスメディア記者らと関係を構築しておきましょう。

知り合いの記者を何人も作っておくべきです。

それは、社会部の記者でなくても、経済部などといった記者でも良いです。

メディア側との日常からの意思疎通は、危機発生時に非常に役に立ちます。

 

(2)エゴサーチ

エゴサーチとは、自分のことをウェブ検索して、自分の評判等をチェックする行為です。

個人の行為として一般的な言葉になっていますが、企業団体も日常的にやっておくべきでしょう。

ウェブには特に、デマやフェイクニュースが流れやすいです。

誤った発信には即対応!できるよう、ウェブ上の情報流通にはアンテナを張っておきましょう。

 

(3)危機時のリーダーを決めておく

人間は弱いものなので、突発的なトラブルが起きると往往にして「責任のなすり合い」「腰の引けた対応」「当事者意識の欠如」といった反応を示しがちです。

誰だって、面倒なトラブルから逃げたくなるのが人情ですから仕方ないですね。

しかし、社員がみんな逃げモードに入ったら、その企業は社会的信頼を失い、存続不能に陥るでしょう。

だから、危機発生時の指揮命令系統など、責任者と役割を事前に明確に決めておきましょう。

(4)危機発生のシミレーション

小学校ですら火災訓練をやります。企業でも、定期的に炎上時の火災訓練をやっておくべきです。

自社内でプログラムを作成して取り組んでも良いですが、主だったPR会社では、リアリティのある危機管理トレーニングを実施しています。

そうした会社に依頼してみても良いでしょう。

(5)危機管理マニュアルの作成

自社の起きうる様々なケースを想定し、発生した危機に応じて、どういう組織体制で、どのように対応していくのか?マニュアルにまとめておくと良いでしょう。

 

 

●危機発生時

危機が発生すると、誰もが慌てふためきます。数々のトラブルに対応してきた経験からアドバイスします。

 

(6)起きたものは仕方ない

身もふたもない、と思われるかもしれませんが、「腹をくくれ」の一語に尽きます。

記者時代も、目の前が真っ暗になるような事件事故の発生が、何度もありました。

「これはとんでもないことになる」「この先1ヶ月は休みないな」…とか。

とんでもない事件が発生した時、めまいがするのは記者も同じです。

平穏無事な日々が続いていてほしい、と願うのは記者もおんなじなんですよ。

でも、危機が発生しても、そこで逃げちゃダメだなって学びました。

逃げに入る同僚の記者もいましたが、そういう人って仲間の信頼をなくすんですよ。

気持ちが逃げては、その後の対応も往往にして大失敗します。

どうせやらなきゃならない仕事なら、開き直って逃げずに立ち向かいましょう。

 

(7)記者を決して「敵視」しない

記者らから厳しい追及を受けると、憎憎しく感じることがあるでしょう。

ですが、彼らはあなたのことが憎くて、しつこく追及しているのではありません。

それが、記者の「役割」だからです。

社会に正しい情報を伝える、という役割を担い、あなたに取材しています。

あなたも、企業団体の担当として、情報を世の中に開示する「役割」を担っています。

決して感情的にならず、大局的に物事を鑑みて、お互いの役割を全うできるよう努めてください。

あなたが自らの役割に徹し、職務を尽くしていれば、記者もあなたをプロの仕事人としてリスペクトし、相応に対応してくれます。

場合によっては、マスコミ記者が世間の誤った認識を覆す情報を発信してくれることもあります。

だからこの場合、強力な味方になってくれる。そういう可能性も秘めているのです。

逆に、記者を敵視し、攻撃的あるいは侮蔑的に対応する広報担当がたまにいます。

こういう方は、記者の向こうに「世間」「一般の人々」がいることを忘れています。

記者からも世間から嫌われてしまい、損をするだけです。

 

(8)誤報や風評被害に対応

危機発生時には、外部の問い合わせ等に対しては、基本的に低姿勢で誠実に対応するの基本です。

ですが、ネットにはデマが広まりやすいですし、マスコミでも誤った情報が報道されることがあります。

そうした誤った情報に対しては、毅然とした対応を取ってください。

情報発信者に対して、「誤りである」という明確な根拠を示した上で、即時の削除や訂正を申し入れましょう。

新聞テレビの記者は嫌がりますが、間違いなら「訂正を出してください」と毅然として要求しましょう。

これを放置してしまうと、間違ったネガティブ情報が一人歩きしてしまい、回復不可能なほど深刻なダメージを受けてしまいます。

 

企業の危機発生パターン

・事故・・・交通機関、工場。あるいは2次的に社員が巻き込まれた(特に海外)

・事件・・・社員が犯罪で逮捕されるなど

・自然災害・・・台風、地震など

・不祥事・・・経営幹部、社員、アルバイトら

 

ウェブにおける炎上の事例

最近はすぐネットで炎上します。大企業にとっては本当にリスキーな時代だと感じます。

有名な個人や企業を「どうやって批判し、引きずり下ろそうか」と手ぐすねを引いている人が多いのが実態。

 

・広告等における不適切な表現

テレビCMやネット動画広告で、人々から強い批判を招いて、撤回する騒ぎが起きています。

性的な表現だったり、性差別的な要素があったりするなど。

広告は、消費者の反応を得るためにわざと際どい表現を試みることがありますが、それが裏目に出てしまうわけです。

 

・ステマ(ステルスマーケティング)の発覚

企業がお金を払って宣伝をしてもらっているのに、それを明らかにせず、オーガニックな「ご感想」「口コミ」を装う行為をステマと言います。

広告は「うざい」とネットユーザーに嫌われやすいため、純粋な「口コミ」という体裁で評判を高めたい企業が、ステマに手を染めるケースが後を絶ちません。

しかし、ステマはネットユーザーに対して後列な嫌悪感を示します。

最近では、ディズニー映画「アナと雪の女王2」のステマ問題が大炎上しました。

 

・社員不祥事

これらは日常的に発生してニュースになっています。

 日大アメフトタックル問題
 ハードディスク情報漏洩
 伊藤忠商事幹部のセクハラ
 アルバイトのおふざけ動画

などなど

 

・環境リスク

SDGsへの関心が高まっています。環境に負荷をかける企業活動に対して、世間の見る目は厳しさを増しています。

欧州では、CO2を大量に排出する飛行機に乗ることを恥ずべき、だとする「飛び恥」運動が起きています。

批判を浴びる航空業界は、青天の霹靂でしょう。

また、世界的に有名なチョコレートが「熱帯雨林を破壊し、オランウータンの生息を脅かしている」という批判にさらされることもあったそうです。

 

危機管理広報の失敗パターン5つ

 

社会部記者として、たくさんの事件事故を取材しましたが、以下のようなパターンが非常に多くありました。

 

①情報開示が遅い

新聞は朝刊と夕刊、1日2回の締め切りがあります。テレビも、お昼と夕方、夜のニュースの締め切りがあります。

それどころか、最近はネットにもニュースの速報を新聞もテレビも流します。

だからとにかく「いち早く情報が欲しい!」という強いニーズが彼らにはあります。

にもかかわらず、仕事が鈍く、情報が出てこないと、とてもイライラします。

情報が出せないのなら、出せない理由をきちんと明確に教えていただきたいのです。

 

②責任者が出てこない

①に通じますが、窓口担当者レベルで「わからない」「答えられる者がいない」などというケースも多いです。

「逃げ回っているな」としか思われませんし、記者の心象をますます悪くして、批判的な報道が勢いづくだけです。

できるだけ早く、しかるべき責任者が記者会見を開くなどして、公にメッセージを発信すべきです。

 

③ウソをつく

これはもういうまでもなく、最悪の広報対応です。

ウソをついてその場で言い逃れできても、だいたい後々にウソは露呈します。

すると、その当事者や組織は「ウソつき」というレッテルを貼られ、信用は失墜。深刻なダメージを受けます。

その場しのぎのウソは絶対に避けるべきです。

たとえ正直に不祥事等を告白したことで、その時は一時的に批判を浴びることになっても、後に尾を引きません。

 

④非を認めない、謝罪しない

時々、客観的に見て明らかな日があるのに、頑なに非を認めないケースがあります。

非を認めてしまったら、後々に大きな損害賠償リスクを背負う、などの判断があってのことでしょう。

しかし、「不祥事を起こしてなお責任を逃れようとしている」との印象を世間に与えると、その組織団体の評判は深刻なダメージを受けます。

事件・事故等それ自体の責任の所在がまだ明らかでなかったとしても、

世間をお騒がせして、申し訳ございません」

といった言い回しで、まずは謝罪すべきでしょう。

 

⑤不誠実な態度や振る舞い

不遜な態度、振る舞いで、記者やネットユーザーからひんしゅくを買うケースもよくあります。

「私たちも被害者なんです」

「法的に問題ない」

こんなことを言ったり、態度に示したりしてしまうと、激しい批判にされられるのは避けられません。

 

まとめ

新聞記者でも、突発的な事件や事故が起きると、経験の乏しい記者はテンパって(慌てふためく)しまいます。

私も駆け出しの時はオロオロしていました。

でも、場数を踏んでいる先輩記者は、顔色一つ変えずに、若手記者に指示を出します。

「山田は・・警察署、田中は・・消防本部、山本は事故現場、渡辺は会社な、すぐ行け!」

どこにどう記者を配置し、どう情報を集めていき、どのように紙面を構成していくか、テキパキと段取りしていくのです。

いやあ、格好よかったですね。そして、部下は上司がどんと構えていると頼もしく、安心するんです。

これが、司令塔も現場もオロオロしてしまうと、大変悲惨です。

取材する新聞社は、危機発生に場慣れしたプロがいますから良いのですが、

一般企業などで世間を揺るがす大きな危機に直面することは、10年や20年に一度でしょうから、テンパって当然です。

だからこそ、しっかり備えをしておきましょう。

 

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