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記者が教える広報PRの方法

広報PR情報No.1サイト 元読売新聞記者 坂本宗之祐

マスコミ取材対応研修を行う元読売記者が明かす広報のポイント。良い報道をしてもらう5つの流れと7つの注意点


坂本宗之祐です。読売新聞記者や電通PRコンサルタントなどメディア業界25年の経験をもとに、メディア取材対応の講師をしています。

これまでセイコーHD、NTT東日本といった企業様のほか、2024年は福岡県庁や愛媛県庁といった自治体様における講師ご依頼も多いです。

記者にどう対応するか?その接し方で、テレビや新聞の報道のトーンが変わり、社会全体を敵に回しかねません。

私は読売新聞記者時代、多くの企業団体を取材しましたが、メディア対応に失敗した例は多く、倒産・廃業に至ったケースもあります。

あの「ささやき女将」会見で有名な、船場吉兆の事件も取材しました。

マスコミ対応を成功させ、記者と良いコミュニケーションを取るために、この記事では報道対応の心得やポイントを紹介します。

ぜひメディアとより良い関係を構築し、広報活動を充実させてください!

私が行うマスコミ対応研修の事例や、講師ご依頼はこちらの記事をご覧ください。

記者と社員の生々しい会話からみるマスコミ対応事例

まずは、マスコミ取材対応の会話事例を見てみましょう。

(シーン:ある企業の製品不具合についての問い合わせ)

記者:「今回の製品不具合について、具体的にどの程度の影響が出ているのか教えていただけますか?顧客への対応はどのように進めていますか?」

社員:「えーと、現在調査中ですので、正確な数値や範囲についてはまだお答えできませんが、すぐに対応を進めております」

記者:「調査中というのはわかりますが、すでに消費者からの苦情や返品の数が増えているとの情報も入ってます。何か具体的な対応をされているんでしょうか?それとも何か隠していることがあるんですか?」

社員:「いえ、隠しているわけではありません。ただ、すべての事実を確認してからでないと、公式な発表ができませんので…」

記者:「公式発表を待っている間に、SNSやネット上ではどんどんネガティブな噂が広がってますよ。これ以上黙っていると、ますます信頼を失いますよ。私たちとしても、情報をできるだけ正確に伝えたいんです」

社員:「そうは言っても、誤った情報を流すわけにはいきません。社内での確認を急いで進めていますので、もう少しお待ちいただけますか?」

記者:「…わかりました。ただ、多くの人が迅速な対応を求めています。私たちとしても、少しでも早く情報を世の中に伝えたいので、ご理解いただけると助かります」

社員:「…承知しました。できる限り早く、追加情報をお知らせできるように上層部と調整します。ご迷惑をおかけして申し訳ありません」

 

この取材対応の問題点

このやり取りは、あまり良い対応とは言えません。以下のような理由からです。

①曖昧な回答

社員が「調査中です」や「正確な数値や範囲についてはまだお答えできません」と繰り返していますが、これでは記者に対して信頼感を与えることができません。曖昧な回答は、記者の疑念を深め、結果的にネガティブな報道を招く可能性が高まります。

 

②迅速な対応の欠如

記者はSNSやネット上で噂が広がっていることを指摘しているにもかかわらず、社員は具体的な行動を示すことなく、「社内での確認を急いでいる」としか伝えていません。

こうした対応の遅れは、危機対応として不十分であり、企業のイメージをさらに悪化させるリスクがあります。

 

③透明性の不足

広報担当者は「隠しているわけではない」と弁解していますが、具体的な対応策や進展が説明されていないため、記者からは「隠蔽している」と受け取られる可能性があります。

透明性が不足していると感じさせると、企業の信頼が大きく損なわれる危険があります。

 

マスコミ記者への取材対応4つの重要ポイント

マスコミ記者への取材対応における4つの重要ポイントを紹介します。

 

⑴ ウソは厳禁。誇張もしない

メディアの取材に対し、ウソをつくのは絶対NGです。

マスメディアの人々は、間違った記事を出してしまうことを極度に恐れます。

ウソ=ガセネタ=フェイクニュース、をプロの自分が世の中に出してしまうことは、これ以上ない恥なのです。

ですので、「この人はウソをつく人なんだな」と感じたら、二度と取材しなくなります。

ですので取材対応では、信用を失うウソは絶対につかないでください。

「少し誇張するくらいなら大丈夫でしょ?」と思う方もいらっしゃるでしょう。

ですが、その誇張された表現は、往々にして「宣伝くささ」を醸し出します。

マスコミ記者は、「ビジネス臭」に極めて敏感です。これを感じ取ったら、取材する意欲を大きく失います。

記者は、ウソも誇張もしない、素直で正直な人と仕事をしたい、と考えています。

 

⑵ 少しでも早く情報提供する

メディアの人々は、常に締め切りに追われて仕事をしています。

毎日、原稿を出稿する新聞テレビはもちろん、週刊誌も週1回の締め切りに間に合わせるのは大変です。

月刊誌は月1回のサイクルにはなりますが、それだけ濃度の高い素材をいくつも同時並行で日々進めているのです。

そのように時間にひたすら追われて仕事をしている人たちにとって、「いつ情報を出してくれるか分からない」という取材相手は、やっかいなものです。

すべての事実が揃っていなくても、現在わかっている範囲の情報を先に伝えることで、メディアとの信頼関係を築けます。

例えば、「現在、○件の苦情が確認されており、原因調査を進めています」といった部分的な情報提供でも、記者たちにとっては有益です。

大きな組織ほど、上司や組織内の調整が必要なのは理解しますが、あまりにスローなテンポだと、マスコミ記者から愛想をつかされます。

打てば響くような取材対応を心がけましょう。

 

⑶ 「記者の向こうに100万人いる」意識

目の前にいるのは、1人の記者かもしれません。ですが、その記者の背後には何十万、何百万の読者がいることを、常に忘れないでください。

あなたの記者への言動、態度、振る舞いが、100万人に伝わってしまう、と考えたら、いい加減な対応はできないはずです。

新聞社やテレビ局は、かつてほどの影響力はなくなっているかもしれません。新聞の部数は減り、テレビの視聴率は落ちています。

しかし、新聞テレビの記事は、ネットニュースを通じて膨大な人々にスマホで読まれています。

視聴率や部数では測れないところで、やはり今も多くの人々を動かしているのです。

逆に、発行部数の小さなメディアであっても、今はWEBを通じて全世界に記事が配信され、SNSを通じて情報が増幅されるということも起こりえます。

その意味で、取材対応はかつてよりも気を抜けなくなっている、とも言えるでしょう。

 

⑷ 誠実、冷静に対応する

取材対応には様々なテクニックも存在しますが、最も確実に効果を発揮するのが「誠実さ」です。

メディアの人々は、政治家から会社経営者のようなリーダーから、反社会的勢力、犯罪者といった一筋縄でいかない人々まで、ありとあらゆる人間を知る「人間の目利き」です。

だから、小手先のテクニックは通用しません。

私も記者時代、さまざまな方々にお会いしてきましたが、その時に重視したのは「この人は誠実だろうか?」という点です。

新商品発売のようなポジティブな取材であろうと、不祥事のようなネガティブな取材であろうと…

誠実な人であれば、こちらも誠実に記事を書こう、と記者は考えるものです。

それに対して、「逃げる」「ごまかす」「ウソをつく」ような人だったら、記者も人間ですから、批判的なトーンの記事を書くことになります。

 

⑸具体的な対応策の提示する

突発的な事件、事故が起きた際、どんな対応を取っているのか?について、具体的に言葉で伝えましょう。

例えば上記の会話事例であれば、「不具合に対して全顧客にメールで案内を開始しており、返品や補償についても検討中です」といったものです。

こうした具体的な対応を提示することで、記者に安心感を与えられます。

 

 

「メディアリレーション」については、この記事でより詳しく説明しています。

 

●注意!記者に嫌われる取材対応7つの言動

以下のような取材対応をすると、マスコミから反感を買い、ネガティブな報道につながるリスクが一気に上がりますので、注意しましょう。

 

①数値やデータがあいまい。ウソをつく

「たぶん、○○○だと思うんですけどね〜」という話ぶりをする方がいます。

「たぶん」のようなあいまいな話をされると、記者は非常に困ります。

危なくてとても新聞やテレビでは報道できないからです。

あいまいな話ばかりする人は、「信用できない」と判断され、取材が来なくなります。

ウソは論外です。意図的にウソをついて、記者に自分にとって有利な記事を書かせようとする人がごくたまにいます。

しかし記者は複数のスジから情報をチェックするので、ウソをついてもすぐバレます。その結果、信頼を失います。

 

②専門用語、カタカナ語の多用

職人タイプの方に多いのが、専門用語だらけの説明です。

もちろん取材に行く記者が、ある程度は勉強して取材に臨むべきなのは言うまでもありません。

ただ、一般のテレビ局や新聞社は幅広い世の中を取材対象とするため、専門業界メディアと違い、個々の業界について深い知識を持ち合わせてはいません。

ですので、一般的な新聞テレビの取材を受けるときは、その記者の向こうに何も知らないたくさんの読者・視聴者がいると想定して、「素人でも分かる説明をしよう」と心がけてください。

また、「ソリューション」のような日本語で言えば済む言葉を、格好つけてカタカナ語で語る人もいます。これも控えましょう。

 

③対応が遅い

社内で調べたらすぐ分かる話について、記者から「教えてください」と問い合わせが来たとします。

その際、すぐに返事が来なかったら、記者は「どうしてすぐ分かることを教えてくれないの?」とイライラします。

なぜなら、テレビ新聞の記者は毎日、ニュースの取材と執筆に追われまくっていて、すぐに原稿を出さないといけないからです。

報道にはとにかくスピードが求められます。

なぜなら、「ニュース」ですから、今のニュースは今すぐ出さないといけないからです。

あなたが読者視聴者の立場だったら、1日遅れのニュースを今日読まされたら、「なんで情報こんなに遅いんだよ!」と怒りますよね?

だから、とにかく情報を早く取得したいのがマスコミ記者なのです。

そういう状況なので、私も記者時代、一般企業の対応の遅さに閉口したことは一度や二度ではありません。

一般企業の感覚だと、「問い合わせには明日対応すればいいよね」と思うかもしれませんが、テレビ新聞の記者は、スピード感を求めているということを知っておいてください。

 

④型通りの話しかできない

記者時代、取材相手が型通りの話しかできないと、本当につまらなかったです。

「ムダな取材時間だった…」とうなだれて帰路についていました。

記者は、「本音」を探りたいという欲求を皆、持っています。

型通りの話しか記事にできないんだったら、紙をもらってそれだけで原稿を書けばいいんです。

わざわざ会いに来ているということは、紙ではわからない、感情や肉声、想い、といった深い部分の本音を直に聞きたいからです。

組織としての記者会見などでは特に、最近こういうテープレコーダーのような型通りの受け答えしかしないケースが多いです。

建前の話しかしないのではなく、1人の人間としての本音を記者の前で堂々と語れる人ほど、記者に好かれます。

 

⑤不公平な対応をする

過去、「日経新聞を優遇する」といった方針を打ち出した行政機関がありました。

その際もちろん、日経以外のメディアから大きな反感を買いました。

また、企業でもメディアを差別する人が少なからずいます。

例えば、地方新聞や夕刊紙を軽視し、「そんなところに載っても意味ないだろ」と平気で言うスタートアップ経営者などです。

もちろん、個々の記者の取材努力によって、その記者が他社をリードする情報をつかむことは全く問題ないのですが、

取材を受ける側が、メディアの発行部数や影響力といった「自分の得になりそうなメディア」だけを優遇すると、やがて痛い目を見ます。

なぜなら、メディアの世界は意外と狭く、ヨコの関係で多くのメディアの人たちは繋がっているからです。

「あの会社、取材やめた方がいいよ」といった悪評はすぐ広まります。

逆に、小さなメディアにも丁寧に対応していると、その記者から好かれ、大手テレビ局の知人を紹介してくれてテレビで全国放送された、という例もあります。

 

⑥記者の上司や、広告の話をする

「あなたの上司を知ってるんだよ」という方がたまにいます。

そのこと自体は全然問題ありませんし、むしろ教えていただきたい情報です。

ですが、「変な記事書いたら上司に言うぞ?」というニュアンスを感じたら、記者はとても嫌な気持ちになります。

以前、ある不祥事企業の社長から「あんたの○○社長知ってるんだよ」と言われたことがあります。

読売の関連会社の社長でしたが、現場の1記者に過ぎない自分には雲の上の人ですし、もちろん面識もありません。「だから何?」と思ったものです。

その後、その不祥事社長の会社は廃業しました。

また、自社に広告を出している鉄道系企業の事業を批判する記事を書いたことがあります。

広告部署から、私のいる編集局にクレームが来たようですが、私の上司がはねつけてくれました。

そして「悪質な会社だ、もっと追及しなければ!」と、よりファイトをたぎらせたのは言うまでもありません。

 

⑦たらい回し対応

官公庁にありがちなのですが、記者から取材問い合わせを受けた際、「うちの課じゃない」などと逃げて、たらい回しするケースがあります。

「面倒くさい」とばかりに他の部署に丸投げし、それを受けた人も対応を拒み…という無責任対応のサイクルに入るのです。

私も記者時代、このたらい回しをされたことがありますが、かなり腹が立つものです。

まず取材を受けた方は、1人の社会人として、責任をもって対応をしてください。逃げるのは論外です。

明らかにあなたの担当ではないのだとしたら、正しい担当者を速やかに突き止め、責任を持って引き継ぐようにしましょう。

大きな組織ほど、社会的責任は大きいですから、全社員・全職員が「広報マインド」を持つべきです。

組織にいる1人1人の記者への対応が、組織全体の社会的評価をも左右します。

たとえ記者がネガティブな記事を書かなかったとしても、記者というのは行動範囲がとても広く、多くの人と話をします。

だから、「あの会社はダメ」「あの役所はダメ」といったうわさが広まるようになり、社会的な評価を下げてしまうのです。

 

マスコミ取材対応5つのプロセス

自社の商品サービス発表など「前向きな情報」をメディアに伝えて取材を呼び込むケースで、マスコミ対応の流れを押さえておきましょう。

 

①取材に来てもらう準備

多くの会社は、なかなかメディアに取材に来てもらえず苦労しています。なぜなら「マスコミに取り上げてもらいたい」と考える会社はものすごく多く、競争率が高いからです。

記者に取材に来てもらうには、「質の高い情報」「ニュース価値のある情報」を作ることが最も重要です。

取材される広報企画づくりについては、こちらの記事をご参照ください。

 

優れた企画(=ネタ)をつくった上で、「プレスリリース」を書き、マスコミ各社に配信しましょう。

 

②取材申し込み時

取材の申し込みは、電話やメール、あるいは会社サイトの受付フォームから届きます。

メディアからの取材申し込みを見落とすことがないように、こまめにチェックを怠らないでください。

せっかく取材の打診が来たのに返信が遅れ、「テレビの全国放送を逃した…」というケースが意外とよくあります。

こうなったら本当にもったいないですよね。

新聞やテレビは1分1秒を争って取材しています。すぐ反応がないと、別のところに取材に向かいます。だから取材申し込みには即時対応できるようにしておきましょう。

なお、知らないメディア、素性のよく分からないライターなどから取材申し込みが入ることがあります。

そういう場合は、「取材趣意書」「企画書」を出してもらいましょう。

その文書によって、どういう意図の取材なのか?具体的にどんな目的か?誰を取材をしたいのか?それから、記事はどんなメディアのどのコーナーに掲載されるのか?を把握します。

その上で、取材を受けるかどうか、判断すれば良いでしょう。

 

③取材の前

メディア側と取材の日時、場所を調整しましょう。社内との連絡も滞りなく行ってください。

日時等が決まれば、記者に提供できる書類やデータ、画像などをひと通り用意しておきましょう。

その上で、取材に来るメディアをリサーチしましょう。どんな読者に向けてどんな記事を載せている媒体か?は最低限押さえておきます。

それから、取材に来る記者がどういう記事を書いているのか?どんな仕事をしているのか?も調べておきたいです。

記者は、「相手が自分の記事を読んでくれている」と分かればうれしくなります。なので取材当日の会話がスムーズに進みます。

なお、商品サービスに関する「前向きな取材」であれば、特に想定問答を事前に作る必要はありません。変に構えず、素直にありのままを説明すれば良いだけ、だからです。

ただ、不祥事案件の取材対応の場合は話が別です。想定される質問と回答を準備しておきましょう。

危機管理広報の基本と備えについてはこの記事をご覧ください

 

④取材の当日

・身だしなみを整える

当たり前の話ではありますが、取材者に不快感を与えないよう最低限の身だしなみは整えておきましょう。

特にテレビなど映像系のメディアは、だらしない服装や髪型だった場合、その様子が全国に放送されてしまえば、せっかくのメディア露出効果がマイナスになりかねません。

 

・取材同席者は必要最小限に

記者は社長にだけ話を聞きたいのに、部長や広報担当など、何人もスタッフが同席するような取材対応は控えましょう。

頼んでもいない人に同席されると、記者は「取材しにくい…」と感じ、印象が良くありません。

また、広報担当者が同席することがよくあります。取材を受ける社長や社員をサポートする意図はわかりますが、記者や取材を受ける本人から求められない限り、口を挟むことは控えましょう。

取材中に不必要に口をだす広報の方がたまにいますが、記者に「報道をコントロールしようとする会社だな」と判断され、その後、取材が来なくなります。

 

・記者会見の場合

記者会見を実施する場合は、この記事を参考にしてください。

 

 

⑤取材の後

・取材の記録を残しておく

いつどこで、どんな取材を受けたのか?どんな受け答えをしたのか?について、可能であれば記録を残しておきましょう。

まともなメディアの取材ではまずあり得ませんが、万が一、話していないことを記事にされた場合に反論する証拠にもなります。

また、社長や社員が客観的な立場のメディア記者から取材された時、社内では意外と知られていなかった秘話やエピソードが飛び出すこともよくあります。

そうした情報は、広報担当者にとって今後の情報発信で活かせる素材になり得ます。

 

・追加の情報を速やかに記者に伝える

取材時の質問で、過去のデータなどが手元になく、すぐ回答できないケースはよくあります。

その場合は、取材の終了後、速やかに調べた上で、その情報を記者に迅速にメールや電話で知らせましょう。

 

・メディア掲載、出演を予告する

取材していただいた記者やディレクターに、記事の掲載や放送はいつになるか?尋ねてみましょう。

日付けが分かり、対外的に発信して問題ないと了承が得られれば、社内や社外の関係者に「○月○日の○○という番組でうちの社長が出演する予定です」などと知らせておきましょう。

 

⑥掲載、放送された後

・SNSシェアや自社サイト告知で、拡散を図る

テレビや新聞で掲載・放送されたら、そのことをSNSや自社のサイトなどでぜひ伝えましょう。

「メディア掲載された会社・人物」という事実を知ってもらうだけでも、あなたのビジネスの信頼性が劇的にアップします。

その際に注意すべきなのは、記事や番組の「著作権」です。

くれぐれも記事そのものの画像や、テレビの動画をそのまま自社サイトなどにアップしてはいけません。

取材を受けて制作された記事や番組の著作権は、新聞社・テレビ局にあります。勝手に使用してしまうのは違法です。

ただ、自社サイトに文章で「○月○日の○○という番組でうちの社長が出演しました」という事実を伝えるだけなら、何の問題もありません。

また、新聞社やテレビ局がウェブ上にアップした記事や動画にリンクを貼ることも基本的には問題ありません。単に他のページへの参照(URL)を提供しているだけで、そのページ内容を複製しているわけではないからです。

もし、「掲載記事そのものや映像を利用したい」ということであれば、取材してくれた記者に相談してみてください(ただ、商用利用は認められないケースもあります)。

多くのマスコミでは「記事や映像の二次利用申請」を受け付けています。定められた利用料を支払えば使用できる場合がありますので、チェックしてみてください。

・読売新聞の「記事・写真・動画の利用申し込み」受付はこちら。

・NHKの「放送番組の利用をお考えの方へ」はこちら。

 

・誤報や間違った報道には毅然と対応する

取材を受けた記事や放送が公開された時、「事実と異なる」という内容が含まれているケースがたまにあります。

その際は、取材を受けた記者に対して遠慮せず、きちんと伝えてください。

記事は新聞記事データベースに保存されます。誤りを指摘しないで放置しておくと、他の記者もその記事を参考にして記事を書くことがよくあるので、間違った報道がその後も続くことになりかねません。

 

また、取材時に受けていた説明と違った取り上げられ方をしている、ということもあります。

どういう記事や番組を作るか?についての編集権はメディア側にありますので、一言一句までこちらの思い通りの内容で取り上げてもらうのは不可能です。

それにしても、限度を超えていると感じられた場合は、メディアに対して申し入れを行いましょう。

 

過度のクレームを記者に対して行うのは、相手との関係が悪化し、その後の広報活動に支障を来たすので慎重であるべきです。

しかし、記者へのリスペクトを忘れず、譲れない一線は守り、筋を通す姿勢を示しておくことで、逆にメディアから信頼されることもあります。

 

マスコミ以外へのメディア対応

ソーシャルメディア(SNS)

インターネットの発展で誰もが自由に発信できるようになった今、企業団体の広報はマスコミだけでなく、ソーシャルメディアへの対応も必要になっています。

総務省のデータによると、全体としてSNS利用率は年々増加しており、2020年時点でも73.8%。特に若い世代ほど利用者が多くなっています。

今後のメディア対応は、マスメディア向け広報だけでなく、一般ユーザーとの直接的な対話も視野に入れて行う必要があります。

 

インフルエンサーへの対応

インフルエンサーとは、主にSNSでの情報発信によって世間に大きな影響力を持つ人物のことを指します。最近のSNS利用者が増えていることに伴い、さまざまなジャンルで人気を集めるインフルエンサーが出現しています。

こうした人物はたくさんのフォロワーを抱えているため、商品サービスを紹介するとファンがこぞって買い求めます。

このためインフルエンサーをマーケティングに利用しようとする企業は増えています。

広報活動としても、届けたい情報を一気に広める1つの方法として、各分野のインフルエンサーを把握し、協力を求めることも考えておくと良いでしょう。

 

ステマ(=やらせ行為)はダメ!絶対

ステマとは、「ステルスマーケティング」の略で、広告であることを隠してSNS等で商品やサービスの評価や情報を発信することを指します。

特に上記のインフルエンサーに金銭を提供しながら、あたかもインフルエンサー個人の「感想」を装ってPRを行わせ、フォロワーらを誤認させて購入させるケースが問題になっています。

ステマは平たく言えば「やらせ行為」であり、発覚した場合は広く世間の信用を失います。

日本では2023年10月1日からステマが法的に規制されることになり、広告性の明示が義務付けられました。

ステマは広報PRで最も重要な「信頼」を損なう行為であって、決してやってはいけません!

 

危機管理の基本

不祥事や事件・事故など、組織にとってクライシス事態が発生した時のメディア対応はとても重要です。

危機発生時のメディア対応については、以下の記事で説明していますので目を通しておいてください。

 

 

最低のメディア報道対応にならないよう、日頃の心構えが大事!

ここまで、メディアとの良好な関係を築くための取材対応について多岐にわたってご紹介してきました。

取材対応は、生身の人間を相手にするコミュニケーション活動ですから、単に情報を伝えるだけでなく、どのように伝えるか?が企業や組織のイメージを大きく左右します。

特に大事なのは、いつも誠実さと迅速性を持って対応することです。

ただ単にメディアへの対応方法だけをテクニック的に学ぶのではなく、その心構えをいつも日頃から持ち続けるようにしましょう。

日々の業務の中から、メディア対応に備えましょう。誤情報を避け、正確なデータと情報を迅速に提供する体制を整え、常に透明性を保つように努めることです。

そして、小さなメディアであっても差別せず、公平な対応を心がけましょう。それが長期的には企業の評判を守り、信頼を築いていきます。

日ごろからの各メディアと健全な関係を育むことで、危機的な状況にも強く、柔軟に対応できるようになります。

結局のところ、メディアとの良好な関係は「相手を尊重し、誠実に接すること」に尽きます。

この基本を忘れずに、毎日を丁寧に過ごし、あなたのメディア対応力を高めていってください!

 

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