マスコミに取り上げてもらう3方法・2ルート。新聞テレビ雑誌から取材されるコツを元読売新聞記者が解説します
マスコミに意図的に取り上げてもらう方法があります。
このことに気づき、陰でこっそりメディア戦略に取り組み始めた、という会社はここ数年でもかなり増えています。
私は読売新聞記者11年など、メディア業界で25年仕事してきました。
私の経験をもとに、マスコミ広報の実態やコツをこの記事で説明していきます。
・マスコミ取材を受けるための具体的な方法やルートが知りたい方
・マスコミへの広報PR活動を効果的に展開したい方
・取材を受けるにはどんなコツが必要なのか?知りたい方
この記事にマスコミ広報に必要な情報を盛り込んでいますので、ぜひ最後までじっくりお読みください。
※この記事は2017年3月9日に公開しましたが、2024年8月15日にリライトして再アップしました。
目次
ルート1 自らメディア(マスコミ)各社にアプローチする
まずは、自分から新聞社やテレビ局ラジオ局、雑誌社といったマスコミ各社に持ちかける、というルートです。
自ら働きかける方法として、大まかにいって2つあります。
「プレスリリース」と、「企画の持ち込み」という方法です。
方法①プレスリリースを書いて報道機関に配信する
プレスリリースとは、新聞テレビといった報道機関に、新しい情報を知らせる文書のことを指します。いわゆる「ニュースのお知らせ」です。
私が現役の新聞記者だった時、このプレスリリースを毎日たくさん受け取りました。
かつてプレスリリースを打つのは、官公庁や公共性の高い企業だけでした。
ところが、最近はプレスリリースを「宣伝ツール」として、メディアにばら撒く企業がとても増えています。
そうしたプレスリリースの大半は、マスコミ記者やディレクター、編集者らから「あざとい売り込みだな!」と嫌われています。
あなたには、嫌われるプレスリリースを書いてほしくありません。
マスコミの人たちは、プレスリリースを「ただの宣伝」と判断したら、即ゴミ箱に捨てます。
プレスリリースはあくまで、「社会性・公共性のあるお知らせ」。これが基本中の基本です。
マスコミに取材お願いするプレスリリースの書き方と例文は、この記事で詳しく紹介しています。
プレスリリースの送り先はどこに送ったらいいの?という疑問には、この記事でお答えしています。
方法②企画書を書いてマスコミ(メディア)各社にご提案する
プレスリリースは、新聞社やテレビ局といった「報道機関のニュース部署」に送ります。
しかし、マスコミが報じるのはニュースだけではありません。
テレビには情報番組がありますし、新聞も生活情報面がありますよね。
雑誌はなおさらで、月1回や週1回の発行ですから、ニュース記事はかなり少ないです。
では、どういう記事や番組なのか?というと
「企画記事」「企画番組」です。
ある出来事や世の中の現状を深く掘り下げたり、全体像をわかりやすく解説したりする記事や番組です。
そうした企画特集を制作するメディアの部署には、生の動きを知らせるプレスリリースよりも…
「こういう特集はいかがでしょうか?」とメディア目線で持ちかける「企画のご提案」を行うのです。
その提案内容を採用してもらうには、もちろん、そのメディアの読者層・視聴者層が喜んで食いつくであろうテーマを選ぶことが必須になります。
そのためには、あなたが狙うテレビや新聞紙面、雑誌のバックナンバーにじっくり目を通し、研究しましょう。
相手のメディアが制作している記事や番組の内容を調べた上で、あなたが提供できる情報をピックアップし、その記事や番組にマッチした企画に仕立て上げるのです。
例をあげます。
例えば、あなたがスポーツトレーナーで、「30〜40代女性が読む雑誌を狙いたい」と考えたとします。
その上で、記事をじっくり見ていくと、ダイエット系の記事を読者は求めている、ということがわかります。
そこで、あなたが持っているダイエットのノウハウをもとに、企画書を作って編集者に提案していく、という流れです。
同じ文書をマスコミ各社に届けるプレスリリースと異なり、企画書はそのメディアごとにカスタマイズしていくことが必要になります。
なぜなら、雑誌・メディアごとに読者ターゲットが細かく異なるため、
求められる企画も、雑誌・メディアごとに変わってくるからです。
企画書の書き方は、私の本をお読みください。
ロジカルな文章、情緒的な文章(クロスメディア・パブリッシング)
マスコミ(メディア)への具体的アプローチ方法
まずは、プレスリリースまたは企画書を、マスコミにお届けしましょう。
最もおすすめの送り方は「郵送」です。
昨今メールで送っても、あまりに大量に届いているので、ほとんど読まれていないのが実態だからです。
郵送できる送り先の住所リストを、いま特別に無料でプレゼントしています。
また、具体的な送り方は、私の本で詳しく説明しています。
方法③PR会社、専門家に依頼する
上記で「プレスリリース」「企画書」を作成して送る方法を紹介しました。
ただ昨今は、上記の文書をメディアに送る会社が劇的に増えています。
その増え方は、最近10年で10倍近くなっており、メディアの枠を取り合う競争率は激しさを増しています。
こうした状況なので、素人が自分で「プレスリリース」「企画書」といった文書を書いても、うまくいかないことがほとんどです。
そこで、メディアについて熟知したPR会社や専門家の力を借りて、メディアにアプローチする、というのが第3の方法です。
PR会社には、大小さまざまな規模の会社があります。
大手でよく知られているのは、以下のような会社です。
・株式会社ベクトル
・株式会社サニーサイドアップ
・株式会社電通PRコンサルティング
・株式会社プラップジャパン
こうした大手に頼むと「月額100万円〜で年間契約」など、かなりの費用がかかります。他のPR会社でも、月額数十万円〜かかります。
その分、丸投げでプレスリリースや企画書の作成、メディアへの接触を任せることができます。
(とはいえ、「100%メディアに出られる」保証はありません)
ちなみに私は広報の専門家ですが、「広報の丸ごと代行」は受けていません。広報戦略をアドバイスする「コンサルティング」に特化しています。
広報コンサルティングとは?は、この記事で詳しく説明しています。
ルート2 メディア(マスコミ)から検索エンジン等で見つけてもらい取材オファーを受ける
ここまで、「自らメディアにアプローチして取り上げてもらう」ルートについて、紹介してきました。
この場合、自社はメディアに「記事にしてください」と頭を下げてお願いする側なので、どうしても立場が弱いです。
しかし、もう1つのルートは、あなたはメディアから「記事にさせてください!」と頭を下げてお願いされる立場に一変します。
それが「メディアの方からわが社を見つけてもらい、取り上げてもらう」というルートです。
現在、メディアの関係者は、ネタ探しにインターネットの検索エンジンを大いに活用しています。
私も新聞記者時代、よくGoogleやYahoo!で検索して「良い取材先はないかな?」と探していました。
検索エンジンで上位に表示されるのは、「質の高い情報」です。
その意味で、取材を獲得するには、ネット上に良質な情報をストックしていく重要性がいっそう増しています。
これからの時代、会社の広報としてホームページやブログといったオウンドメディアに取り組むことからは避けて通れません。
もちろん、ただ漫然と質の低い情報を垂れ流すだけではダメです。
検索エンジンで上位に表示されませんし、目利きのメディア関係者からお声がかかることはありません。
検索エンジンで評価され、上位表示を勝ち取るには、検索ユーザーのニーズにドンピシャで刺さる内容とともに、「他にはないオリジナリティ」が求められます。
検索で見つけてもらうための具体的なやり方は、この記事で詳しく解説しています。
「検索ユーザーが求めている情報はどのようなものか?」を徹底して突き詰めつつ…
「このテーマなら、うちの右に出るものはいない!」
という情報コンテンツを、惜しみなくウェブ上にどんどんアウトプットしていきましょう。
さらには、「書籍の出版」もメディアから見つけてもらう良い方法です。
私自身も著書「手紙を書いてマスコミにPRする方法」を出版した直後、日本広報協会の「月刊広報」や雑誌「商業界」から声がかかり、記事にしていただきました。
なお、出版といっても全国の書店に本が並ぶ「商業出版」でないと意味がありません。
Kindle出版といった電子書籍や自費出版は、メディア業界では評価されません。なぜなら「誰でも出せる」=価値が低いからです。
検索エンジンや書籍を通じて、メディアから見つけてもらい、声がかかりやすいのは以下のような情報です。
1 専門性が高いコンテンツ
メディア関係者は、いつも様々な分野の専門家を探しています。
だからあなたは、自身の専門分野についての知見の深さが読み手に伝わるよう、ブログやSNSといった自社メディアから発信する情報の質と量を充実させましょう。
せっかく素晴らしい能力や実績があるのに、オウンドメディアでそれを出し切っておらず、損をしているプロフェッショナルの個人や会社がとても多いです。
なお、他に差をつける重要なポイントは、そのオウンドメディアの「コンセプト」です。
他に同じような専門家がいて、特異性の感じられない打ち出しでは、耳目を集めることはできません。
例えばダイエットなら、他の専門家が誰もやっていないような痩せるメソッドだったり(例・新聞紙で痩せる)、痩せる部位を打ち出したり(例・鼻が痩せる)して、
「今まで聞いたことがない」「これは珍しい」と感じさせられたら目立ちやすくなります。
2 時事性のあるコンテンツ
新聞やテレビは、毎日情報を発信しています。このため、その時々の季節やニューストレンドに応じた素材を欲しがっています。
極端な例をあげれば、航空機事故が起きれば、航空の専門家がテレビに出ますよね。
あるいは戦争が起きれば、軍事の専門家の姿を各メディアで目にすることになります。
ここまで大きな時事ニュースではなくても、
・女性の社会進出
・労働時間の短縮
・物価の上昇
…などなど、時事テーマは無数にあります。
あなたの専門性と、こうした時事テーマと絡めて情報発信することを考えてみましょう。
すると、常に検索エンジンで時事に絡む専門家を探しているマスコミ関係者の目にとまりやすくなります。
例を挙げます。「ふるさと納税」がここ数年、話題のトピックになっています。
そこで、あるファイナンシャルプランナーが「ふるさと納税の上手な活用法」といった情報をブログで発信していきました。
すると、WEB検索などして専門家を探していたテレビのディレクターから出演依頼が来たのです。
上記のように専門性、そして時事性を意識し、ウェブ上にあなたならではのコンテンツをストックしていってください。
中小企業がブランディングできるオウンドメディアの作り方は、こちらをご覧ください。
新聞に取り上げられた事例
ネット時代の現代でも新聞の影響力は強いです。最近、新聞掲載された方の話を紹介します。
なんと、紙面の1/4ほどのボリュームで大きく掲載して頂き、自分でもびっくりしています。
あまりにも大きいので、嬉しいやら照れくさいやら(笑)
この日は朝からたくさんの方から「新聞みたよ~」と連絡がありました。
新聞には私への問い合わせメールアドレスも掲載していただいたのですが、
全く見ず知らずの方からも、「チョークアートの絵に感動しました。これからもがんばってください」と励ましのメールを頂きました。
こんなこともあるんですね!!
また新聞に掲載された事がきっかけで、大きな仕事の依頼や、ラジオ出演の依頼が来たりと新たなビジネスチャンスも広がりました。
(教室経営、女性)
掲載後、電話がすごかったです。
鳴りっぱなしだったのですが、私一人なので、出ることができず。
でも、新聞からブログ検索されて、
その後、スクールやサロンのサービスに申し込まれたりと、
本当に、新聞の掲載は大きいですね。
お客様にも、「すごいねー!ますます人気出るやん!」
(サロン経営、女性)
新聞掲載で、信頼性とブランドが一気に高まっているのがお分かりいただけるかと思います。
ここが「広告」とは大きく異なるポイントです。
広報PRと広告宣伝は、まったく異なります
念のため、確認しておきたいことがあります。
メディアに出るというと、「お金を払うんでしょ?」と聞く人がいますが、違います。
お金を払って宣伝してもらうのは「広告」です。
これに対して、広報PRは「頭を下げて、記事や番組で取り上げていただくよう働きかける取り組み」です。
「取材されて新聞テレビに出る」ことと「広告を載せる」ことの違いを、表にまとめました。
違いがおわかりいただけるでしょうか?
新聞やテレビの記者から取材を受ければ、基本お金のやりとりは一切ありません。
私も新聞記者を11年以上やりましたが、取材した相手からお金をいただいたことは1回もありません。
もちろん新聞社には広告部門があります。
しかし、記者がいる編集部門と、広告部門はふだんまったく接点がないのです。
記者は、自社の売り上げなど一切考えていません。
その代わり、「読者に届ける価値のある情報かどうか?」を公平・中立に考えて、記事にするかどうか判断します。
今の人々は、広告宣伝で「最高の触り心地!」「とろけるような味わい」といった美辞麗句をいくら見せられても、信じなくなっています。あなたもきっとそうでしょう。
しかし、記者という第三者の目を通して書かれた「客観的な記事」は、多くの人たちが高い信頼を寄せて信じてくださるわけです。
だから、新聞やテレビ、雑誌に記事や番組で紹介してもらうことの効果は、非常に大きいと言えます。
広報戦略プラン作成から実行10の流れ
ここまで、マスコミに取り上げてもらうルート・方法について説明してきました。
実際は、広報では出たとこ勝負ではなく、会社として戦略的に取り組む必要があります。
以下のような流れで、じっくり腰を据えて取り組んでみてください。
1、広報する目標と目的を明確にする
2、どのメディアを狙うか?ターゲットを特定する
3、世の中がどんな情報を求めているか?マクロとミクロで把握する
4、社として、世の中に発信する中心的メッセージを作る
5、プレスリリースや企画書など、質の高いコンテンツを作成する
6、メディア各社に郵送などでお届けしていく
7、記者らに電話したり会いに行ったりする
8、小さな記事でも載ればお礼を伝え、関係を深める
9、メディア側のニーズを調べ、喜ばれる情報を提供する
10、自社トップとこまめに意思疎通を図り、社の戦略や方向性を理解する
この記事で、広報戦略の3フレームワークと立案8手順、戦略の立て方から実行、測定まで徹底解説しています。
取材がグン!と増えるメディア対応のコツ
メディアとせっかく繋がりができたのに、露出が1回で終わる会社と、その後何度も取り上げられる会社に大きく分かれます。
その差は、「メディア取材への対応」にあります。
あなたの記者への接し方で、テレビや新聞の報道のトーンは大きく変わります。
基本的なメディア対応のポイントは
・売らんかな、の宣伝をしない
・正しい情報、データを提供する
・絶対うそをつかない
・専門用語ばかり使用しない
・スピード感を持って対応する
・自分の言葉で話をする(型通りの話ばかりしない)
いずれも「当たり前」のことですが、意外と多くの会社ができていません。
メディアへの取材対応で失敗し、広報が伸びない会社はとても多いです。
もっと詳しくメディア取材対応のコツを知りたい方はこの記事をご覧ください。
マスコミと中長期的に良い関係を築くやり方については、この記事をご覧ください。
まとめ:マスコミ取材獲得に必要なポイント
メディアに取り上げてもらうことは、意図して実現できます。あなたが正しい考え方で、正しい行動を起こせば、マスコミはやって来ます。
メディアに出られるかどうかは、「運」ではありません!全てはあなたの決断と行動にかかっています。
確実に言えることは、あなたから情報を発信していくこと。
待っているだけではメディアから見つけてもらえない、と肝に銘じましょう。
情報発信の方法としては、オーソドックスなのが「プレスリリース」。そして、「企画書」という方法もあります。
さらには、検索エンジンから取材を呼び込めるよう、ウェブ上の自社メディア(オウンドメディア)に情報をストックしていくことです。
情報発信はもちろん大事ですが、最も大事なのは言うまでもなく情報の内容、質です。
単なる売り込み宣伝は、メディアから嫌われるため、世の中に広まることはありません。
“PR” のPは、「パブリック」のPです。つまり、公共性のない情報素材は、メディアの人が取り上げません。
だから、情報発信を始める前に、公共性のあるコンセプトのデザインを必ずやっておきましょう。
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