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記者が教える広報PRの方法

広報PR情報No.1サイト 元読売新聞記者 坂本宗之祐

マスコミに取り上げてもらうには?新聞・テレビ・雑誌から取材される2ルートと戦略【元読売新聞記者が解説】


マスコミに取材されるには、どうすればいいのか。結論から言うと、マスコミに取り上げてもらうには、大きく分けて2つルートがあります。

ひとつは、自らマスコミにアプローチするルート。もうひとつは、マスコミの側からあなたの会社を見つけてもらい、取材依頼を受けるルートです。

ところが現実には、「プレスリリースを出しても反応がない」「何度送っても、まったく相手にされない」「広報PRしているのに取材が来ない」と悩む会社が非常に多いです。

その根本的な理由は、マスコミに取材される仕組みを誤解している点にあります。

私は読売新聞記者として11年間、その後もメディア業界で26年仕事をしてきました。記者として、また広報PRの専門家として、数え切れないほどの「取材される会社」と「されない会社」を見てきました。

そこで確信しているのは、取材は運ではなく、「信用をどう設計しているか?」で決まるということです。

マスコミ露出とは、第三者による「信用の調達」です。

この記事では、

・マスコミに取材される2つの具体的ルート
・なぜ多くの会社が、プレスリリースを出しても無視されるのか
・取材される会社が必ず押さえている「公共性・メッセージ・導線」
・自分でやるべきことと、外部に任せるべきことの判断基準

を、元新聞記者の視点から、実務レベルで解説します。ぜひ最後までお読みください。

 

※この記事は2017年3月9日に公開しましたが、2025年12月17日にリライトして再アップしました。

目次

マスコミに取材されるには?結論は「2つのルート」

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マスコミに取材される方法は、実はとてもシンプルです。大きく分けると、ルートは2つ。

ひとつは、自分からマスコミに働きかける道。もうひとつは、マスコミの側からあなたを見つけてもらい、取材依頼を受ける道です。

多くの企業が失敗するのは、この2つのルートを混同したり、設計なしに場当たり的に手を出してしまったりすることに原因があります。

まずは、それぞれのルートの特徴を押さえておきましょう。

 

ルート①自分からマスコミにアプローチする

※「プレスリリース」と、「企画の持ち込み」

1つ目は、こちらから新聞社・テレビ局・雑誌社などにアプローチするルートです。

具体的には、次の2つの方法があります。

❶プレスリリースを作成し、報道機関に届ける
❷企画書を作り、番組や紙面向けに提案する

多くの人が真っ先に思い浮かべるのが、このルートでしょう。

 

自分からマスコミにアプローチするルートの注意点

ただし注意点があります。このルートでは、あなたは「お願いする側」です。

記者や編集者は、日々大量の情報を受け取っています。

その中で、「これは記事にする価値がある」と判断されなければ、どれだけ手間をかけて書いたとしても、取材にはつながりません。

特に近年は、

• 宣伝目的のプレスリリースが激増
• 企画の持ち込み競争も激化

しており、やり方を間違えると、かえってメディア側から嫌われるケースも少なくありません。

このルートを選ぶなら、

• 何をニュースとして届けるのか?
• どのメディアに、どの切り口で出すのか?
• 記者の立場で「使える情報」になっているか?

といった視点で、きちんと設計することが不可欠です。

 

ルート②マスコミから見つけてもらい、取材依頼を受ける

(※検索、オウンドメディア、出版)

2つ目は、マスコミの側からあなたを見つけてもらう方法です。

こちらは、立場が逆転します。あなたが「取材してください」と頭を下げるのではなく、「ぜひ取材させてほしい」と声をかけられる側になります。

現在、記者やディレクター、編集者は、

• Googleなどの検索エンジン
• 専門家のブログやオウンドメディア
• 書籍や過去の発信実績

を使って、取材先を探しています。

実際、私自身も新聞記者時代、「このテーマに詳しい人はいないか?」と検索エンジンを使って探すことは日常的でした。

このルートの特徴は、即効性は低いが、再現性と持続性が高いことです。

専門性の高い情報を、継続的に発信している
• 他にはない切り口や視点を持っている
• 時事テーマと専門分野を結びつけて語れている

こうした条件が整うと、マスコミの方から自然と声がかかるようになります。

オウンドメディアでの情報発信や、商業出版は、単なる集客手段ではありません。

「この分野なら、この会社(この人)!」と認識されるための装置なのです。

 

次の章では、なぜ多くの会社が、プレスリリースを出しても取材されないのか?その根本原因を、マスコミ側の視点から掘り下げていきます。

ここを理解しないまま動くと、どのルートを選んでも、遠回りになってしまうからです。

 

なぜ大半の会社のプレスリリースは取材されないのか?

「プレスリリースを出せば、マスコミに取り上げてもらえる」

そう考えている会社は、今も少なくありません。

しかし現実には、多くのプレスリリースが読まれることすらなく、記者の目に留まらないまま消えていきます。

それは、文章力が低いからでも、商品やサービスが劣っているからでもありません。

問題は、出発点の考え方にあります。

 


「宣伝すれば載る」という発想が、最初の失敗

企業側がやりがちな最大の勘違いは、プレスリリースを「宣伝文書」だと思っていることです。

  • 新商品を出しました
  • サービスを始めました
  • すごい実績があります

こうした情報を、「これはニュースになるはずだ」と思って送りたくなる気持ちはよく分かります。

しかし、記者の立場から見ると、それらの多くは単なる企業の都合にすぎません。

記者が毎日向き合っているのは、「どうやって企業を売るか」ではなく、

「読者・視聴者にとって、今伝える意味があるか?」です。

ここが噛み合っていない限り、どれだけ丁寧に書かれたプレスリリースでも、取材にはつながりません。

 


記者は「すごいかどうか」では判断していない

企業側はつい、

・技術力が高い
・実績が豊富
・業界初・日本初

といった点を強調しがちです。

しかし記者は、「すごいかどうか」「売れそうかどうか」で記事にするかを決めているわけではありません。

記者が見ているのは、もっとシンプルです。

・それは、社会とどう関係しているのか?

・いま世の中で起きている動きと、どうつながるのか?

・読者にとって、知る意味があるのか?

この視点が欠けている情報は、どんなに立派でも「記事にならない情報」として扱われます。

 


プレスリリースが「ゴミ箱行き」になる瞬間

少し生々しい話をすると、記者やディレクターは、プレスリリースを読みながら無意識にこう考えています。

これは誰のための情報だろうか?

社会的な背景はあるか?

この記事を出す理由を、編集会議で説明できるか?

この問いに答えられない瞬間、そのプレスリリースは静かにスルーされます。

「宣伝くさい」「会社の自慢話にしか見えない」

と判断された時点で、取材の可能性はほぼなくなります。

 


だから「やり方」だけ真似しても、結果は出ない

よく、

・テンプレート通りに書いた

・事例を参考にした

・PR会社が勧める形式で出した

という声を聞きます。しかし、型だけを真似しても意味はありません。

なぜなら、取材されるかどうかを分けるのは、文章の型、送付先、テクニックではなく、

その情報が「どんな意味を持つのか?」という設計だからです。

ここを理解しないまま動くと、どのルートを選んでも、「出しても反応がない」という状態を繰り返すことになります。

 


次の章では、こうした失敗がなぜ起きるのかを整理した上で、取材を獲得している会社が共通して押さえている考え方を解説します。

それが、

取材は「信用調達」であり、広告とはまったく別物だ

という視点です。

ここを理解すると、プレスリリースも企画も、オウンドメディアも、すべての意味が一本につながって見えてきます。

 

取材は「信用調達」。広告と広報PRはまったく別物

ここまで読んでいただくと、

「宣伝しても取材されない理由」が、少しずつ見えてきたのではないでしょうか?

それを一言で整理すると、こうなります。

マスコミ取材は、宣伝ではありません。

取材とは、第三者による“信用の調達”です。

この認識の違いが、取材される会社と、いつまでもされない会社を分けています。

 


広告はお金で枠を買うもの、取材は第三者評価を得るもの

広告と広報PRは、似ているようで本質がまったく違います。

広告は、

・お金を支払い
・決められた枠を購入し
・企業が言いたいことを伝える

ものです。

一方、マスコミ取材は違います。

・記者が情報の価値を判断し

・編集部の基準で選別され

・第三者の視点で記事や番組が作られる

つまり、企業がコントロールできない領域で成立します。

ここが重要なポイントです。

マスコミに取り上げられるということは、

「この会社(この人)の話は、社会に伝える価値がある」

と、外部から認められたということなのです。

だからこそ、取材には強い影響力があります。

 


なぜ取材されると、信頼・ブランド・ビジネスチャンスが一気に高まるのか?

新聞やテレビ、雑誌の記事を読んだ人は、それを広告として受け取りません

「記者が取材して書いた事実」

「編集部が載せると判断した情報」

として受け取ります。

その結果、

✔︎ 会社やサービスへの信頼感が一気に高まる

✔︎ 「よく分からない会社」から「きちんとした会社」になる

✔︎ 採用・価格・提携など、経営のあらゆる場面で効いてくる

という変化が起きます。

 

実際、私が取材してきた中でも、

◎ 広告では反応がなかったのに、取材後は問い合わせが増えた

◎ 営業で説明しなくても、記事を見せるだけで話が早くなった

◎ 「新聞に出た会社」として見られ、扱いが変わった

というケースは数え切れません。

これは、広告費をいくら積んでも得られない効果です。

 


だから広報PRは「やり方」ではなく「設計」が先に来る

ここまでの話を踏まえると、

「プレスリリースをどう書くか?」「どこに送るか?」

といった話は、実は後回しだということが分かります。

その前に考えるべきことがあります。

・自社は、社会に対してどんな意味を持つ存在なのか?

・どんなテーマで語られたいのか?

・その情報は、誰のどんな関心に応えるのか?

これが整理されていないまま、プレスリリースや企画書を書いても、記者には「使いようがない情報」に見えます。

取材を獲得している会社は、無意識であっても、必ずこの設計をしています。

 

次の章では、取材される会社が共通して設計している3つの要素

——公共性・メッセージ・導線——

について、具体的に解説していきます。

ここを押さえると、どのルートを選んでも、取材の成功確率が大きく変わります。

 


取材される会社が必ず設計している3つの要素

マスコミに取材される会社には、共通点があります。

それは、偶然うまくいっているのではなく、取材される状態を事前に設計しているという点です。

その設計は、次の3つの要素から成り立っています。

①公共性

②メッセージ

③導線

この3つが揃って、はじめて

プレスリリースも、企画提案も、検索経由の取材も「機能」します。

 


① 公共性:その情報は「社会の話」になっているか?

まず最も重要なのが、公共性です。

公共性とは、

「その情報が、社会全体にとって意味を持つかどうか」

という視点です。

多くの会社がやってしまうのは、

・自社の商品がどれだけ優れているか
・どれだけ実績があるか
・どれだけ頑張っているか

といった企業目線の情報発信です。

しかし、記者が見ているのはそこではありません。

・今、世の中で何が起きているのか?

・どんな課題や変化が広がっているのか?

・それに対して、この会社の話はどう関係するのか?

この「社会との接点」が見えない情報は、どんなに中身が良くても記事になりません。

プレスリリースは「宣伝文」ではなく、社会性・公共性のある“お知らせ”であることが大前提です。

取材される会社は、自社の話をそのまま出すのではなく、

「これは、社会のどんな話なのか?」

という形に翻訳してから発信しています。

 


② メッセージ:あなたは「何の専門家」なのかが一瞬で伝わるか?

次に重要なのが、メッセージです。

ここでいうメッセージとは、キャッチコピーの話ではありません。

✔︎ この会社(この人)は、何の分野に詳しいのか?

✔︎ どんなテーマなら、コメントを取りに行くべき相手なのか?

が、一目で分かる状態になっているかどうかです。

記者は、常にこう考えています。

「このテーマについて、誰に話を聞けばいいか?」

このとき、

・発信内容がバラバラ

・何が専門なのか分からない

・どこが強みなのか見えない

そんな会社は、候補から外れていきます。

取材される会社は、

・このテーマなら、この会社

・この分野なら、この人

記者の頭の中で“ラベル付け”されている状態を作っています。

 


③ 導線:記者が「取材できる状態」になっているか?

3つ目が、導線です。

これは意外と見落とされがちですが、非常に重要です。

いくら公共性があり、専門性のあるメッセージを発信していても、

・情報がどこにあるのか分からない
・実績や背景が確認できない
・問い合わせ先が不明確

では、記者は動きません。なぜなら、記者はとにかく忙しいからです。

◎すぐに裏が取れるか?

◎すぐに話が聞けるか?

◎すぐに記事化のイメージが湧くか?

この「すぐ」が揃っていないと、他の取材先に流れていきます。

取材される会社は、「探せば情報が揃う」「このまま取材に進める」という状態を、あらかじめ用意しています。

 


3つが揃って、はじめて「2つのルート」が機能する

ここまで見てきた、

・公共性

・メッセージ

・導線

この3つが揃っていない状態で、

・プレスリリースを出す
・企画を持ち込む
・検索対策をする

といった行動だけを増やしても、成果はなかなか出ません。

逆に言えば、この3つが設計されていれば、どのルートを選んでも取材の成功確率は大きく上がります。

 

次の章では、まずルート①「自分からマスコミにアプローチする方法」について、プレスリリースと企画持ち込みの具体的な考え方を解説します。

「嫌われないやり方」と「選ばれる視点」を、記者側の論理から整理していきましょう。

 

ルート① 自分からマスコミにアプローチする具体的な方法

取材されるための1つ目のルートは、自分からマスコミに働きかける方法です。

具体的には、主に次の2つがあります。

❶プレスリリースを作成し、報道機関に届ける

❷企画書を作り、テレビ番組や紙面向けに提案する

ただし前章でお伝えした通り、

「出せば載る」「送れば取材される」ほど、マスコミは甘くありません。

ここでは、記者の視点を踏まえた正しい考え方と実務を解説します。

 

⑴ プレスリリースを作成し、報道機関に届ける

プレスリリースとは、新聞やテレビなどの報道機関に対して、新しい情報を知らせるための文書です。いわゆる「ニュースのお知らせ」です。

私が現役の新聞記者だった頃は、毎日のように多くのプレスリリースが編集部に届いていました。

昔は、プレスリリースを出すのは官公庁や公共性の高い企業が中心でした。

ところが近年は、プレスリリースを宣伝ツールとして大量にばら撒く企業が急増しています。

残念ながら、そうしたプレスリリースの多くは、記者やディレクター、編集者から「あざとい売り込みだな!」と判断され、ほとんど読まれないまま捨てられています。

あなたには、そんな嫌われるプレスリリースを書いてほしくありません。

プレスリリースは、あくまで「社会性・公共性のあるお知らせ」であるべきです。

企業の言いたいことではなく、「社会にとって、今伝える意味があるか?」という視点で書かれているかどうかが、すべてを分けます。

 

マスコミに取材をお願いするプレスリリースの書き方と例文は、こちらの記事で詳しく解説しています。

 

「プレスリリースは、どこに送ればいいのか?」という疑問については、以下の記事で初心者向けに分かりやすく説明しています。

 

⑵ 企画書を作り、テレビ番組や紙面向けに提案する

プレスリリースは、主に新聞社やテレビ局のニュース部門に向けた情報提供です。

しかし、マスコミが扱うのはニュースだけではありません。

テレビには情報番組がありますし、新聞にも生活情報面があります。雑誌に至っては、そもそもニュース記事の比率はごくわずかです。

こうした媒体で中心になるのが、「企画記事」「企画番組」です。

世の中の動きや課題を深掘りし、読者や視聴者に分かりやすく伝えるための特集記事・番組です。

こうした企画を制作している部署に対しては、単なるプレスリリースよりも、

「こういう特集はいかがでしょうか?」とメディア目線で企画をご提案するのが有効です。

そのためには、狙う新聞・番組・雑誌のバックナンバーを読み込み、

「そのメディアの読者・視聴者は、何を求めているか」を理解することが欠かせません。

例えば、30〜40代女性向け雑誌を狙うスポーツトレーナーであれば、ダイエットや体型維持といったテーマが求められていることが見えてきます。

その上で、自分の専門知識をもとに、その媒体に合った切り口で企画書を作り、提案するのです。

同じ文書を一斉送信するプレスリリースと違い、企画書はメディアごとにカスタマイズする必要があります。

なぜなら、媒体ごとに読者ターゲットも、求められる内容も異なるからです。

企画書の具体的な書き方については、私の書籍でも詳しく解説しています。


ロジカルな文章、情緒的な文章(クロスメディア・パブリッシング)

 

マスコミへの具体的なアプローチ方法

プレスリリースや企画書をマスコミに届ける方法として、最もおすすめなのは「郵送」です。

メールは膨大な量が大量に届くため、正直ほとんど読まれていないのが実情だからです。

国内の主要メディアの郵送先を以下よりプレゼントしています。

国内メディアリスト803件(新聞社・テレビ局・雑誌等)無料提供

全国の新聞社、テレビ局、雑誌、ラジオ局の所在地を、エクセルで一覧にまとめています。

 

郵送によるアプローチの具体的なやり方については、以下の書籍で詳しく解説しています。


手紙を書いてマスコミにPRする方法(自由国民社)

 

 

PR会社・専門家に依頼する選択肢(経営判断の視点)

ここまで、 プレスリリースを自分で作成して届ける方法、 企画書を作り、メディアに提案する方法 について説明してきました。

ただ、ここで現実的な話をしておく必要があります。

ここ10年ほどで、プレスリリースや企画書をメディアに送る会社・個人は、劇的に増えました。 体感としては、10倍近くに増えています。

当然ながら、新聞・テレビ・雑誌といったマスコミの「枠」は限られています。 結果として、メディアを巡る競争は年々激しくなっているのが実情です。

このような状況では、 広報の経験がない人が独力で 「プレスリリース」や「企画書」を書いて送っても、 ほとんどの場合、スルーされてしまいます。

そこで出てくる選択肢が、 メディアの特性や動きを熟知したPR会社や専門家の力を借りる という方法です。

 

PR会社にはどんな種類があるのか

PR会社には、大小さまざまな規模があります。

大手でよく知られている会社としては、例えば次のようなところがあります。

・株式会社ベクトル

・株式会社サニーサイドアップ

・株式会社電通PRコンサルティング

・株式会社プラップジャパン

こうした大手PR会社に依頼すると、 月額100万円以上・年間契約 といったケースが普通です。 中小規模のPR会社でも、月額数十万円はかかるのが一般的です。

その分、

・プレスリリースや企画書の作成
・メディアへのアプローチ
・記者・編集者とのやり取り

といった業務を、ある程度「丸投げ」できるというメリットがあります。

ただし、重要な点があります。

PR会社に依頼したからといって、100%メディアに出られる保証はありません。

最終的に「取材するかどうか」を決めるのは、 あくまで記者・編集者であり、PR会社ではないからです。

 

PR会社に任せるべきこと、任せてはいけないこと

ここで、経営者としてぜひ押さえておいてほしい視点があります。

PR会社は、あくまで「実行のプロ」です。

一方で、 どんなテーマで世の中に語られる会社になりたいのか、 どのメディアを狙うのか、 何をもって成功とするのか、といった

広報の根幹となる戦略部分まで、 すべてを外部に委ねてしまうのは危険です。

この設計が曖昧なままPR会社に依頼すると、 「露出は出たが、経営成果につながらない」 という状態に陥りがちです。

 

私が「広報の丸ごと代行」を受けていない理由

ちなみに私はメディアの専門家ですが、 プレスリリース作成やメディア対応を丸ごと代行するサービスは行っていません。

なぜなら、 広報PRは本来、 経営と切り離して考えるものではないからです。

どんなテーマで語られ、 どんな文脈で社会に認識されるかは、 会社のブランドや将来に直結します。

だから私は、 「作業を代行する」のではなく、 広報戦略を経営者と一緒に設計するコンサルティングに特化しています。

広報コンサルティングとは何か、 どんな考え方で行っているのかについては、 以下の記事で詳しく説明しています。

広報コンサルティングとは?元新聞記者が考える、広報戦略の本質

 

ルート② メディアから見つけてもらい、取材オファーを受ける方法

検索エンジンで情報を探す記者

ここまで、「自分からマスコミにアプローチする」ルートについて説明してきました。

この場合、企業側はどうしても 「記事にしてください」とお願いする立場になります。

しかし、もう一つのルートでは、立場が逆転します。

メディアの側から、 「ぜひ取材させてください」 と声がかかる状態をつくる方法です。

それが、 「メディアに見つけてもらい、取材される」 というルートです。

 

現在、新聞・テレビ・雑誌の記者やディレクターは、 ネタ探しにインターネットの検索エンジンを積極的に活用しています。

私自身も新聞記者時代、 GoogleやYahoo!で 「このテーマに詳しい人はいないか?」 と検索することを日常的に行っていました。

検索結果の上位に表示されるのは、 基本的に質の高い情報です。

その意味で、 取材を獲得するためには、ネット上に良質な情報をストックしていく重要性が、年々高まっています。

これからの時代、企業広報としてホームページやブログなどのオウンドメディアに取り組むことは避けて通れません。

もちろん、 ただ情報を量産すれば良いわけではありません。

質の低い情報を漫然と発信しても、検索エンジンでは評価されず、目利きのメディア関係者の目に留まることはありません。

検索エンジンで評価され、上位表示されるためには、 検索ユーザーのニーズに的確に応えることに加え、 「他にはないオリジナリティ」 が不可欠です。

検索で見つけてもらうための具体的な考え方と実践方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。

 

検索ユーザーが 「いま何を知りたいのか?」 を徹底的に突き詰めながら、

「このテーマなら、この会社(この人)しかいない」

そう思ってもらえる情報を、 惜しみなくウェブ上に蓄積していきましょう。

 

さらに、 書籍の出版も、 メディアに見つけてもらう有効な手段の一つです。

私自身も、 著書 『手紙を書いてマスコミにPRする方法』 を出版した直後、 日本広報協会の「月刊広報」や、雑誌「商業界」から取材依頼をいただきました。

ただし、出版であれば何でも良いわけではありません。

全国の書店に流通する商業出版であることが前提です。

Kindle出版や自費出版は「誰でも出せる」ため、メディア業界では基本的に評価されません。

検索エンジンや書籍を通じてメディアから声がかかりやすいのは、主に次の2種類の情報です。

⑴ 専門性が高いコンテンツ

メディア関係者は、 常に各分野の専門家を探しています。

そのため、自分の専門分野について、知見の深さが伝わる情報をブログやオウンドメディアで継続的に発信することが重要です。

優れた能力や実績を持っているにもかかわらず、 それを発信しきれておらず、 大きな機会損失をしている会社や個人は非常に多いです。

もう一つ重要なのが、 オウンドメディアのコンセプトです。

同じ分野の専門家が並んだときに、違いが分からない打ち出しでは、記者の記憶に残りません。

例えばダイエットであれば、誰もやっていない方法や切り口、特定の部位に特化したテーマなど、

「聞いたことがない」「これは面白い」と感じさせる要素があると、目に留まりやすくなります。

 

⑵ 時事性のあるコンテンツ

新聞やテレビは、毎日情報を発信し続けています。

そのため、その時々の社会動向やニューストレンドに関連する情報を常に求めています。

例えば、航空事故が起きれば航空の専門家が、戦争が起きれば軍事の専門家が、メディアに登場します。

そこまで大きなニュースでなくても、

・女性の社会進出

・労働時間の短縮

・物価の上昇

といった時事テーマは無数にあります。

自分の専門性と、こうした時事テーマを掛け合わせて情報発信することを意識してください。

そうすることで、検索エンジンで 「このテーマに詳しい人」を探している記者の目に、止まりやすくなります。

実際に、「ふるさと納税」が話題になった際、あるファイナンシャルプランナーが活用法をブログで発信し続けた結果、テレビ番組から出演依頼が来たケースもあります。

専門性と時事性を意識しながら、「あなたならではの情報」をオウンドメディアにストックしていきましょう。

中小企業がブランディングできるオウンドメディアの作り方は、こちらで詳しく解説しています。

 

新聞に取り上げられると、何が起きるのか(実例)

ネット時代の現代でも新聞の影響力は強いです。最近、新聞掲載された方の話を紹介します。

◯新聞掲載をきっかけに、問い合わせ・仕事が増えた事例

なんと、紙面の1/4ほどのボリュームで大きく掲載して頂き、自分でもびっくりしています。

あまりにも大きいので、嬉しいやら照れくさいやら(笑)

この日は朝からたくさんの方から「新聞みたよ~」と連絡がありました。

新聞には私への問い合わせメールアドレスも掲載していただいたのですが、

全く見ず知らずの方からも、「チョークアートの絵に感動しました。これからもがんばってください」と励ましのメールを頂きました。

こんなこともあるんですね!!

また新聞に掲載された事がきっかけで、大きな仕事の依頼や、ラジオ出演の依頼が来たりと新たなビジネスチャンスも広がりました。

(教室経営、女性)

 

掲載後、電話がすごかったです。

鳴りっぱなしだったのですが、私一人なので、出ることができず。

でも、新聞からブログ検索されて、メルマガに登録してくださったり、

その後、スクールやサロンのサービスに申し込まれたりと、つながっていますよ!

本当に、新聞の掲載は大きいですね。

お客様にも、「すごいねー!ますます人気出るやん!」と言われました^^

(サロン経営、女性)

 

新聞掲載で、信頼性とブランドが一気に高まっているのがお分かりいただけるかと思います。

ここが「広告」とは大きく異なるポイントです。

 

広告では得られない「第三者の信用」の力

念のため、確認しておきたいことがあります。

メディアに出るというと、「お金を払うんでしょ?」と聞く人がいますが、違います。

お金を払って宣伝してもらうのは「広告」です。

これに対して、広報PRは「頭を下げて、記事や番組で取り上げていただくよう働きかける取り組み」です。

「取材されて新聞テレビに出る」ことと「広告を載せる」ことの違いを、表にまとめました。

Comparative Table of Advertising and Public Relations Differences

違いがおわかりいただけるでしょうか?

新聞やテレビの記者から取材を受ければ、基本お金のやりとりは一切ありません。

私も新聞記者を11年以上やりましたが、取材した相手からお金をいただいたことは1回もありません。

もちろん新聞社には広告部門があります。

しかし、記者がいる編集部門と、広告部門はふだんまったく接点がないのです。

記者は、自社の売り上げなど一切考えていません。

その代わり、「読者に届ける価値のある情報かどうか?」を公平・中立に考えて、記事にするかどうか判断します。

今の人々は、広告宣伝で「最高の触り心地!」「とろけるような味わい」といった美辞麗句をいくら見せられても、信じなくなっています。あなたもきっとそうでしょう。

しかし、記者という第三者の目を通して書かれた「客観的な記事」は、多くの人たちが高い信頼を寄せて信じてくださるわけです。

だから、新聞やテレビ、雑誌に記事や番組で紹介してもらうことの効果は、非常に大きいと言えます。

 

広報PRは出たとこ勝負ではない。戦略的に取り組む10の流れ

ここまで、マスコミに取り上げてもらうルート・方法について説明してきました。

実際は、広報では出たとこ勝負ではなく、会社として戦略的に取り組む必要があります。

以下のような流れで、じっくり腰を据えて取り組んでみてください。

1、広報する目標と目的を明確にする

2、どのメディアを狙うか?ターゲットを特定する

3、世の中がどんな情報を求めているか?マクロとミクロで把握する

4、社として、世の中に発信する中心的メッセージを作る

5、プレスリリースや企画書など、質の高いコンテンツを作成する

6、メディア各社に郵送などでお届けしていく

7、記者らに電話したり会いに行ったりする

8、小さな記事でも載ればお礼を伝え、関係を深める

9、メディア側のニーズを調べ、喜ばれる情報を提供する

10、自社トップとこまめに意思疎通を図り、社の戦略や方向性を理解する

 

この記事で、広報戦略の3フレームワークと立案8手順、戦略の立て方から実行、測定まで徹底解説しています。

 

取材が1回で終わる会社と、何度も取材される会社の違い

メディアとせっかく繋がりができたのに、露出が1回で終わる会社と、その後何度も取り上げられる会社に大きく分かれます。

その違いは、「メディア取材への対応」にあります。

あなたの記者への接し方(コミュニケーション)で、テレビや新聞の報道のトーンは大きく変わります。

◯メディア対応で絶対にやってはいけないこと

・売らんかな、の宣伝をしない

・正しい情報、データを提供する

・絶対うそをつかない

・専門用語ばかり使用しない

・スピード感を持って対応する

・自分の言葉で話をする(型通りの抽象的な話をしない)

 

いずれも「当たり前」のことですが、意外と多くの会社ができていません。

メディアへの取材対応で失敗し、広報が伸びない会社はとても多いです。

もっと詳しくメディア取材対応のコツを知りたい方はこの記事をご覧ください。

 

マスコミと中長期的に良い関係を築くやり方については、この記事をご覧ください。

 

まとめ:マスコミに取り上げてもらうことは「運」ではない

ここまでお読みいただき、もうお分かりだと思います。

マスコミに取り上げてもらえるかどうかは、運や偶然の問題ではありません。

正しい考え方を理解し、正しい順序で行動すれば、取材は意図して獲得できるものです。

実際、取材されている会社や人たちは、特別なコネを持っているわけでも、派手な広告を打っているわけでもありません。

「どうすれば、社会にとって意味のある情報として伝わるか?」を考え抜き、それを継続して実行しているだけです。

確実に言えるのは、情報発信の起点は、常に自分たちにあるということです。

待っているだけでは、 メディアから見つけてもらうことはありません。

そのための方法としては、

  • プレスリリースや企画書で、自らメディアにアプローチする
  • 検索エンジンやオウンドメディアを通じて、見つけてもらう

という2つのルートがあります。

どちらを選ぶにしても、 単に情報を出せば良いわけではありません。

最も重要なのは、 情報コンテンツの「質」です。

企業の売り込みや自慢話に終始する情報は、 メディアから敬遠され、 世の中に広がることはありません。

PRの「P」は「パブリック(公共)」のPです。

社会にとってどんな意味があるのか。 どんな課題や変化とつながっているのか。

この視点がない情報は、どれだけ手間をかけても、取材という形では評価されません。

だからこそ、 情報発信を始める前に、

・どんな公共性を持つテーマで語られる存在になるのか?
・何の専門家として認識されたいのか?
・記者が取材しやすい導線が用意されているか?

こうした広報の設計を、 経営として行うことが不可欠です。

マスコミ取材は、単なる露出ではありません。

第三者による評価を通じて、 会社の信用とブランドを積み上げていく行為です。

メディア取材は、運ではなく、 経営判断と実行の積み重ねによって生まれます。

ぜひ、 「いつか取材されたい」ではなく、「取材される状態を、どう設計するか」という視点で、 自社の広報と向き合ってみてください。

 

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今回の記事の話は、動画でも説明しています。ご参考ください。

 

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など、具体的なPRの取り組み等を50ページにわたって詳しく説明しています。

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「国内メディアリスト(新聞社・テレビ局・雑誌)(計803)

 media-list-imageこのリストでは

・全国のテレビ局(185)
・全国の新聞社(135)
・雑誌(209)
・ラジオ局、CATVなど(274)

これらの媒体名、所在地をエクセルで一覧にまとめています。

ぜひあなたの情報発信にお役立てください。