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記者が教える広報PRの方法

広報PR情報No.1サイト 元読売新聞記者 坂本宗之祐

攻めの広報・守りの広報。記者が目撃した成功と失敗の分かれ目



メディア露出を積極的に獲得しに行く活動が、攻めの広報。

これに対し、ネガティブなメディア報道を最小限に食い止めるのが。守りの広報です。

同じ広報活動とはいえ、必要とされる能力スキルはかなり異なります。

私はメディアコンサルタントとして、主に攻めの広報の指導に携わっています。

一方で、かつて社会部の新聞記者(つまり攻める側)でしたから、守りの広報もよく分かります。

主に攻めの広報を重視するのは、まだ知名度の低いベンチャー企業。

逆に守りの広報を重視するのは、すでに知名度が高い大手企業です。

この両方の違いと特徴について、私の現場体験を踏まえながらご説明しましょう。

 

攻めの広報

攻めの広報とは、「メディアで取り上げてもらい情報を広めたい!」という動機から、メディアに対して積極的にアプローチして行く活動です。

この活動によってメディア露出が成功すると、一気に知名度や信頼度が高まります。

だから、ベンチャー、スタートアップ企業は特に攻めの広報をやりたがります。

また企業に限らず、まだ知名度の低い個人事業主でも攻めの広報に取り組む方もいます。

 

優れた攻めの広報

①アイデア力がある

攻めの広報に優れた方は、やはり良いアイデアを出されます。

メディアでニュースとして取り上げてもらうには、常識とは少し違うことをやる必要があります。

ありふれた凡庸なプレスリリースを出しても、メディアは興味を示しません。

ニュースとは、「新しいこと」。新しいことを世の中に発信できる当事者こそが、メディアの取材対象になるのです。

だから、攻めの広報で必要不可欠なのがこの「アイデア発想力」です。

 

②粘り強さがある

広報PR活動は、頑張ったからといって即、成果が約束されるものではありません。

特に、広報に不慣れな方は必ず最初は失敗します。むしろどんな広報のベテランであっても、プレスリリースを出したら百発百中なんてことはありえません。

そこで、プレスリリースが失敗したり、取材を断られたりした時に、どう反応するか?です。

そこですぐ諦める人は、結果を出せません。ここで多くの企業が脱落していきます。

ですが、諦めずに粘り強く取り組む人は、やがて少しずつ成果を出していきます。

記者らに断られた時も、「どうしたら取り上げていただけるでしょうか?」などと粘り強く食い下がります(もちろん相手に嫌がられない程度に)。

そこで、記者側からアイデアをもらえることもありますし、何より記者に「この人は仕事熱心だな」とリスペクトされるようになります。

粘り強い、諦めない、ということは、攻めの広報の担当者には不可欠な素養です。

 

③積極的に人に会いに行く

攻めの広報で成果を出す人は、積極的に会社の外に出て人に会いに行きます。

プレスリリースを書いて出したら、そこからが仕事のスタート。

積極的にメディアの人々と会いに行きます。そして、実際に会って話をします。

それによって、メディアの人々の考え方に触れることができ、次回以降のプレスリリースの精度もどんどん高まっていきます。

メディアの視点を肌感覚で理解できるようになるからです。

また、メディアの中の人脈にとどまらず、他者の広報担当者らとも積極的につながり、メディアの情報収拾に努めています。

 

ダメな攻めの広報

攻めの広報が、からきしダメなケースもよくあります。

上記①②③の裏返しで、それらができないため、全然成果を出せないのです。

つまり、アイデアを出せない。人に会いに行かない。そして粘り強さがない。

記者も、こういう人は会えばすぐ分かるんですよ。

「あー、やっつけ仕事でやってんな」って。

「上から言われたからやってるだけやな」って見抜くんです。

だから当然、リスペクトされることはないし、そんな相手の商品サービスを取り上げたいとは到底思わない。

メディアの人は、仕事に熱がない人と会っても、「時間のムダ」としか思いません。

 

守りの広報

すでに高い知名度・認知度を持つ企業や団体は、守りの広報を重視しています。

これまで築き上げてきた評判(レピュテーション)を損ないたくない、それは当然そうですよね。

特に昨今は、ネガティブな情報は一瞬にして世の中に広まります。俗にいう「炎上」です。これは防ぎたい。

私は社会部記者として多くの企業や団体の不祥事を取材してきましたが、多くの企業団体が広報対応を誤り、傷口を広げるケースが非常に多かったですね。

 

ダメな守りの広報

①誠実さがない

メディアが報じる不祥事が発覚する企業や団体の多くは、組織が大きいです。

組織が縦割りになっており、メディアと直に接する担当者は当事者意識が薄く、「なんで俺が…」という雰囲気を漂わせる。

トップがやっと出てきたと思ったら、口には出さないまでも、「現場が悪いんだ」という苦々しさを醸し出す。

「自分が責任を取る」という潔さがなく、当事者意識が薄いんです。

だから、取材を受けても、質問に真摯に答えず、その場逃れの言動を繰り返す。

最近は、逆に開き直ったりしますからね(笑) 

こういう態度・雰囲気が、二次的な批判・炎上を招くようになるケースが非常に多いです。

何も難しいことでなく、人として「誠実に対応する」。ここの基本に徹すればいいんですよ。

ですが、すぐ素直に謝らなかったり、奥歯に物が挟まったような、回りくどい言い方をしたりするケースがとても多いです。

聞いてる側の記者としてはイライラします。

そして「往生際の悪い奴だ、もっと突っ込んでやろう」と、記者の闘争心を掻き立てるだけです。

 

②情報提供が遅い。小出しにする

事件・事故や不祥事が発生すると、メディアの記者たちはすぐさま当事者への問い合わせに走ります。

ここで、情報提供が遅いケースがとても多いです。

上記の「誠実さの欠如」に通じるところですが、記者の問い合わせに答えず、のらりくらりと対応する。

「担当者がいない」などと言い訳して、何も答えない。

最初は非を認めず、やがて言い逃れできない証拠が出てきて、やっと謝罪する。

最悪の広報対応ですね。でも、こういうところが本当に多いですね。

 

優れた守りの広報

一言で言うと、誠実です。

そして情報提供に関しては、巧遅よりも拙速を尊ぶこと。スピード!です。

つまり、準備が整ってから3日後に出す情報よりも、今すぐ出せる不十分な情報の方が、新聞テレビの記者にとってはありがたいんです。

「ごめんなさい、今これだけしか情報がないんですけど、新しい情報が入ったらすぐ知らせますから!」

誠実に、一所懸命やっているのであれば、その姿勢や態度から記者たちもある程度は理解してくれます。

世の中、人間のやることですから、事故や不祥事は起きるものです。仕方ない時もある。

ですが、事故や不祥事が起きてからの対応は、当事者次第ですよ。言い逃れはできません。

 

攻めと守り、いずれの広報にも必要なこと

一言で言うと、ロジックと感情です。右脳と左脳とも言えます。

論理的に物事を説明できる能力と、相手の気持ちを読み取れる心理能力が大いに求められます。

 

①ロジックの構築力

メディアの人間は、極めてロジカルに物事を考えます。

だから、記者に対する説明に、論理の筋道が通らないと、いつまでも納得してもらえません!

理屈になっていない理屈を並べ立てる、情けない広報担当者をたくさんみてきました。

新聞もテレビも、「AだからB、それでCなのです」といった、分かりやすい構成になっています。

読者視聴者にとって分かりやすく伝えることを常に意識しているのです。

そもそも「筋道の通らない話」を現場の記者がそのまま原稿にしても、上司のデスクが「意味がわからないぞ!』と、原稿を通しません。

ですので、広報担当者には、記者を納得させられる「論理の構築力」が必要とされます。

 

②感情への訴求力

メディアの人間は、極めてロジカルである一方、意外と感情にもろいところもあります。

もちろん個人差はありますが、他者に対する共感性が敏感で、浪花節的な側面を持つ人も少なくありません。

記者は日々の取材で人間の喜怒哀楽に接し、酸いも甘いも噛み分けますからね。

新聞やテレビでは、事実ベースで報道することはもちろん大前提です。が・・・

その取材対象者に対する「好悪の感情」が、その報道ぶりを左右することは、往往にして起きることです。

取材した相手に良い感情を抱き、「この人を応援したい!」と思えば、好意的に取り上げます。

逆に、取材した相手に悪い感情を抱き、「けしからん!」と思えば、批判的に取り上げる。

こういうことは日常的に起きていることです。

だから、いくら論理の構築に長けていても、コミュニケーションが苦手で他人から嫌われやすい人は、広報には向いていません。

この点、女性は比較的、男性よりもコミュニケーションが得意ですので、この点では向いている人が多いかもしれませんね。

 

結論:攻めも守りも、広報は人間力が試される

広報とは、メッセージを発信する活動です。

どういうツールを使う?とか、何を言えばオッケー!とか、小手先のテクニックはもはや本質的には通用しません。

マスメディアの人間は、基本的に人間の目利きです。本物か偽物かを見抜く力に長けています。

また、一般のウェブユーザーも最近は以前と比べてかなりリテラシーが高まりました。

だから、企業団体のウソや不正は見抜かれやすくなっています。最近も大企業のステマを見抜いたのはネットユーザーでした。

かつては、広報においてはある程度のテクニックが通用したかもしれません。

しかし、うそが通用しない時代にはますます当事者の人間力そのものが試される、と感じています。

攻めにおいても守りにおいても、うそ偽りのない、誠実で真摯なメッセージを発信していってください!

 



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