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記者が教える広報PRの方法

広報PR情報No.1サイト 元読売新聞記者 坂本宗之祐

攻めの広報を成功に導く秘訣とは? 3つのポイントと2つの必須スキルを徹底解説


自社の価値や魅力をアピールするために、メディア露出を積極的に獲得しに行く活動が、“攻めの広報”です。

これに対し、ネガティブな報道やウェブ上の炎上を最小限に食い止めるのが、守りの広報です。

私は元読売新聞記者で、現在はメディアコンサルタントとして、主に攻めの広報の指導に携わっています。

私はかつて社会部の新聞記者(つまり攻める側)でしたから、攻めていく活動は得意です。

主に攻めの広報を重視するのは、まだ知名度の低いスタートアップ企業。

逆に守りの広報を重視するのは、すでに知名度が高い大手企業です。

この記事では、主に攻めの広報を成功させるポイントについて、私の記者としての現場経験を踏まえながらご説明します。

 

※この記事は、2019年12月16日に公開しましたが、2023年3月8日にリライトして再度アップしました

攻めの広報とは?

「攻めの広報」とは、企業や組織が積極的に情報発信を行い、自社の価値や魅力をアピールする広報戦略のことを指します。

一般的な広報戦略では、企業や組織が単に自社の情報を発信するのみです。

しかし、攻めの広報では、顧客や社会のニーズ、問題に積極的に取り組み、情報発信することで、顧客や社会からの支持を集めます。

攻めの広報の具体的な取り組みとしては、以下のようなものがあります。

・新製品や新サービスの発表や情報提供
・社会的な問題やニーズに対する取り組みを発信することで、社会的な信頼を得る
・社員の取り組みや社内環境の改善について情報発信し、社員のモチベーションを高める
・SNSやブログ、YouTubeなどを活用し、より多くの人に情報を届ける

 

攻めの広報は、単なる情報発信ではなく、顧客や社会とのコミュニケーションを重視した戦略です。

自社の価値や魅力をより高めるために、顧客や社会からのフィードバックを受け止めた上で、相手に寄り添う情報発信を行うことが求められます。

攻めの広報によってメディア露出が成功すると、一気に知名度や信頼度が高まります。

だから、ベンチャー、スタートアップ企業は攻めの広報に強い関心を示します。

また企業に限らず、まだ知名度の低い個人事業主でも攻めの広報に取り組むケースもあります。

 

攻めの広報の基本

攻めの広報とは、今までの広報の枠組みを超えて、新しいスタンスで広報活動を行うことです。

具体的には、自社の情報を積極的にプレスリリースしてメディア露出を増やしたり、SNSの投稿を増やしてプロモーションを行ったりすることで、顧客や市場に対してアピールします。

攻めの広報は、企業のビジネスに大きな影響を与えます。例えば、積極的なPR活動により、企業の知名度を高めることができます。

また、SNSを活用することで、直接顧客とコミュニケーションを取ることができ、商品やサービスの改善点や要望を把握することができます。

 

攻めの広報の実践方法について

攻めの広報の実践方法としては、以下のような手法があります。

 

報道機関へのプレスリリース配信

新聞社やテレビ局、ウェブメディアなどに向けて、自社の情報を知らせる手段がプレスリリースです。

プレスリリースを起点に、積極的にマスメディアに働きかけることで、社会の幅広い層に対して、自社の情報を一気に届けられる可能性があります。

プレスリリースについては、この記事をご参考ください。

・マスコミに取材依頼するプレスリリース文の書き方。元読売新聞記者が例文とテンプレート紹介

 

SNSを活用した情報発信

SNSを活用した情報発信は、効果的な攻めの広報の手法の一つです。

SNSを通じて、自社の情報を積極的に発信することで、顧客やファンの獲得につなげることができます。

また、SNS上での顧客とのコミュニケーションを通じて、顧客のニーズを把握し、商品やサービスの改善点を把握することもできます。

 

オウンドメディアの運営

オウンドメディアの運営は、攻めの広報の手法の一つです。

自社が運営するWebサイトやブログ、メールマガジンなどを通じて、自社が提供する商品やサービスに関する情報を発信することで、読者の獲得やファンの獲得につなげることができます。

また、オウンドメディアの運営を通じて、読者とのコミュニケーションを深め、顧客のニーズを把握することもできます。

 

専門家のインタビュー

攻めの広報の手法の一つとして、専門家のインタビューを取り入れることも有効です。

専門家に対して、自社が提供する商品やサービスに関するアドバイスや見解をもらい、それを自社の情報発信に取り入れることで、より客観性が高まり、情報への信頼性を高めることができます。

 

攻めの広報3つの重要ポイント

①アイデア発想力を磨く

攻めの広報で成果を出していく企業や組織は、やはり優れたアイデア発想力を備えています。

メディアでニュースとして取り上げてもらうには、ある意味で、常識から外れたことをやる必要があります。

ありふれた凡庸なプレスリリースを出しても、メディアは興味を示しません。

ニュースとは、「新しいこと」です。だから新しいことを発想できる当事者こそが、メディアの取材対象になるのです。

だから、攻めの広報で必要不可欠なのがこの「アイデア発想力」。これは一朝一夕には身につきませんので、地道に取り組むことです。

 

②粘り強く取り組む

広報PR活動は、頑張ったからといって即、成果が約束されるものではありません。

特に、広報は必ず最初は失敗します。むしろどんな広報のベテランであっても、プレスリリースを出したら百発百中なんてことはありえません。

そこで、プレスリリースが失敗したり、取材を断られたりした時に、どう反応するか?でその後の運命が大きく変わります。

そこですぐ諦める人は、結果を出せません。ここで多くの企業が脱落していきます。

ですが、諦めずに粘り強く取り組む人は、やがて少しずつ成果を出していきます。

これは、SNSやオウンドメディアからの発信の場合も、全く同じです。

記者らに断られた時も、「どうしたら取り上げていただけるでしょうか?」などと粘り強く食い下がります(もちろん相手に嫌がられない程度に)。

そこで、記者側からアイデアをもらえることもありますし、何より記者に「この人は仕事熱心だな」とリスペクトされるようになります。

広報成果は、活動を積み重ねていくほど、指数関数的に増大していくものです。

だから、粘り強い、諦めない、ということは、攻めの広報の担当者には不可欠な素養です。

 

③積極的に人に会いに行く

攻めの広報で成果を出す人は、積極的に会社の外に出て人に会いに行きます。

プレスリリースを書いて出したら、そこからが仕事のスタート。

積極的にメディアの人々と会いに行きます。そして、実際に会って話をします。

それによって、メディアの人々の考え方に触れることができ、次回以降のプレスリリースの精度もどんどん高まっていきます。

メディアの視点を肌感覚で理解できるようになるからです。

また、メディアの中の人脈にとどまらず、他者の広報担当者らとも積極的につながり、メディアの情報収拾に努めています。

SNSやオウンドメディアからの発信でも、机に座ってオンラインにだけ注力するのではなく、リアルイベントなど人と会う機会を作りましょう。

 

攻めの広報で失敗する人の特徴

攻めの広報に取り組んでも、からきし成果を出せないケースはとても多いです。

上記①②③の裏返しで、それらができないため、全然成果を出せないのです。

つまり、

・アイデアを出さない
・人に会いに行かない
・粘り強さがない

記者も、こういう人は会えばすぐ分かるんですよ。

「あー、やっつけ仕事で広報をやってるな」と。

「上から言われたからやってるだけやな」と見抜くのです。

だから当然、リスペクトされることはないし、そんな相手の商品サービスを取り上げたいとは到底思いません。

メディアの人は、仕事に熱がない人と会うのは、「時間のムダ」と考えます。

 

守りの広報

守りの広報とは、企業が危機管理やリスクマネジメントを目的として行う広報活動のことです。

すでに高い知名度・認知度を持つ企業や団体は、この守りの広報を重視しています。

これまで築き上げてきた評判(レピュテーション)を損ないたくない、それは当然そうですよね。

特に昨今は、ネガティブな情報は一瞬にして世の中に広まります。俗にいう「炎上」です。これは防ぎたいです。

私は社会部記者として多くの企業や団体の不祥事を取材してきましたが、多くの企業団体が広報対応を誤り、傷口を広げるケースが非常に多く目の当たりにしました。

 

守りの広報で失敗する要因

①誠実さがない

メディアが報じる不祥事が発覚する企業や団体の多くは、大きな組織です。

組織が縦割りになっており、メディアと直に接する担当者は当事者意識が薄く、「なんで俺が…」という雰囲気を漂わせるケースが多いです。

トップがやっと出てきたと思ったら、口には出さないまでも、「現場が悪いんだ」という苦々しさを醸し出すこともよくあります。

「自分が責任を取る」という潔さがなく、当事者意識が薄いのです。

だから、取材を受けても、質問に真摯に答えず、その場逃れの言動を繰り返す。

最近は、逆に開き直ったりするケースも…

こういう態度・雰囲気が、二次的な批判・炎上を招くようになるケースが非常によくあります。

何も難しいことでなく、人として「誠実に対応する」。ここの基本に徹すれば良いのです。

ですが、すぐ素直に謝らなかったり、奥歯に物が挟まったような、回りくどい言い方をして言い逃れを図ろうとするケースがとても多いです。

聞いてる側の記者としてはイライラします。

そして「往生際の悪い奴だ、もっと突っ込んでやろう」と、記者の闘争心を掻き立てるだけです。

 

②情報提供が遅い。小出しにする

事件・事故や不祥事が発生すると、メディアの記者たちはすぐさま当事者への問い合わせに走ります(電話や訪問)。

ここで、情報提供が遅いケースがとても多いです。

上記の「誠実さの欠如」に通じるところですが、記者の問い合わせに答えず、のらりくらりと対応するのです。

「担当者がいない」などと言い訳して、何も答えないことも多いです。

最初は非を認めず、やがて言い逃れできない証拠が出てきて、やっと謝罪する、というのがお決まりのパターン。

これこそ最悪の広報対応ですが、実際にこういう企業・組織は多いです。

 

優れた守りの広報の特徴

一言で言うと、誠実です。

そして情報提供に関しては、巧遅よりも拙速を尊ぶこと。スピード!です。

つまり、準備が整ってから3日後に出す情報よりも、今すぐ出せる不十分な情報の方が、新聞テレビの記者にとってはありがたいのです。

「ごめんなさい、今これだけしか情報がないんですけど、新しい情報が入ったらすぐ知らせますから!」

誠実に、一所懸命やっているのであれば、その姿勢や態度から記者たちもある程度は理解してくれます。

世の中、人間のやることですから、事故や不祥事は起きるものです。仕方ない時もあります。

ですが、事故や不祥事が起きてからの対応は、当事者次第です。言い逃れはできません。

 

攻めの広報2つの必須スキル(守りの広報でも)

それは一言で言うと、「ロジックと感情」です。右脳と左脳とも言えます。

論理的に物事を説明できる能力と、相手の気持ちを読み取れる心理能力が大いに求められます。

 

①ロジックの構築力

メディアの人間は、極めてロジカルに物事を考えます。

だから、記者に対して、論理の筋道が通る説明ができないと、いつまでも納得してもらえません!

理屈になっていない理屈を並べ立てる、情けない広報担当者をたくさんみてきました。

新聞もテレビも、「AだからB、それでCなのです」といった、分かりやすい構成になっています。

マスメディアの記者は、読者視聴者にとって分かりやすく伝えることを常に意識しています。

そもそも「筋道の通らない話」を現場の記者がそのまま原稿にしても、上司のデスクが「意味がわからないぞ!』と、原稿を通しません。

ですので、広報担当者には、記者を納得させられる「論理の構築力」が必要とされます。

 

②感情への訴求力

メディアの人間は、極めてロジカルである一方、意外と感情にもろいところもあります。

もちろん個人差はありますが、他者に対する共感性が敏感で、浪花節的な側面を持つ人も少なくありません。

記者は日々の取材で人間の喜怒哀楽に接し、酸いも甘いも噛み分けますからね。

新聞やテレビでは、事実ベースで報道することはもちろん大前提です。が・・・

その取材対象者に対する「好悪の感情」が、その報道ぶりを左右することは、往往にして起きることです。

取材した相手に良い感情を抱き、「この人を応援したい!」と思えば、好意的に取り上げます。

逆に、取材した相手に悪い感情を抱き、「けしからん!」と思えば、批判的に取り上げる。

こういうことは日常的に起きていることです。

だから、いくら論理の構築に長けていても、コミュニケーションが苦手で他人から嫌われやすい人は、広報には向いていません。

この点、女性は比較的、男性よりもコミュニケーションが得意ですので、この点では向いている人が多いかもしれませんね。

 

「ロジック」と「情緒」。この2つの文章コミュニケーションについては、私(坂本宗之祐)の本で詳しく解説しています。ご一読ください。

「ロジカルな文章、情緒的な文章」(クロスメディア・パブリッシング刊)

 

結論:攻めも守りも、広報は人間力が試される

広報とは、メッセージを発信する活動です。

どういうツールを使う?とか、このセリフを言えばオッケー!とか、小手先のテクニックはもはや本質的には通用しません。

マスメディアの人間は、基本的に人間の目利きです。本物か偽物かを見抜く力に長けています。

また、一般のウェブユーザーも最近は以前と比べてかなりリテラシーが高まりました。

だから、企業団体のウソや不正は見抜かれやすくなっています。最近も大企業のステマを見抜いたのはネットユーザーでした。

かつては、広報においてはある程度のテクニックが通用したかもしれません。

しかし、うそが通用しない時代にはますます当事者の人間力そのものが試される、と感じています。

攻めにおいても守りにおいても、うそ偽りのない、誠実で真摯なメッセージを発信していってください!

 

※この記事は、株式会社メディア戦略代表の坂本宗之祐(元読売新聞記者)が執筆しました。

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