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記者が教える広報PRの方法

広報PR情報No.1サイト 元読売新聞記者 坂本宗之祐

“攻めの広報”を成功させる秘訣とは? 読売新聞、電通PRの経験者が語る3つのポイントと2つの重要スキル


自社の存在をアピールするために、積極的にさまざまなメディアへの露出を求めていく活動が、“攻めの広報”です。

これに対し、ネガティブな報道やいわゆる“炎上”を食い止めるのが、守りの広報です。

私は読売新聞の社会部記者でした。社会部記者は、不正や悪事を追及するような、“攻めの取材”をよくやります。なので、攻めていく活動は得意です。

まだ知名度の低いスタートアップや中小企業は、“攻めの広報”に力を入れるべきです。

広報で攻めることによって、御社のブランドが確立されます。

この記事では、攻めの広報とは何か?そのメリットから、攻めの広報を成功させる重要なポイントまで、私の記者経験を踏まえながら説明します。

 

※この記事は、2019年12月16日に公開しましたが、2024年6月6日にリライトして再度アップしました

攻めの広報とは何か?

「攻めの広報」とは、企業・団体のポジティブな情報発信です。

やっつけ仕事でダラダラ情報を垂れ流すのではありません。

戦略をもって情報発信を行い、自社の価値や魅力を広く世の中にアピールする広報の取り組みです。

普通の広報活動では、単に自社の情報を発信するだけです。

しかし、攻めの広報では、お客様や社会のニーズ、問題に積極的に取り組み、情報を発信することで、お客様や社会からの支持を集めます。

つまり、世の中を巻き込んでいくのです。

攻めの広報の具体的な取り組みとしては、以下のようなものがあります。

・新製品や新サービスの発表や情報提供
・社会的な問題やニーズに取り組み、社会的な信頼を得る
・そのために、社会貢献性のある企画やイベントを立案する
・社員から積極的に聞き取りを行い、発信ネタを探す
・新聞記者やテレビ関係者にアプローチを行い、情報提供する
・SNSやブログ、YouTubeなどを活用し、多くの人に情報を届ける

 

攻めの広報は、単なる情報発信ではなく、顧客や社会とのコミュニケーションを重視した戦略です。

自社の価値や魅力をより高めるために、顧客や社会からのフィードバックを受け止めた上で、相手に寄り添う情報発信をする必要があります。

攻めの広報によって、大手メディア露出が成功すると、一気に知名度や信頼度が高まります。

だから、攻めの広報を本格的に始めようとするベンチャー、スタートアップ企業はとても増えています。

また企業に限らず、まだ知名度の低い個人事業主でも攻めの広報に取り組んでいるケースもあります。

 

攻めの広報がもたらす効果とメリット

①ブランディングできる

小さな会社ほど、社会的な信用が乏しく、それが事業の発展の妨げになるケースがとても多いです。

しかし、攻めの広報がうまくいけば、大手メディアで紹介されるようになり、世間からの見る目が一変します。

「すごい会社」だとみなしてもらえるようになるのです。

私の過去のクライアント企業でも、テレビや新聞に掲載される前は、営業活動で訪問しても門前払いの連続だったのが、

NHKや読売新聞で取り上げられるようになった途端、「訪問すると大歓迎されるようになりました」と笑っていました。

いくら優れたことをやっていても、信頼してもらえなければ、ビジネスはうまくいきません。

その意味で、信頼性の高い大手メディアが、客観的な情報としてあなたのビジネスを記事や番組で紹介してくれることで、

「すごい会社、すごい活動に違いない」と認めてもらえるようになります。

あなたの会社は「ブランド」になっていくのです。

 

②知名度が上がり、売上が上がる

ウェブの時代と言われて久しいですが、いまだにテレビや新聞から情報を得る人は大勢います。

テレビ全国放送で、もし仮に視聴率10%だったとします。

単純に日本人の10%の人が見てくれたとしたら、1200万人にもなります。5%でも600万人です。

新聞を読む人も多いです。例えば読売新聞は、2024年現在でも、全国で毎朝600万部を発行しています。

テレビも新聞も、これだけ多くの人々にリーチする力があります。

攻めの広報によってこうしたテレビや新聞に露出できれば、多くの人に知られ、、売上のアップに繋がります。

 

③販路が広がる、取引の引き合いが増える

上記の通り、

・信頼性が上がる

・知名度が上がる

ということに伴い、「あなたの会社と取引をしたい」と申し出てくる会社が現れることがよくあります。

私が過去に指導したスタートアップ企業の製品が、テレビ東京WBSの「トレンドたまご」で紹介されたことがあります。

その放送を見ていた、全国に店舗を持つ大手量販店の人物から、「ぜひ、製品をウチの店舗で取り扱いたい」というオファーが入りました。

通常なら、起業したての素性の分からない小さな会社など、相手にしてくれないような大企業だったのです。

また、別の方は、日経新聞に記事が載り、それを見たメガバンクの支店長から「ぜひ当行として全面的に支援させていただきたい」という電話がかかってきたそうです。

大手メディアに取り上げられたことで、ビジネスのステージが1段2段上がった、という話は枚挙にいとまがありません。

 

こうした強力なメリットが知られるようになってきたので、最近は「広報」を始めようとする企業が、あらゆるジャンルで増えているのです。

 

攻めの広報の実践方法について

攻めの広報の実践方法としては、以下のような手法があります。

 

報道機関へのプレスリリース配信

新聞社やテレビ局、ウェブメディアなどに向けて、自社の情報を知らせる手段がプレスリリースです。

プレスリリースを起点に、積極的にマスメディアに働きかけることで、社会の幅広い層に対して、自社の情報を一気に届けられる可能性があります。

プレスリリースをやる企業は最近増えています。

しかし、プレスリリース配信サービスを利用するばかりで、ほとんどのプレスリリースはうまくいっていません。

正しいプレスリリースを行い、大手メディアの取材を獲得するために、以下の記事をじっくりお読みください。

・マスコミ取材お願いする依頼文の書き方と例文。元読売新聞記者がプレスリリース徹底解説します

 

SNSを活用した情報発信

SNSを活用した情報発信は、効果的な攻めの広報の手法の一つです。

SNSを通じて、自社の情報を積極的に発信することで、顧客やファンの獲得につなげることができます。

また、SNS上での顧客とのコミュニケーションを通じて、顧客のニーズを把握し、商品やサービスの改善点を把握することもできます。

SNSとテレビ等メディア露出のかけ算でネットに情報拡散する5つの手順について、こちらで紹介しています。

 

オウンドメディアの運営

オウンドメディアの運営は、攻めの広報の手法の一つです。

自社が運営するWebサイトやブログ、メールマガジンなどを通じて、自社が提供する商品やサービスに関する情報を発信することで、読者の獲得やファンの獲得につなげることができます。

また、オウンドメディアの運営を通じて、読者とのコミュニケーションを深め、顧客のニーズを把握することもできます。

中小企業が大手に負けないブランドを築くために、オウンドメディアを有効に活動する取り組み方はこの記事で紹介しています。

 

 

攻めの広報3つの重要ポイント

①アイデア発想力を磨く

攻めの広報で成果を出していく企業や組織は、やはり優れたアイデア発想力を備えています。

メディアでニュースとして取り上げてもらうには、ある意味で、常識から外れたことをやる必要があります。

ありふれた凡庸なプレスリリースを出しても、メディアは興味を示しません。

ニュースとは、「新しいこと」です。だから新しいことを発想できる当事者こそが、メディアの取材対象になるのです。

だから、攻めの広報で必要不可欠なのがこの「アイデア発想力」。これは一朝一夕には身につきませんので、地道に取り組むことです。

 

②粘り強く取り組む

広報PR活動は、頑張ったからといって即、成果が約束されるものではありません。

特に、広報は必ず最初は失敗します。むしろどんな広報のベテランであっても、プレスリリースを出したら百発百中なんてことはありえません。

そこで、プレスリリースが失敗したり、取材を断られたりした時に、どう反応するか?でその後の運命が大きく変わります。

そこですぐ諦める人は、結果を出せません。ここで多くの企業が脱落していきます。

ですが、諦めずに粘り強く取り組む人は、やがて少しずつ成果を出していきます。

これは、SNSやオウンドメディアからの発信の場合も、全く同じです。

記者らに断られた時も、「どうしたら取り上げていただけるでしょうか?」などと粘り強く食い下がります(もちろん相手に嫌がられない程度に)。

そこで、記者側からアイデアをもらえることもありますし、何より記者に「この人は仕事熱心だな」とリスペクトされるようになります。

広報成果は、活動を積み重ねていくほど、指数関数的に増大していくものです。

だから、粘り強い、諦めない、ということは、攻めの広報の担当者には不可欠な素養です。

 

③積極的に人に会いに行く

攻めの広報で成果を出す人は、積極的に会社の外に出て人に会いに行きます。

プレスリリースを書いて出したら、そこからが仕事のスタート。

積極的にメディアの人々と会いに行きます。そして、実際に会って話をします。

それによって、メディアの人々の考え方に触れることができ、次回以降のプレスリリースの精度もどんどん高まっていきます。

メディアの視点を肌感覚で理解できるようになるからです。

また、メディアの中の人脈にとどまらず、他者の広報担当者らとも積極的につながり、メディアの情報収拾に努めています。

SNSやオウンドメディアからの発信でも、机に座ってオンラインにだけ注力するのではなく、リアルイベントなど人と会う機会を作りましょう。

 

攻めの広報で失敗する人の特徴

攻めの広報に取り組んでも、からきし成果を出せないケースはとても多いです。

上記①②③の裏返しで、それらができないため、全然成果を出せないのです。

つまり、

・アイデアを出さない
・人に会いに行かない
・粘り強さがない

記者も、こういう人は会えばすぐ分かるんですよ。

「あー、やっつけ仕事で広報をやってるな」と。

「上から言われたからやってるだけやな」と見抜くのです。

だから当然、リスペクトされることはないし、そんな相手の商品サービスを取り上げたいとは到底思いません。

メディアの人は、仕事に熱がない人と会うのは、「時間のムダ」と考えます。

 

守りの広報

守りの広報とは、企業が危機管理やリスクマネジメントを目的として行う広報活動のことです。

すでに高い知名度・認知度を持つ企業や団体は、この守りの広報を重視しています。

これまで築き上げてきた評判(レピュテーション)を損ないたくない、それは当然そうですよね。

特に昨今は、ネガティブな情報は一瞬にして世の中に広まります。俗にいう「炎上」です。これは防ぎたいです。

私は社会部記者として多くの企業や団体の不祥事を取材してきましたが、多くの企業団体が広報対応を誤り、傷口を広げるケースが非常に多く目の当たりにしました。

危機管理広報の基本と備えについて、私の社会部記者の経験から8つのポイントをこの記事で説明しています。

 

守りの広報で失敗する要因

①誠実さがない

メディアが報じる不祥事が発覚する企業や団体の多くは、大きな組織です。

組織が縦割りになっており、メディアと直に接する担当者は当事者意識が薄く、「なんで俺が…」という雰囲気を漂わせるケースが多いです。

トップがやっと出てきたと思ったら、口には出さないまでも、「現場が悪いんだ」という苦々しさを醸し出すこともよくあります。

「自分が責任を取る」という潔さがなく、当事者意識が薄いのです。

だから、取材を受けても、質問に真摯に答えず、その場逃れの言動を繰り返す。

最近は、逆に開き直ったりするケースも…

こういう態度・雰囲気が、二次的な批判・炎上を招くようになるケースが非常によくあります。

何も難しいことでなく、人として「誠実に対応する」。ここの基本に徹すれば良いのです。

ですが、すぐ素直に謝らなかったり、奥歯に物が挟まったような、回りくどい言い方をして言い逃れを図ろうとするケースがとても多いです。

聞いてる側の記者としてはイライラします。

そして「往生際の悪い奴だ、もっと突っ込んでやろう」と、記者の闘争心を掻き立てるだけです。

 

②情報提供が遅い。小出しにする

事件・事故や不祥事が発生すると、メディアの記者たちはすぐさま当事者への問い合わせに走ります(電話や訪問)。

ここで、情報提供が遅いケースがとても多いです。

上記の「誠実さの欠如」に通じるところですが、記者の問い合わせに答えず、のらりくらりと対応するのです。

「担当者がいない」などと言い訳して、何も答えないことも多いです。

最初は非を認めず、やがて言い逃れできない証拠が出てきて、やっと謝罪する、というのがお決まりのパターン。

これこそ最悪の広報対応ですが、実際にこういう企業・組織は多いです。

 

優れた守りの広報の特徴

一言で言うと、誠実です。

そして情報提供に関しては、巧遅よりも拙速を尊ぶこと。スピード!です。

つまり、準備が整ってから3日後に出す情報よりも、今すぐ出せる不十分な情報の方が、新聞テレビの記者にとってはありがたいのです。

「ごめんなさい、今これだけしか情報がないんですけど、新しい情報が入ったらすぐ知らせますから!」

誠実に、一所懸命やっているのであれば、その姿勢や態度から記者たちもある程度は理解してくれます。

世の中、人間のやることですから、事故や不祥事は起きるものです。仕方ない時もあります。

ですが、事故や不祥事が起きてからの対応は、当事者次第です。言い逃れはできません。

 

攻めの広報2つの必須スキル(守りの広報でも)

それは一言で言うと、「ロジックと感情」です。右脳と左脳とも言えます。

論理的に物事を説明できる能力と、相手の気持ちを読み取れる心理能力が大いに求められます。

 

①ロジックの構築力

メディアの人間は、極めてロジカルに物事を考えます。

だから、記者に対して、論理の筋道が通る説明ができないと、いつまでも納得してもらえません!

理屈になっていない理屈を並べ立てる、情けない広報担当者をたくさんみてきました。

新聞もテレビも、「AだからB、それでCなのです」といった、分かりやすい構成になっています。

マスメディアの記者は、読者視聴者にとって分かりやすく伝えることを常に意識しています。

そもそも「筋道の通らない話」を現場の記者がそのまま原稿にしても、上司のデスクが「意味がわからないぞ!』と、原稿を通しません。

ですので、広報担当者には、記者を納得させられる「論理の構築力」が必要とされます。

 

②感情への訴求力

メディアの人間は、極めてロジカルである一方、意外と感情にもろいところもあります。

もちろん個人差はありますが、他者に対する共感性が敏感で、浪花節的な側面を持つ人も少なくありません。

記者は日々の取材で人間の喜怒哀楽に接し、酸いも甘いも噛み分けますからね。

新聞やテレビでは、事実ベースで報道することはもちろん大前提です。が・・・

その取材対象者に対する「好悪の感情」が、その報道ぶりを左右することは、往往にして起きることです。

取材した相手に良い感情を抱き、「この人を応援したい!」と思えば、好意的に取り上げます。

逆に、取材した相手に悪い感情を抱き、「けしからん!」と思えば、批判的に取り上げる。

こういうことは日常的に起きていることです。

だから、いくら論理の構築に長けていても、コミュニケーションが苦手で他人から嫌われやすい人は、広報には向いていません。

この点、女性は比較的、男性よりもコミュニケーションが得意ですので、この点では向いている人が多いかもしれませんね。

 

「ロジック」と「情緒」。この2つの文章コミュニケーションについては、私(坂本宗之祐)の本で詳しく解説しています。ご一読ください。

「ロジカルな文章、情緒的な文章」(クロスメディア・パブリッシング刊)

 

結論:攻めも守りも、広報は人間力が試される

広報とは、メッセージを発信する活動です。

どういうツールを使う?とか、このセリフを言えばオッケー!とか、小手先のテクニックはもはや本質的には通用しません。

マスメディアの人間は、基本的に人間の目利きです。本物か偽物かを見抜く力に長けています。

また、一般のウェブユーザーも最近は以前と比べてかなりリテラシーが高まりました。

だから、企業団体のウソや不正は見抜かれやすくなっています。最近も大企業のステマを見抜いたのはネットユーザーでした。

かつては、広報においてはある程度のテクニックが通用したかもしれません。

しかし、うそが通用しない時代にはますます当事者の人間力そのものが試される、と感じています。

攻めにおいても守りにおいても、うそ偽りのない、誠実で真摯なメッセージを発信していってください!

 

 

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