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記者が教える広報PRの方法

広報PR情報No.1サイト 元読売新聞記者 坂本宗之祐

「原稿見せろ」は三流広報の証!プロなら記者をリスペクトせよ


「社長が掲載前の原稿をメディアに出させろ!ってうるさいんですよ…」

昨日お話ししたある企業の広報の方が頭を抱えていました。

僕はその時、「まだそんなアホな社長がいるんだな」と正直、思いました。

メディアに原稿の事前チェックを求めてはいけない。

これは、賢明な広報マン・ウーマンにとって“常識レベル”の話。

しかし、現実問題として、「事前に原稿を見せろ」という愚かな広報や経営者がいるのも事実。

そして、中には原稿を見せてしまう記者ライター編集者がいるのも事実なのです。

はっきり言います。

事前に原稿を見せろという側(企業・団体)も、見せてしまう側(メディア)も「三流」です。

「プロの仕事やれや!」と思います。

「原稿見せろ」が横行する原因と、それがもたらす弊害をこの記事で説明したいと思います。

 

「原稿の事前チェックはできない」のが基本原則

伝統的なメディア、つまり「新聞社・テレビ局」の話をします。

取材をしたら、掲載・放送前に、取材相手にその原稿を見せることは基本、ありません。

なぜなら、事前に原稿を見せてしまったら、報道内容が歪められるリスクがあるから。

一般市民のみなさんに、客観的な情報を伝えられなくなるからです。

取材相手にとって都合の良い情報しか流れなくなったらどうなるか?例をお見せしましょう。

 

例① 日本郵便・かんぽ不正販売

日本郵便の副社長が、NHKの報道(かんぽ生保の不正販売)に圧力をかけました。

その結果、報道が取りやめになった。すると、一番損をしたのは誰ですか?

「世の中の人々」です。何の罪もない数百万人のお年寄りが食い物にされたのです。

NHKがもっとかんぽの不正販売を報道してれば、被害の拡大を防げていました。

 

例② 大本営発表

先の日米戦争で、軍部の大本営はマスコミの記事を「事前検閲」していました。

「連戦連勝!」と事実と異なる記事を書かせ、「戦意をくじく」記事はことごとく潰しました。

その結果、どうなりましたか?

正しい情報を国民は知れず、日本中が焦土となり、数百万人の命が失われました。

 

いかがでしょうか?

「世の中の人のためになるかどうか?」で考えれば、

「記事を事前にチェックさせちゃいけない」という原則論はご理解いただけるでしょう。

それが、「公益にかなう」からです。

 

プロフェッショナリズムの欠如が「原稿確認させろ」を招いた

「いやいや、そうは言っても見せてくれる記者ライターいるよ」

そこが何とも情けない話・・・。

安易に原稿を見せる記者ライターは、「自分の原稿に自信がない」から見せちゃう。

あるいは、自分の仕事にプライドがない。

こういうプロではない記者・ライターがすごく増えました。ウェブメディアが乱立し、誰でもライターになれますから。

そして、資本力や知名度のある企業団体に対してペコペコして「記事を書かせていただく」振る舞いをする。

情けない…

そして企業は企業で、カン違いする。

記者ライターに対して「書かせてやってる」「委託業者」のような態度で接するようになる。

要するに、三流同士の共犯関係なんです。

広報担当者のレベル低下は、メディア側が招いたもの、とも言えます。

メディアの人がプロ意識を持って仕事をし、安易に相手に原稿を見せることをやらなれば、こうはならなかったはずです。

安易に原稿を見せて、相手に妥協する記者ライターがいるから、企業側がつけ上がった。

見せてもらうのを「当然の権利」と勘違いするようになった。

こういうことでしょう。

 

プロの記者にはプライドがある

「俺が書いた原稿には、一字一句、手を入れさせたくない」

これはまともな記者の感覚です。プロであるほど、その気持ちは強い。

上司のデスクにだって、原稿を変えられるのはイヤなんですよ。

だって、自分が一所懸命取材して材料を集め、自分が作り上げた努力の結晶なんです。

まさに「作品」です。

僕は、駆け出しの時はともかく、デスクに原稿をごっそり原稿を書き直されたらケンカしてましたよ。

「おかしいじゃないですか!」「違いますよ、取材した僕が言ってるんですよ!」って。

先輩記者であるデスクにだって、手を入れさせたくない。

なのに、外部の素人に手を入れられたら、そりゃー腹がたつのは当然ですよ。

だからこそ、まともな記者には間違うことに対して、ものすごい恐怖心があります。

「事実関係はこれで間違いないだろうか?」と疑問を抱いた時は、必ず取材相手に何度も確認します。

プロだから、自分の仕事に責任を持つのは当然なんです。

 

プロの広報にもプライドがある

広報担当者とは、世の中と会社(団体)との間をつなぐ「窓口役」です。

会社と世の中の関係を良くするためのコミュニケーションを担う役割です。

だから、こちらも言葉を扱うプロじゃないですか?

メディアから取材を受けたなら、自分たちの意図が正しく伝わるように力を尽くす。

それがプロってものでしょう。

なのに、自分の職務を放棄しておいて、プロである記者ライターの制作物に難癖をつけるんですか?

相手の受け取り方が悪かったと言って、人(記者)のせいにするんですか?

コミュニケーションの責任は、まず第一義的には伝える側にあります。

正しく伝わってなかったら、伝えた側がまず「自分の伝え方がまずかったのではないか?」と省みるもんです。

それから、本当のプロフェッショナルな広報マン・ウーマンは「会社の言いなり」ではありません。

「会社の宣伝」しか考えないエゴむき出しな経営者がいたら、「それでは世間は通りませんよ」と諌めます。

 

相手をリスペクトすれば、社会からリスペクトされる

広報とマスコミの関係に限らず、今の日本社会には「相手へのリスペクト」が決定的に欠けています。

どっちが上か下か?すぐマウンティングを仕掛ける。そしてパワハラが始まる。

ですけど、マスメディアと企業・団体は、どっちが上とか下とかないですからね。

対等な関係。そして、それぞれにはそれぞれのプロとしての「役割の違い」があるだけです。

企業・広報はプロとして自分の仕事に誇りを持ち、記者に敬意を持って取材に対応する。

そして、記者ライターも相手をリスペクトして、プロとして一所懸命、取材・執筆する。

お互いハッピーですし、世の中に良い情報が流通し、社会も良くなります。

ですが現実、かなり多くの広報担当は、マスメディアを「自分の都合の良いよう使いたい」としか考えていないように感じます。

要するに、メディアへのリスペクトがない。

しかし、対人関係は合わせ鏡です。

そんな会社・団体は、記者からも世の中からもリスペクトされることはありません。

だから取材されなくなるんですよ。

 

「原稿見せろ」企業・広報の哀れな末路

Yahoo!ニュース関連の記事を書いていた時、

「なんで事前に見せてくれなかったんですかっ」

と、ある若い女性広報から電話で言われたことがあります。

メディア関係企業の社長をインタビューして書いた記事です。

その社長も記者経験のある方でしたから、まさかそんなことを言われるとは夢にも思わず、驚き、呆れました。

社長がそんな指示をするわけがなく、その女性広報が一人で先走って「原稿チェック」が自分の仕事と思い込んでいたんでしょう。

いやいや、広告でもないのに、なんであなたに原稿見せる必要があるんですか?

広告の原稿と、取材の原稿を混同している人が企業にたまにいるんですよ。

固く決意したのは、「この会社は二度と取材はしない」ということ(笑)

メディアをリスペクトできない企業は、メディアからリスペクトされることはありません。

そして、世の中にも受け入れてもらえません。

その後、その会社をメディアで見聞きすることは皆無ですし、業績もパッとしません。

メディアの業界って、意外と狭いです。

記者同士も、他社であっても横のつながりがけっこうあります。

だから、「あそこの広報ヤバイから関わらない方がいいよ」という情報もすぐ伝ります。

僕は言いふらしたりしていませんが、きっと広まったんでしょうね。

 

原稿を見せるケースはあるが、「信頼関係」が前提

プロの記者は、立場や肩書きをかさにきて、プロ意識のない仕事をする人と付き合いたくない。

だから、そんなバカチンに原稿を見せることはありません。

ですが、記者と取材相手がお互いリスペクトしあえる関係ができると、話は違ってきます。

相手をプロとして尊敬し、お互いのためにもなる、と感じたら、原稿を見せることはありましたよ。

と言っても、「事実関係の確認」だけです。

記者だって、記事に間違いがあるのは絶対イヤです。

だから、専門性の高い話であればあるほど、「こういう言葉の表現で間違いありませんか?」と確認してもらいました。

あるいは、専門家へのコメント依頼。

著名な専門家・識者によく電話を突っ込んで、コメントをいただきました。

10分15分ほど話を聞いて、100字くらいのコメントにまとめます。その際も相手によっては「こういう表現で紙面にしますね」と伝えていました。

 

記事に間違いがあったら、毅然として訂正を求めましょう

もちろん、なんでも書かれっぱなしで良いわけでもありません。

もし報道内容に明らかな間違いがあったのなら、毅然として抗議し、「訂正」を求めましょう。

記者も人の子ですから、間違うこともあります。

ですが、その誤りを放置したら、記者側から「あそこは何を書いても文句を言わない」となめられ、同様の書きとばしが続いてしまいます。

だからそんなことにならないよう、間違いは間違いだとはっきり伝えましょう。

記者もプロなら、きちんと過ちを認めます。

記者と良い関係を築いて、お互いプロとして良い仕事をしてください。

 



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