マーケティングPRを実行する7つのステップを事例をもとに説明します
目次
マーケティングPRとは?
マーケティングとは、ビジネス成功のために市場(マーケット)を攻略していく取り組みの全体を指します。
市場の分析から開拓まで、幅広い意味合いが含まれる言葉です。そして経営学者のピーター・ドラッカー氏はこう言います。
「マーケティングの理想は、販売を不要にすることである」
誰かが介して顧客のプッシュしなくとも、自然に「売れてしまう状態」をつくるのがマーケティングということだ。
※(引用)ダイヤモンド・オンラインより
自然に売れてしまう、こうなったら最高ですよね。
「PR」「広報」はまさに、その理想を実現する最も有効な手法の一つです。
なぜなら、マスメディアやインフルエンサーがあなたのビジネスを紹介することで、消費者が勝手に「欲しい」「買いたい」と考えてくれるからです。
マーケティングPRとは、マスメディア(新聞テレビ雑誌等)やウェブメディアに広報PRすることで、生活者に商品サービスを広めていく取り組みです。
昨今は、広告を打っても効果が出にくくなっていますよね。
だから、自然に売れる状態を作っていきやすい「PR」「広報」が注目を集めています。
マーケティングPRの事例
商品そのまま押し出しても、ただの宣伝になる。それだとメディアや生活者の話題になりにくい。
そこで、メディアが取り上げる文脈を作ることがマーケティングPRのキモになります。
事例をご紹介します。
株式会社ドール
バナナという既存の商品をいかに広めていくか。商品そのものに新規性は乏しく、普通の広告ではなかなか厳しいでしょう。
そんな中、ドールはマラソンブームに着目。バナナはランナーの手軽な栄養補給食品としてポピュラーでした。
そして2015年当時、「ウェアラブルデバイス」が社会で注目を集めていたトレンドもありました。
そこで、ドールは「ウェアラブルバナナ」という、突飛もない商品を発表したのです。
「ウェアラブルバナナ(Wearable_Banana)」は、完走タイム、心拍数、Twitterで取得した応援メッセージの他、東京マラソン2015コース内4カ所に設けられたドールバナナの摂取ポイントを表示するよう設計された。
バナナを身につけて走る姿そのものが面白いですよね。
狙い通り、ウェアラブルバナナは多くのメディアがニュースで取り上げました。そして、ウェブでもSNSなどで話題になりました。
こうして、ドールバナナの認知も拡大したのです。
マーケティングPRを行う7つのステップ
では、マーケティングPRを実際に行う手順をご説明しましょう。
①メディアのリサーチ
PRを行うにあたっては、社会状況を把握することが欠かせません。
今どんなことが話題になっているのか?どのような社会課題があるのか?
新聞やテレビが取り上げているテーマをピックアップしましょう。
上記ドールの場合、「ウェアラブルデバイス」のブームという社会状況がありました。
そして、「マラソンブーム」という現象も起きていました。
②切り口の検討
社会状況やトレンドがわかったら、自社の商品・サービスがどのように社会状況と繋げられるか?を考えます。
この切り口検討は、面白がって取り組むことをおすすめします。
逆に、まじめに考えない方が良いです。
というのも、まじめに考えすぎると、「常識的な切り口」しか思い浮かびません。
常識的なアイデアは、新しいことでもなんでもないので、メディアが取り上げるニュースにならないのです。
だから、面白がりながら、突拍子もないアイデアを出すよう努めてください。
社会現象を見て、多くの事業者は「あれはウチと関係ないよ」と言います。それが失敗の元。
バナナとウェアラブルデバイスも、一見、関係ないですよね?
しかし、関係なさそうな両者を結びつけた時、そこに新しい概念が誕生しました。
これこれ、価値創造なのです。
③商品サービスの開発
切り口のアイデアをもとに、それを実現すべく商品サービスを開発します。
①と②のステップを経て、開発された商品サービスは、とても有望です。
逆に、でき上がった商品サービスを「PRしよう」するのは困難なことが多いです。
メディアが好む文脈を事前に取り入れて、商品サービスを開発しましょう。
④自社サイト(オウンドメディア)の整備
情報の切り口と商品サービスの準備が整ったら、その情報を自社のウェブサイト(オウンドメディア)に情報をストックしていきます。
なぜこれをやるのか?
もし、新聞テレビやウェブニュースで取り上げられたら、生活者は高い確率でウェブ検索します。
そこであなたの自社サイトが確実に表示されるように整えておきましょう。
さらに、検索からきたユーザーにとってほしい行動(商品の購入あるいはメール登録など)の動線をデザインしておきます。
このサイト整備をやっておかないと、せっかく世で話題になっても、お客様を大きく取りこぼしてしまうからです。
さらには、生活者がSNSで「共有・発信」しやすいよう促す意味あいもあります。
(参考)“Dual AISAS”で考える、もっと売るための戦略。(電通)
⑤プレスリリースの作成
ここまで準備が整ったら、いよいよ世の中に向けて発信する準備に取り掛かりましょう。
新聞社テレビ局、雑誌社にお送りするプレスリリースを作成しましょう。
プレスリリースの書き方はこの記事で詳しく説明しています。
⑥メディアへのプレスリリース送付
プレスリリースが書けたら、いよいよ各メディアにお届けしにいきます。
プレスリリースの送り方は、こちらの記事をご参考ください。
⑦メディアリレーションの構築
プレスリリースは、送りっぱなしでは取材の獲得は覚束ないのが現実です。
メディアの記者や編集者、ディレクターらにアプローチしていきましょう。
こちらの記事をご参考ください。
マーケティングPRの課題・問題点
マーケティングPRは、うまくゆけば非常に効果的なのですが、リスクもあります。
①メディア制作者の反発を買う恐れ
マスメディアの人々には、自分たちが企業の宣伝に利用されることを極度に嫌います。
「俺たちを販売促進に使うだと?」「宣伝に利用されてたまるか!」と反発を招きかねません。
「マスメディア露出によるマーケティング」という概念は、二律背反する要素をはらむのです。
私も新聞記者時代、たくさんの売り込みを受けましたが、自社宣伝が強い企業には嫌悪を覚えました。
だから、あからさまな宣伝の意図をメディアの人に感じさせてはいけません。
そうならないよう、「情報としての価値」を持たせることに力を注ぎましょう。
ネタさえ良いものなら、メディアの人は受け入れてくれます。
この記事をご参考ください。
②ウェブユーザー・生活者の反発を買う恐れ(ステマ)
「PRを販促に使おう」と功を焦りすぎて、「ステマ」(ステルスマーケティング)になってしまうケースが後を絶ちません。
つまり、お金を払って第三者に高い評価をしてもらう“ヤラセ”がバレてしまうパターン。
ステマは昨今、ウェブユーザー・生活者から最も嫌われる行為の一つです。
「最低!」だと叩かれ、ネットでも炎上します。
最近では、ディズニー映画「アナと雪の女王2」でステマが発覚。
ウェブで大炎上し、ブランドは大いに毀損され、ディズニーは謝罪に追い込まれました。
いくらメディア上で良いウワサを広めたいからといって、ステマだけは絶対にやってはいけません。
誠実に正しい情報発信に努めましょう。
まとめ
いかがでしたか。マーケティングPRは、非常に効果的なのは間違いありません。
ただ、メディアへのPR活動に関しては、完全にコントロールできない部分が大きいのも事実です。
記事・番組にするかどうかは、相手の判断に委ねられているからです。
その点、広告であれば、投下した費用と、それに対する反応率は計算しやすいでしょう(ただ、コストパフォーマンスは落ちています)。
私は、PRを売上増進の主力に位置づけるのは得策でない、と考えています。
「売れる仕組み」をまずしっかり作った上で、その売り上げをさらに増進させる策として、PRを活用してください。
そもそも、PRとは、関係づくりです。
「売りたい!」が先走った人は、相手から信頼させませんし、良い関係は築けません。
まずはメディアさん・世の中と良い関係を築くことにフォーカスしてください。
その結果、あなたのビジネスもきっとうまくいくでしょう。
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