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記者が教える広報PRの方法

広報PR情報No.1サイト 元読売新聞記者 坂本宗之祐

プレスリリース採点を始めます!第一回目アシックスさんの気になる点数は?


プレスリリースを勝手に採点します

 
坂本です。企業から日々発表される実際のプレスリリースを紹介し、勝手に添削アドバイスするコーナーを始めます。
 
 
栄えある第一回は、スポーツ関連メーカーのアシックスさんが昨日(7月7日)に発表したものです。こちらです。
 
ASICS CorporateASICS Corporate
 
 
 
 
 
 
タイトルとリード文を引用します。次の通りです。
 

科学的根拠に基づいた温室効果ガスの排出量削減目標を策定

「サステナビリティレポート2015」を公開

 アシックスは、このたび、「サステナビリティレポート 2015」(日本語版)を 公開しました。

 同レポートでは、2015年度のサステナビリティ活動のほか、2011年に設定した中期サステナビリティ目標の成果、さらに2020年に向けた新中期サステナビリティ戦略についても報告しています アシックスは、このたび、「サステナビリティレポート2015」(日本語版)を公開しました。

 

うーん。。 まず、すっと頭に入ってきませんね…。

プレスリリースでは、タイトルは超重要です。にもかかわらず、このタイトルで、果たして記者の興味関心を引くことができるか?というと、ちょっと疑問です。

申し訳ありませんが、僕が担当記者だったら「ニュース価値なし」とすぐ判断して、秒殺してしまうパターンです。

温室効果ガスの排出を減らすことについては、とても社会的な意義がある取り組みです。これ自体は素晴らしいですね。

でも、せっかく良い活動をされているのに、このタイトルで主に伝えていることって、

「レポートを公開したよ」

ということですよね。

レポートを公開した、これだけでニュースになりますか?なりません。

 

良い活動が伝わらないのは、会社の大損失です

このリリースは、担当者がアリバイ作り的に、会社の発表事項をそのまま出したようにしか感じられません。

「会社がレポート作った、とりあえずそれをマスコミに流しておこう…」というやっつけ仕事感が、どうしても伝わってきます。

せっかく良い活動をしている。なのに伝わらない。会社にとって、これは大きな損失です。もったいないですよ。

 

僕なら、ここがニュースだと思います

せっかくレポート作ったのだったら、その中で「どこかニュースになりそうな部分はないだろうか?」と、広報担当の方は考えてくださいね。

僕だったら、ここがニュースになるかも、と感じました。

生産委託先工場での CO2 排出量を 43%、水の消費量を 50%、固形廃棄物を 17%削減(シューズ 1 足当たり、2009 年比)

これって、すごくないですか?

ここにフォーカスして、プレスリリースのタイトルでは次のようにします。

 

「弊社シューズ1足あたり、CO2排出量を43%、水消費50%削減を達成しました」

 

これなら、非常に具体性があります。社会的な意義も伝わり、ニュース性が出てきますよ。

 元のタイトルを見比べてみてください。どの切り口で伝えるか?によって、ニュース価値は雲泥の差が付いてくるのです。

 

この活動に取り組む社員さんの思いを知りたい

 

本文を眺めましたが、お堅い論文のような事実の羅列に終始しており、面白みがありません。

アシックスさん、せっかく良いことされているんですよ。そんなに良いことをしているんだったら、地球温暖化にかける熱い思いを見せてください。

文章を書く人に熱い思いがあったら、ほとばしる情熱が行間から伝わってくるものなのです。

きっと、この活動に取り組む人々のドラマもあると思うんですよ。そういう物語を知りたいですね。

また、このリリースは合計3ページです。本当は2枚程度に収めていただきたいです。3枚は良いとしまして、 文字で全て埋め尽くされているのはもったいないですね。
 
写真や画像、イメージ図などがあった方が、記者は飲み込みやすいのです。現地カンボジアの工場の写真、あるいはが一枚あるだけで、記者はイメージしやすくなりますよ。
 
 

 採点:30点

 アシックスさんは、社会的に意義のある良いことをされています。それをメディア向けにお知らせしたことは良いことです。
 
リリース本文は、実務的に事実やデータをふんだんに盛り込んでいます。しかし、プレスリリースはあくまで取材に来ていただくための「きっかけ」に過ぎないのです。
 
興味を持って取材に来てくださった記者に対し、こうした細かい情報はお知らせすれば済むことなんです。
 
公表したというアリバイ作りが目的なら、このリリースでもいいでしょう。
 
しかし、「メディア取材を受ける」ことに目的を設定するのなら、もっと意図を明確にした切り口でリリースしてくださいね。
 
 
 
 
 

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