ニュースリリース、プレスリリースの違いとは?マスコミ記者は本音でどう思っているのか?
ニュースリリース、プレスリリースって、何がどう違うの?
という疑問に、メディア業界に25年身を置く私がお答えします。
読売新聞記者をしていた20年以上前から、この2つの言葉はよく混在していました。
正直、意味はほとんど同じですし、別に違いを知らなくてもいいと思うんですよね(笑)。
ですが、探究心に溢れるあなたのために、
報道機関(メディア)の立場から、この2つの言葉に違いと、歴史的な経緯も含めて説明したいと思います。
目次
ニュースリリースとプレスリリースの違いは?
ニュースリリースとは、「ニュースのお知らせ」。
プレスリリースとは、「報道機関(=プレス)へのお知らせ」。
これらの言葉の意味をストレートに捉えれば、上記のようになります。
いずれも企業や官庁が自分たちの公式発表をマスコミに知らせるツールでした。
そもそも30年ほど前までは、企業や官庁の公式発表は、マスメディア・報道機関に出すしかありませんでした。
インターネットが未発達だったので、マスメディアを通じてしか、世の中に発信できなかったのですね。
つまり、一般の人々はプレスリリース(ニュースリリース)を目にする機会はありませんでした。
だから、この2つのワードの意味はほとんど同じでした。
(〜2000年頃まで)
・プレスリリース →報道機関(マスメディア)向け
・ニュースリリース →報道機関(マスメディア)向け
ところが、2000年ごろから自社サイト(HP)を立ち上げる企業や官公庁が現れ始めます。
すると、自社の公式発表を、メディアに出すだけでなく、自社のウェブサイトにも掲載するようになっていくのです。
「大手メディアに出さなくても、自社で世の中に直接ニュースを届けられる!」というわけです。
(2000〜2010年頃)
・プレスリリース →報道機関(メディア)向け
・ニュースリリース →自社HPで発表、報道機関(メディア)向け
そして、2010年ごろから「プレスリリース配信サービス」が普及していきます。
このサービスを利用すると、マスメディアに送ってくれる上に、ウェブ上に幅広くばら撒いてくれます。
つまりマスメディアに限らず、「広くニュースを発信する」という意味では、
プレスリリースではなく、本来はニュースリリースです。
ところが、こうしたサービス事業者は、「プレスリリース配信サービス」と名乗っています。
「プレス(マスコミ)から取材されまっせ!」
という期待感を企業に持たせたいからでしょう。
このため、「ニュースリリース」と「プレスリリース」の意味がごっちゃになり、多くの人が混乱するようになったのでは、と感じています。
(2010年頃〜)
・プレスリリース →報道機関(メディア)向け、ウェブユーザー向け
・ニュースリリース →報道機関(メディア)向け、ウェブユーザー向け
こうして、現在では「ウェブ上に広くばら撒く」ことも、“プレスリリース”だと多くの人が認識するようになったのです。
ですが、本来の意味はあくまで、「プレス(=報道機関)に対する発表」です。
報道機関(マスメディア)はどう思っている?
プレスリリースと言った方が良いのか、ニュースリリースと言った方が良いのか?
テレビや新聞の記者たちは、「別にどっちでもいい」と思っています。
彼らの認識としては、プレスリリース≒ニュースリリース。
「あなたはプレスリリースと言いましたが、これはニュースリリースじゃないですか!」
などと、怒ったりしません(笑)。
私も読売新聞記者時代から、この両者の呼び名の違いをほとんど気にしませんでした。
記者たちにとっては、表書きはどうでも良いから、「良い情報さえ届けれくれればいい」という考え方です。
だから、あとはあなたの会社の都合で、運用上、どちらかの呼び名に統一しておけば良いでしょう。
ただ、この2つのワードの正式な意味合いは上記の通り(プレスリリース=報道向け、ニュースリリース=ニュースの発表)です。
だから、きちんと言葉にけじめをつけたい方は
・自社サイト掲載、SNSに投稿する発表文書 =「ニュースリリース」
・マスメディア向けに届ける発表文書 =「プレスリリース」
と使い分けても良いでしょう。
ニュースレターとの違い
ニュースリリースとよく似た言葉に、「ニュースレター」があります。
ニュースレターとは何か?そのまま直訳すれば、「ニュースのお便り」です。
ニュースレターとは、企業がお客さまとの関係を深めることを目的に、定期的に発行される郵便物やメールのことを指します。
お客さまに有益な情報をレターをコツコツお届けすることで、自社のことを思い出してもらいつつ、自社を好きになってもらい、ファンになってもらうことを狙います。
では、ニュースリリース(プレスリリース)との違いは何か?
ニュースリリース(プレスリリース)は、企業団体の「公式発表」です。
ですので、ある程度かっちりしたスタイルの文章で企業の取り組みや方針を示します。
これに対し、ニュースレターの内容はもっとライトなものです。
レター(お手紙)という言葉のように、書き手の人となりが伝わるような、温かみのある内容であるケースが多いです。
ニュースリリース(プレスリリース)で公式発表するほど大きなニュースではないけれど、
「近所の猫が子猫を産んだんですよ」のような、近所のお友達に「こんなことがあったんですよ」とお伝えするノリでOKです。
広告との違い
ニュースリリース・プレスリリースと広告とは、全く性質が異なります。
ニュースリリース・プレスリリースは、既述の通り、
・自社(自団体)の公式発表
です。
これに対し、広告とは、
・特定の商品・サービスの販売促進を目的にメディアに掲載するもの
です。しかも
広告には、掲載してもらうメディア(ウェブサイトの運営企業、テレビ局など)に対して、お金を支払う必要があります。
ニュースリリース・プレスリリースは基本、公表することに費用は発生しません。
自社のホームページやSNSに出すだけでも良いからです。
その発表にニュース価値があれば、メディア側が勝手に取材にやってきて、記事や番組で取り上げてくれます。
ところが最近
「ニュースリリース・プレスリリースで宣伝したい!」と考える企業が増えています。
「お金を払ってでも、わが社のニュースリリース・プレスリリースをメディアに届けたい」
というニーズがあるため、
1配信あたり3万円〜など費用がかかる「プレスリリース配信サービス」が最近、流行っています。
「プレスリリース配信サービス」は、お金を払えば方々にばら撒いてくれます。
だから、「配信サービスでばら撒かれたプレスリリース」は事実上、ほとんど広告と同じと言って良いでしょう。
この配信サービスを使っても、実際にテレビ局や新聞社から取材されて掲載・放送されるケースは全体のほんの一部に過ぎません。
それぞれのメリット、デメリット
ニュースリリースのメリット、デメリット
発行自体にはコストがかかりません。自社サイトで公開したり、メディアに自分で届けたりすれば無料です。
そして、大手メディアがニュースとして取り上げてくれれば、大きな波及効果を期待できます。
ただデメリットは、よほどの有名企業でない限り、自社サイトで公開するだけでは見向きもされない、ということ。
そして仮に大手メディアが取材してくれたとしても、自社の思惑通りの記事にしてくれるかどうかは分からない、という点です。
プレスリリースのメリット、デメリット
発行にコストがかからない点や、大手メディアが記事や番組で取り上げてくれれば大きな効果が期待できる、というメリットは、ニュースリリースと同じです。
デメリットも同じく、「なかなか取材・掲載してもらえない」ことと、取材されてもメディアの記事内容はコントロールできない、という点です。
ニュースリリースもプレスリリースも、メディアやSNSで話題にしてもらえたら大きな効果が期待できるのですが、ほとんどの企業は、意図的に取り上げてもらうことを実現できていません。
1度うまく行ったとしても再現性がなく、運まかせで、宝くじを買うような活動になっています。
ニュースレターのメリット、デメリット
ニュースレターも大きなコストはかかりません。そして継続的にお客さまと接点を持てることで、販売促進の効果を期待できるというメリットがあります。
デメリットは、内容についての企画・編集に手間がかかる、という点。
企画・編集に手間をかけず、単なる宣伝情報ばかりをニュースレターで送り続けたら、お客さまは「宣伝だから読む価値はない」と読まなくなってしまいます。
飽きずに読み続けてもらうには、読者が「ぜひ読みたい」と毎回楽しみにしてくれる内容を考える必要があります。
3文書の違い・まとめ図
ニュースリリース、プレスリリース、ニュースレターの違いを表にすると、以下のようになります。
難易度にばらつきがありますが、いずれの3つとも「出すだけ」なら大して難しくありません。
ただ、「本気で成果を出そう!」と考え、文書の質を上げるとするならば、自ずと難易度は上がることになります。
ニュースリリースの書き方
ニュースリリースはA4サイズで、できれば1枚。長くても2枚程度に収めましょう。
必要な項目は、以下の5つです。
①タイトル
②写真
③リード文(導入文)
④本文
⑤お問い合わせ先
ニュースリリースは、プレスリリースと同じ書き方で大丈夫です。この記事でわかりやすく解説しています。
ニュースリリースの例文
ニュースリリースの例文を以下に紹介します。
ニュースリリース
2024年9月28日
株式会社メディア戦略
代表取締役 坂本宗之祐
地域活性化を支援する新プロジェクト開始 〜自治体と連携し次世代PR戦略を提案〜
株式会社メディア戦略(本社:東京都港区、代表取締役:坂本宗之祐)は、全国の地方自治体と連携し、地域活性化を支援する新プロジェクト「ローカルPRイニシアチブ」を正式に開始しました。本プロジェクトは、次世代のPR戦略を活用し、地方の魅力や特産品、観光地を効果的に発信することを目的としています。
近年、少子高齢化や都市部への人口流出が進む中、地方自治体が抱える課題はますます深刻化しています。これを受け、当社は、地方の強みを掘り起こし、全国や世界に向けて発信するための独自のPR戦略を提供することで、地域経済の発展と住民の暮らしを豊かにするサポートを行います。
プロジェクトの概要
「ローカルPRイニシアチブ」は、次の3つの要素を中心に展開されます。
・デジタルマーケティングの活用
地域の特色を反映したSNSキャンペーンやインフルエンサーとの協業を通じ、ターゲット層に効果的にアプローチします。
・メディアリレーションズの強化
全国メディアや地方メディアとの連携を深め、地域のニュースをジャーナリスティックな視点で伝え、注目度を高めます。
・住民参加型イベントの開催
地域住民の参加を促すイベントを開催し、地元の魅力を内外に発信することで、地域全体の活性化を図ります。
今後の展望
株式会社メディア戦略は、本プロジェクトを通じて、2024年度中に10以上の地方自治体との連携を目指しています。また、当社独自のPRノウハウを活用し、地域の文化や伝統、特産品を持続的に発信するための仕組みを構築します。
お問い合わせ先
株式会社メディア戦略
広報部: 鈴木一郎
TEL: 03-1234-5678
Email: pr@mediastrategy.co.jp
ウェブサイト: https://www.mediastrategy.co.jp
※このプレスリリース例はフィクションです
ニュースリリースを書く時の3つのポイント
ニュースリリースを書くときに気をつけるべきポイントをかいつまんで紹介します。
①売り込み宣伝を書かない
ニュースリリースとは、自社(自団体)から世の中にお伝えする公式文書です。
消費者向けの宣伝チラシでは決してありません。
新しい商品サービスを発表するのは全然、問題ありませんが、製品概要などを淡々と伝えるにとどめてください。
②専門用語をできるだけ使わない
ニュースリリースは、業界の人だけが目にする文書ではありません。
幅広い人々が目にする、ということを前提に、わかりやすい日本語で書きましょう。
技術屋さんの専門家目線で、難しい用語やスペックが並ぶニュースリリースは珍しくありません。
そんな文書は、単なる自己満足に過ぎません。
ニュースリリースは幅広い人に理解してもらうために出すものです。そのことを常に念頭に置いておきましょう。
③社会的な背景を書く
ニュースリリースは自社の動きを知らせるものですが、その動きの社会的背景にも触れておきましょう。
なぜなら、ニュースリリース自社のことしか書いていないと、新商品であれイベントであれ、「社会にとっての必要性」が読み手に理解できないからです。
社会にとっての必要性が理解されなければ、社会にとってのニュースになり得ません。
例えば、「新しいジュースを発売」するとします。
開発したあなたにとってはニュースでしょう。
しかし、世の中にジュースはいくらでもありふれています。
だから、ジュースだけの話に終始するのではなく、
・そのジュースは、今の世の中のこういうニーズを満たす
・そのジュースは、今の世の中にあるジュースとここが違う
という点を明らかにしておかないと、世間から「ニュース」として受け止められません。
ニュースリリースの具体例
実際のニュースリリースの事例を以下に紹介します。
リンク先で実際のニュースリリースを見られますので、参考にしてみてください。
①ソニー銀行
②JR東日本
・東北新幹線でのタリーズ スペシャルティコーヒー 期間限定販売について
~新幹線の移動空間をより快適、豊かなものにしていきます~
③三井住友銀行
・大阪府とのまちづくりの推進に関する事業連携協定締結について
まとめ
ニュースリリースとプレスリリースは、どちらも報道機関向けの発表文書として、長い間その意味がほぼ同じでした。
しかし、インターネットの普及とともにその使い分けが変わってきました。ウェブサイトやSNSを通じて一般ユーザーにも広く公開されるようになり、情報の伝達方法は多様化しています。
ただし、報道機関側の視点では、ニュースリリースとプレスリリースの違いは大きな問題ではなく、重要なのは情報そのものの質です。
いずれにしても、企業や団体が発信する文書には、わかりやすく、社会的な背景や意義を明確に表現するようにしましょう。
これにより、読者にとって価値あるニュースとして認識され、結果的にメディアでの露出に繋がり、多くの人々の注目を集める可能性が上がります。
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このリストでは
・全国のテレビ局(185)
・全国の新聞社(135)
・雑誌(209)
・ラジオ局、CATVなど(274)
これらの媒体名、所在地をエクセルで一覧にまとめています。
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