記者が教えるプレスリリースデザインの正解。おしゃれで失敗を避ける7のポイントと5つ事例
「プレスリリースはおしゃれなデザインにしなければ!」と考えていませんか?
せっかくプレスリリース作るなら、かっこ良いデザインに仕上げたい、というお気持ちは分かります。
しかし、そこに落とし穴があります。
実はプレスリリースの多くは、ムダにおしゃれなデザインであるがゆえに、メディアの人から「売り込み宣伝」と判断され、捨てられています。
私は、読売新聞やYahoo!ニュースで約13年記者を務め、3万通を超えるプレスリリースを受け取ってきました。
色がギラギラ、目がチカチカするようなプレスリリース(=ほぼ広告)が最近増え、全く逆効果になっています。
この記事では、メディアから好かれるプレスリリースデザインとは?を説明します。
この記事を読めば、あなたもプレスリリースのデザインにムダな労力をかけることなく成果を出せるようになるので、ぜひ最後までじっくりお読みください。
※この記事は、2020年12月23日に公開しましたが、2024年9月16日にリライトして再度アップしました
目次
これが取材獲得の実績多数のプレスリリースデザイン!
まず最初に、記者に好まれるプレスリリースデザインを最初にお見せしましょう。
実際に取材の獲得につながるプレスリリースデザインは、上記のようなデザインです。
「えっ、飾りっ気がなさすぎじゃないの?」
「ダサすぎでしょ」
と思われたかもしれません。
ですが、中小企業や個人事業主の方でも、このシンプルデザインのプレスリリースで、取材を獲得している方が多数です。
なぜこれが良いのか?
なぜなら、新聞社やテレビ局といったマスメディアの報道記者が慣れ親しんでいるデザインが、上記のようなシンプルスタイルだからです。
これこそ正統的なプレスリリースデザインです。
つまり、古くからプレスリリースを発行していた官公庁や歴史ある大手企業が採用してきたものです。
プレスリリースデザイン7つの重要ポイント
①写真のサイズを抑制する
プレスリリースを手に取った瞬時のビジュアルで一番目につくのは、「写真」です。
多くのプレスリリースは、写真が大きすぎます。例えば以下の例。
A4判サイズの3分の1は占めようかという勢いです。これだと記者は「ただの広告か?!」とドン引きします。
写真が大きいほど、記者は「宣伝」「売り込み」の圧を感じるのです。
写真サイズは、最初に示した上記の例のようにマッチ箱程度の大きさまでに控えるがおすすめです。
②タイトル部分の真下に写真を配置する
上記のお弁当のプレスリリース例にあるように、写真を本文の次に載せるパターンが最近多いです。
これはあまりお勧めしません。
記者はとても忙しいです。短時間に、大量のプレスリリースを処理する必要があります。
だから1枚1枚じっくり読めません。その代わり、「タイトル」に素早く目を走らせて、1、2秒でニュース価値を判断します。
その際、「タイトルと写真」をセットで見せた方が、脳内でイメージさせやすく、取材したくなる意欲をかき立てやすいからです。
だから、タイトル真下に写真を載せるのがおすすめです。
③重要なことを最初に述べる
記者はプレスリリースを読みません。プレスリリースの上部分を「見る」だけです。
だから、タイトルとリード文(導入文)に重要なことを書いておかなければ、記者に伝わらないのです。
1つのプレスリリースは、「ワンテーマ」に絞って伝えます。その中でも特に「タイトル」と「リード文」に情報を凝縮させましょう。
④ムダな中見出しをつけない
最近のプレスリリースでは、本文にムダな中見出しが多く、逆に読みにくいです。
【商品の開発に至る背景】
・・・
【製品の特徴】
・・・
【開発者のコメント】
・・・
…みたいな中見出しです。
こうした書き方は、「宣伝臭くてあざとい」と記者から感じられます。
読みにくい上に、記者には「ここを読め!」と指示されているように感じられるからです。
本文はシンプルに淡々と、つづってください。
⑤段落の間は1行空ける
中見出しは不要ですが、キツキツの文章がだらだら続くのも読みにくいです。
ですので、本文は適度に段落で区切りましょう。
その際、段落ごとに1行の空白を空けてください。
適度に段落ごとに空白があるので、読みやすいです。
⑥文字に色や強調線、太字は基本使用しない
プレスリリース本文で、文字にやたら強調のアンダーライン、赤文字、などが多用されているケースがあります。
「ぜひここを読んでほしい!」という気持ちでそうした加工をしていると思いますが、逆効果ですのでやめましょう。
記者はそうした文字を見ると、瞬時にそのプレスリリースを読むのをやめます。
なぜなら、「単なる宣伝チラシ=価値のない情報」だと判断するからです。
プレスリリースは、「宣伝」だと思われたらおしまいです。
本文はシンプルに淡々と、つづってください。
⑦ムダな情報は載せず、2枚以内に抑える
プレスリリースには何でもかんでも情報を詰め込まないでください。伝えたい情報は絞り込みましょう。
なぜなら、1つのプレスリリースに情報が多すぎると、「これ何を伝えたいの?」と記者にとって意味不明になるからです。
記者時代、こうした「何でもかんでも詰め込まれたプレスリリース」をたくさん目にしました。
私はよく「ワンリリース・ワンテーマの法則」と言っています。1つのプレスリリースは1つのテーマだけにしましょう。
ですので、枚数に4枚も5枚も費やすのは論外です。できれば1枚、長くても2枚に収めた方が良いです。
もっと詳しい情報は、取材に来ていただいた時にお伝えすれば良いのです。
マスコミに取材をお願いするプレスリリースの書き方は、この記事で徹底解説しています。
多くのプレスリリースが過剰なおしゃれ装飾で失敗している事実
昨今、プレスリリースを発行する事業者様がとても増えています。
ところが、多くの事業者様が、プレスリリースを「宣伝チラシ」だとカン違いしています。
だから、過剰すぎる飾りつけやイラスト、ギラギラした文字、写真の加工など、やりたい放題となっています。
こうした演出の過剰なプレスリリースを見た瞬間、マスメディアの報道記者は、「売り込み宣伝」だと判断し、読むのをやめます。
メディアの人たちは、うわべの見た目には決してだまされません。
虚飾には目もくれず、徹底的に情報の本質を追求していく人たちです。
そもそもプレスリリースは、宣伝チラシではなく、社会に対するメッセージの発信です。
社会にとって意義のあるメッセージかどうか?。つまり、「中身」が最も問われるわけです。
デザインが凝りすぎであればあるほど、「中身のないプレスリリースだな!」と記者たちから判断される確率が高まります。
なぜ、プレスリリースのデザインはおしゃれでなくて良いのか?
言うまでもないことですが、記者たちが欲しいのは「情報」です。
シビアに情報を吟味する職人ですから、虚飾を徹底的に排除して、本質を見抜きます。
私も新聞記者時代にそうでしたが、記者は「手あかのついていない、生きのいい情報を掘り起こしたい」という欲求を持っています。
いわば、「泥のついた、鮮度の高い野菜」を収穫したい。
手付かずの素材を、自分の手で、発掘したいのです。
なのに、整いすぎたデザインのプレスリリースがやってくると、手に取った瞬間、
「食いつけ!」
とばかりに訴えかけてくる“圧”を敏感に感じ取るのです。
そして、「あざといな…」という感想を抱き、がっかりします。
中には、新聞や雑誌の記事のような文章スタイルで送ってもくるものすらあります。
これは論外で、全くの逆効果です。
「こんな風に記事にしてくれ」という小賢しさがひしひしと伝わってくるのです。
プロの記者・編集者は、独立心とプライドのかたまりです。
素人が書いた原稿はほぼ使い物になりませんし、彼らは相手が誰であろうと、自分の仕事に指図をされることに強い嫌悪を抱きます。
僕も、上司のデスクからすら、原稿について「こう書け」と指図をされるのが嫌いでした。
であるのに、外部から「このように書け」と指図されるのは、“あり得ない”話なのです。
記者たちが欲しいのは、自分の仕事の材料・素材だけです。
だから、あなたは情報提供に徹しましょう。あとの編集・加工は、彼らに委ねれば良いのです。
ですから、彼らに「自分で掘り起こした感」を味わわせてあげてください。
こうした事情があるので、シンプルなデザインで情報提供にフォーカスしたプレスリリースほど、記者から好まれるのです。
記者の心理を読み取り、良い報道をしてもらう取材対応の注意点を、この記事で解説しています。
プレスリリースのデザインについて、記者の本音
記者は、プレスリリースのデザインなど「どうでも良い」と考えています。
既述の通り、知りたいのは「情報の中身そのもの」です。
せっかく中身は良い情報なのに、過剰演出のデザインによって、記者の読む気をくじき、ゴミ箱行きとなっているケースが山ほどあります。
つまり、
「過剰デザイン」=ダメなプレスリリース
と無意識、反射的に判断する新聞テレビの報道記者が多数います。
特に、新聞を中心とした活字メディアの記者ほど、この傾向が顕著です。
活字メディアでは、画像・映像・イラストでのごまかしが効きにくく、情報そのものの価値が重視されるからです。
もちろん、デザイン系や美容系のメディアなど、「見た目」「ビジュアル」を重視するメディアに対しては話が別です。
センスが疑われるような、あまりにダサいデザインにならないように気を使う必要はあるでしょう。
ですが、一般的なマスメディアの新聞・テレビに対するプレスリリースでは、シンプルなデザインで作成することをおすすめします。
デザインを凝ることに逃げず、情報の中身をしっかり練り上げることに力を注いでください!
これこそ、本物の広報担当者です。
プレスリリースに限った話ではありませんが、文書というものは、相手に読んでもらうために存在するものです。
あなたが自己満足するための作品ではないのです。
あなたの好みはいったん横に置いて、「相手がどう感じるか?」を優先し、プレスリリースのデザインを検討してください。
プレスリリースのデザイン5事例
いくつかの有名企業のプレスリリースを実際にご覧いただきましょう。
オリエンタルランド(東京ディズニーランドなど)
伝えるべき情報をとてもコンパクトに、A4判の1枚まとめています。
こちらのPDF版を見ていただくとより明確ですが、無駄な装飾がありません。
左上に自社のロゴを配置。あとは写真3枚で、外装と内容を紹介しています。
タイトルも最小限の文字数で、このニュースの本質を的確に表現しています。
発行主体と、お問い合わせ先もわかりすく、記者に安心感を感じさせられるプレスリリースです。
ANA(全日本空輸)
こちらのANAさんのプレスリリースは、ほぼ文字情報のみでモノクロを中心に作られています。
右上のロゴを配置。そしてコーポレートカラーの青色のラインのみ。
本文では、「賞を受賞した事実」と、「どういう章なのか?」「どういう点が評価されたのか?」を、ポイントを絞って的確に記述しています。
事実情報の伝達にフォーカスして本文を書かれているのがお分かりいただけるでしょうか?
事実を伝えるのが、本来のプレスリリース。だから、余計な装飾は不要なのです。
日清
新商品の発売をお知らせするプレスリリースです。
上部の中央に、自社ロゴを配置。そして1枚目の中央に商品画像を大きめに掲載しているシンプルなスタイルです。
全体で2枚となっていますが、許容範囲でしょう。
このプレスリリースも、ワード文書にそのまま必要情報だけを掲載した体裁で、むだな装飾がありません。
赤文字はごく一部。大半がモノクロの黒文字です。また、強調するアンダーラインなども一切ありません。これで良いのです。
すき家
まず目に付くのが、タイトル付近の上下のシンプルなオレンジ色のラインです。
余計な飾りが他にないので、オレンジのラインがアクセントになっています。
結果、ストレスなく、タイトルの文字がすっと目に入ります。
ただ、下部にある、福袋ボックスのイラストはちょっとごちゃごちゃしていますね。
こうしたイラストをプレスリリースに使用すると、逆に宣伝チラシぽくなりますので、私は推奨していません。
ですが全体として、これくらいならギリギリ許容範囲でしょう。
ソニー
世界のソニーさんのプレスリリース。上記の事例は、一切の写真やイラスト、装飾がない文字だけのスタイルです。
まさに、事実としての情報を伝達することにフォーカスしているという意味で、清々しさすら感じさせます。
「プレスリリースはデザインが重要」と思い込んでいる方は、衝撃を受けるかもしれませんね。
プレスリリースで一番重要なのは「情報内容」。デザインは二の次である、ということを雄弁に語っているプレスリリースと言えるでしょう。
プレスリリースデザインのテンプレート
上記より、プレスリリースのテンプレートを無料ダウンロードしていただけます。ぜひご活用ください。
・新聞テレビから取材されるメディア戦略を学べる無料のメール講座はこちらです。
プレスリリースのデザインについては、この動画でも説明しています。
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「国内メディアリスト(新聞社・テレビ局・雑誌)」
(計803)
このリストでは
・全国のテレビ局(185)
・全国の新聞社(135)
・雑誌(209)
・ラジオ局、CATVなど(274)
これらの媒体名、所在地をエクセルで一覧にまとめています。
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