攻めの広報を立ち上げる会社が最初に必ずやるべき4つのこと
あなたは、これから攻めの広報に取り組みたい、と考えていることだろう。でも、何から手をつけたらいいか、悩んでいるのではないだろうか?
広報の立ち上げに当たって、最初に必ずやっておきたい作業がある。それを今回は紹介しよう。
広報が成功するかどうかは、始める前段階で大きな差がつく。将来の成功のために、今回の記事がとても役立つだろう。
目次
最も大事なのは「ニュース価値」
まず最初に知っておいていただきたいことがある。
それは、「ニュース価値を意図的につくる」ことが非常に大事だということだ。
テレビや新聞は、視聴者や読者にとって「役に立つ」ニュースを届けることで、成り立っている。
新聞記者や報道テレビマンが欲しいのは「価値のある情報」だ。お金は関係ないし、コネも二の次だ。
だから、最初は「自社を宣伝したい」という思考から一歩離れてみよう。
そして、「自社が社会の貢献できる情報とは?」という視点に切り替え、メディアに情報を届ける。
これを言い換えれば、ニュース価値を作ってから発信をする、ということになる。
広報が成功するかどうかは、このニュース価値の創造にかかっている。
だから、ニュース価値を生み出す方法論を知っておくことは、あなたにとって強力な武器になる。
攻めの広報を始める会社が最初に必ずやるべき4つのこと
ではいよいよ、あなたが意図的にニュース価値をつくるための流れを説明しよう。
1 マスメディアの価値観を理解する
ニュース価値とは何ぞや?を知るために、まずはマスメディアの価値観を正しく理解する。
マスコミは基本的に「社会を良くしたい」と考えている。日々の報道活動は、その思いの延長線上にある。
そして、マスコミの記者たちには「稼ぐ」「儲ける」という営利的な考え方を「卑しい」ものとして、低く見る傾向がある。
だから、企業の「稼ぐ」思考が露骨ににじみ出た広報の人と向き合った時、話が全く噛み合わない。そんなことがよく起きる。
もしあなたが、新聞やテレビの記者を味方につけたい、と考えるのなら、彼らの思考原理をきちんと理解しておこう。
記者を「タダで宣伝してくれる存在」という認識で、広報・プレスリリースに手をつければ、いつまでも成果が出ないどころか、いずれ痛い目を見る。
次の記事でマスコミ取材の仕組みを説明したので、ぜひ読んでおいてほしい。
■マスコミ取材の仕組み 広報を成功させたいなら必ず理解しておくべきこと
2 日々のニュースをインプットし、社会トレンドを把握する
メディア記者の考え方の原則が理解できたら、次は実際のニュースを触れていこう。
メディアに取り上げてもらうには、社会のトレンド=今世の中で話題になっていること、を必ず知っておく必要がある。
ニュースとは、次の方程式で生み出される。
ニュース = 自社の強み × 世の中の動き
多くの企業は、プレスリリースで自社のことばかりアピールする。
だが、報道マスコミが取り上げるのは「世の中の動き」だ。
だから、マスメディアに取り上げてもらうなら、「世の中の動き」の一環として自社のことを伝えればいい。
日々あらゆるニュースに触れて、それぞれについて「自社との関わり」を考えてほしい。そこからプレスリリースできる企画が生まれる。
3 自社を掘り起こし、キーワードを引き出す
世の中の動きを踏まえたうえで、自社が持っている素材を整理していこう。
多くの人は、自らの特異性やニュース価値は何か?が分からない。
だから、改めて客観的な視点で自社を見つめ、素材を1からどんどん書き出していこう。
「うちには特異性やニュース価値などない…」と、肩を落とす方が多い。しかしそんなことは絶対にない。
私は北海道から沖縄まで、1万人近くあらゆる業種の人々から話を聞いてきたが、どんな会社や個人にも、オリジナルの何かがある。
自社をゼロベースで見つめ直してほしい。必ず、マスメディアが興味を持つ可能性のある素材がどこかにある。
実は、あなたの活動がニュースになるヒントは、日々の新聞の中に隠されている。
新聞、特にその社会面を見ていけば、「あれ、こんなこともニュースになるの?」と気づくことがたくさんある。
新聞には、ニュースの切り口の宝庫であり、いわばニュースの教科書だ。
新聞を参考に、「うちなら、このキーワードでニュースになるかも」と感じるポイントを列挙していってほしい。
4 訴求性のあるストーリーを構築する(過去~未来)
次にやるのは、過去をさかのぼる作業だ。
どんな会社や個人にも、そこにしかないオリジナルのストーリーやドラマがある。
現在の活動に至るまで、きっといろんな苦労や感動があったことだろう。そのエピソードを抽出し、一連のストーリーとして組み立てよう。
このストーリーを掘り起こす目的は2つある。
■その1 ストーリーで説得力を高める
ストーリーには、現在取り組んでいる活動に対する説得力を高める効果がある。
マスコミ記者が必ずあなたに投げかける質問がある。
それは、「どうしてあなたは、この活動をやっているのですか?」という問いだ。
あなたにはきっと「こんな人を助けたい」「お役に立ちたい」という動機が根っこにあるのではないだろうか?
その動機をストーリーで伝えれば、記者は「なるほど、だから御社はこの事業に取り組んでいるのですね」と理屈として納得できる。
私の例をあげよう。
新聞社の社会部記者として11年、社会悪の追求をしてきた。「批判」をすれば、世の中は良くなると思っていた。
しかし、批判よりも、良い部分を認めることの方が、はるかに人々を元気にすると気づいた。
だから今は、人と社会の肯定的な側面を引き出す仕事をしている。
■その2 ストーリーで情緒的に共感を呼ぶ
ストーリーの目的は、もう一つある。それは情緒的な側面だ。
映画も小説も人間のドラマだ。ストーリーはそれ自体が娯楽であり、触れる人を強く惹きつける。
この喜怒哀楽や苦労を乗り越えたストーリーそのものが、コンテンツになる。かつて人気を誇ったNHKの番組「プロジェクトX」はその最たるものだ。
だから、マスコミ記者はストーリーを好む。
あなたの商品・サービスが仕上がるまで、様々なドラマがあったはずだ。それを御社のストーリーとして構築しておこう。
記者のみならずお客様の情緒を刺激する意味でも、その意義は極めて大きい。
まとめ
「広報がうまくいかない」と嘆く企業の方が多い。私からみれば、うまくいかない原因は明らかだ。
マスメディアに理解がないまま、自社目線の情報発信を繰り返しているからだ。
まずは、マスメディア記者の価値観を正しく理解すること。
そのうえで、現在のニューストレンドを正しく把握する。
それから、自社のネタをゼロベースで掘り起こしてみる。
さらには、自社の過去を掘り下げ、人々に刺さるストーリーを構築しておく。
これから攻めの広報に乗り出したい、と考える企業の方は、ぜひ上記の流れで土台を固め、情報発信を始めてほしい。
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