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記者が教える広報PRの方法

広報PR情報No.1サイト 元読売新聞記者 坂本宗之祐

広報PRでブランディングしたい企業が必ずやるべきたった1つのポイント


会社のブランディングを図りたいなら、広報・PRはとても有効な手段になります。

ブランディングできた企業は、本当に強いです。多くのファンが支えてくれるようになり、社会的な信頼も高まります。

ブランディングに成功したサイボウズ広報の方も「当然メディアとかPRがまったく欠かせない」とおっしゃっています。

私は新聞記者として多くの記事を書きましたが、私の記事が結果的に企業のブランディングに寄与したことが何度もあります。

その際、記者の私が、記事を際立たせるために必ずやっていたことがあります。

これは、広報PRによるブランディングを図りたい企業の方にはとても参考になると思います。

今回、この記事で具体的に説明していきます。

 

※この記事は2020年1月4日に公開しましたが、リライトして2021年6月15日に再度公開しました

広報PRでブランディングしたい企業が、必ずやるべきたった1つのポイント

結論から言うと「アイデンティティの構築」。

もっと具体的に言うと、「ストーリーの発掘」です。

ストーリーを発掘し、一本筋の通った物語を紡いでください。

といっても、ウソや創作の作り話では決してありません。

メディアや世間の生活者が求めるのは、ノンフィクションのリアルな人間ドラマです。

理想的なのは、NHK「プロジェクトX」のような、仕事にかける信念を体現するエピソード。

こうした生々しいストーリーは、ブランディングに必要不可欠な、キラーコンテンツになります。

 

アイデンティティを「ストーリー」で語る効果

ブランディングに成功した企業には、ほぼ例外なくストーリーがあります。

ストーリーを通じて「彼らが何者か?」「何を目指しているか?」を理解できます。

そして、思わず彼らに共感してしまうのです。

私は記者時代から、必ず取材対象に聞いていた質問があります。

「あなたは、なぜそれをやるのですか?」

つまり、その人の行動の“動機”を掘り起こす質問です。

というのも、世の中には邪まな動機・モチベーションで動く人が大勢います。つまり、「儲けたい」「売名したい」などです。

メディアには社会的責任があるため、邪な会社や個人を取り上げるわけにはいきません。

そこで、人の動機を見極めることで、「メディアで取り上げてはいけない会社や人物」をふるいにかけます。

その際、ストーリーに着目します。

なぜなら、その人物・会社のストーリーは、とっさに創作することは困難です。

記者としては、その人物が過去にとった実際の行動をつぶさに追いかけたい。

それによって、“真の動機”を検証していくのです。

あなたにとってストーリーは、自らの動機を明らかにする最も効果的な材料になります。

例えば、

・わが子の安心安全のため、ランドセルポーチを作った

美しいストーリーですし、そこには真実味を感じさせられるじゃないですか?

「ただ儲けたいんじゃないんだ!」

「こういう世の中を実現したいんだ!」

と口だけで言っても、なかなか信用されませんよね。

しかし、事実に基づくストーリーでこれまでの経緯を語れば、相手は「なるほど!だからあなたはそれをやるのですね」と理解・納得してくれます。

「なぜやるのか?」

これに対する回答にこそ、あなたのアイデンティティが凝縮されます。

そして、アイデンティティを効果的に伝える手法が他ならぬ「ストーリー」なのです。

 

企業ブランディングに必要な3つの要素

では、ストーリーを語りさえすれば、それで良いのか?というと違います。

ストーリーテリングをうわべだけで理解しているマーケッターは、「とにかく物語ればいい」とカン違いしています。

ストーリーの主人公には、必要な条件があります。

それは、以下の要素を含む「確固たる信念」です。

・誠実さ
・公明正大さ

・社会的ミッション(利他性)

「俺は大金持ちになる!」のような利己的なビジョン・展望に、人はあまり引きつけられません。

誠実で、フェアに、社会に貢献するチャレンジをする人たちに、人々は拍手喝采を送ります。

確固たる信念。それは、創業社長の大いなるビジョンかもしれません。

あるいは、社員が膝を突き合わせて、何度も激論を交わしながら生み出された理念かもしれません。

いずれにしても、まずは社員が一つの軸を共有すること。

その軸に沿って、人が行動するところに、心揺るがすストーリーが紡がれていきます。

ブランディングに成功した企業からは、社会的ミッション(利他性)が感じられます。

 

アイデンティティ3つの構成要素

米国Hearstが運営する情報サイトChronに、以下のような記述があります。

ブランディングは、組織または製品のアイデンティティを作成するように設計されています。

「ブルームバーグビジネスウィーク」の記事によると、組織または製品のアイデンティティは、

 ・個性
 ・約束
 ・ライフスタイル
 ・またはこれら3つの組み合わせ

を作成することによって構築されます。

(引用)What Is the Difference Between Branding & Public Relations?

 

広報ブランディングの形成手段

ブランディングが形成されていく広報の経路をあげると以下の3つ。

①マスメディア(新聞テレビ雑誌など)

②クチコミ(SNSなど)

③Google検索(オウンドメディア)

この3つのメディアです。

そして、上記3つのメディアすべてに刺さるのが「ストーリー」です。

ブランディングの土台となる“信頼”の大きなファクターは「社会的証明」です。

だから、Google検索結果、マスメディア露出、クチコミ(SNSなど)を最大限に利用していきましょう。

 

(参考)情報拡散する方法。SNSと広報PRで一気に世の中に広めるやり方

(参考)広報とオウンドメディアで進めるPR戦略7つのステップ

 

広報ブランディングの成功事例

これまでのお話を踏まえ、いくつか具体事例をお示ししましょう。

 

1 中津からあげ

九州の大分県中津市のB級グルメです。安くて美味しい、手作りの唐揚げとして、県内外から多くの観光客を集めています。

日本唐揚協会から「唐揚の聖地」として認定され、この10年で一気に全国的に有名になりました。

しかし、私が駆け出し記者だった2000年当時、中津からあげはまったく無名でした。

中津市民の一人と飲んでいる時、インパクトのある話を聞きました。

中津市にケンタッキーフライドチキンが進出したのですが、1990年代後半、撤退を余儀なくされたのです。

「中津には安くてうまいから揚げがある。だから中津市民はケンタッキーやら買わん!」という話でした。

私は「あのケンタッキーを撤退させたから揚げか、面白い」と感じました。

読売新聞の夕刊1面(九州地区)の記事となり、以後、各メディアで報じられるようになったのです。

 

2 ランドセルポーチ「てぶラン」

埼玉県のあるお父さんが、小学生の我が子のために作ったランドセルポーチ。

これが商品化され、全国的に販売。多くの子供たちに利用されるようになっています。

発端は、両手に荷物を持って、学校に通うわが子の姿でした。

「通学路には車の通行も多いし、両手がふさがるのは危ない。どうにかしてあげられないか?」

そこで、ランドセルの収容量を増やすために考案したのが、ランドセルに取り付けられるポーチでした。

「子供たちに安心安全な通学を」という父親の切なる思いがこの商品を生み出した。

このストーリーが多くのテレビや新聞を引きつけ、相次いで取り上げられるところとなりました。

 

3 サイボウズ

BtoBの法人向けのグループウェアを提供している会社さんです。

実態は「グループウェアという製品を売る会社」です。

しかし、彼らは「世界中のチームワークを良くする」という軸を掲げ、多様な発信を続けています。

ある時は、社員の働き方を紹介したり、またある時は、学生にチームワークを教えに行ったり。

会社としては「育児介護休暇6年」という制度を作ったりました。

こうして、組織としての軸に沿って、人々が起こす行動をストーリーとして発信していきました。

その結果、各メディアで紹介されるケースが相次いで行きました。

 

いかがでしょうか?

ブランディング上記3つの事例(中津からあげ、ランドセルポーチ、サイボウズ)を見てみてください。

個性、約束、ライフスタイル、これら3つの要素が含まれていることに気づきませんか?

 

ブランディングを重視する企業がますます増加

日経BPコンサルティングは2016年9月、企業の広報活動に関する調査を行いました。

その結果、「広報活動の最大の目的が、認知拡大から、ブランディングに移行している」というものでした。

調査結果から明らかになったのは、広報活動におけるコーポレートブランディングの重要性が増しているという現状だった。

回答者の4割が「とてもそう思う」とするなど、肯定が8割を超えている。

広報活動の目的についての質問も、これまでは「自社の活動や事業内容に対する認知拡大」が77.8%で最多であったことを鑑みても、企業側の意識の変化がはっきりと見て取れる。

(引用)変わる広報、変わる企業サイト コーポレートブランディングの「今」

 

多くの企業で、これまでの勝ちパターンが通用しなくなっています。

広告を新聞テレビやウェブに出して、認知を拡大させ、売り上げを確保するというパターンです。

ただ「知ってもらう」だけでは不十分で、「好きになってもらう」ことなしには、企業は存続し得ない。

そんなトレンドがますます強まるのではないでしょうか?

 

結論:広報を始める前にブランディング設計すべき

広報によるブランディングを行うに当たっては、始める前にアイデンティティを確立しておく必要があります。

アイデンティティの確立は、ブランディングの大前提です。

ブランディングとは、「人から好きになってもらうこと」です。

人から好きだと思ってもらうこと自体はコントロールできません。

しかし、自らのあり方はコントロールすることができます。

そして、人々は信念を持って行動する人や組織に対して、好感を抱きます。

信念に基づく行動が、人々の胸を打つストーリーを生み出していきます。

 

こちらの動画もご参照ください。

 

 

(参考記事)

・広報戦略8つの手順と3フレームワーク。戦略立案から実行、測定まで徹底解説

 

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