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記者が教える広報PRの方法

広報PR情報No.1サイト 元読売新聞記者 坂本宗之祐

広報はどんな活動をする?広報が行う日々の活動について詳しく解説


「広報はやるべき」という声は最近よく聞きます。が、具体的に何をするのか?全体像が見えない…と感じている方は少なくないようです。

すでに広報で成果を上げている企業もありますが、彼らがどう広報に取り組んでいるのか、知りたくありませんか?

この記事では、企業でこれから広報部門を立ち上げる方、あるいはすでに立ち上げた方のために、広報が日々どんな活動をしているかについて説明していきます。

自社の広報を充実・発展させていけるよう、参考にしていただければ幸いです。

※この記事は2021年3月6日にアップしましたが、2021年6月2日に再アップしました。

広報は目的ごとに3種類ある

一口に広報といっても、いくつかの種類があります。

ここでは大きく分けて3つに分けて、「社内広報」「社外広報」「IR広報」の仕事についてそれぞれ説明していきましょう。

 

社内広報

社内広報は文字通り、社内の従業員に向けて、自社の情報を届けていく活動です。

会社規模が大きくなるほど、所属メンバー同士のコミュニケーションが取りづらくなる傾向があります。

そこで、社内広報によって、そうした社員間の溝を埋め、交流と相互理解の促進を図っていきます。

発信する内容は、さまざまな部署の仕事内容や実績を紹介するものであったり、社内向けのイベントを告知したりすることもあります。

社内広報のために、「社内広報誌」を作成して配布することもよくあります。

社内広報の目指すところは、従業員間の円滑なコミュニケーションです。

自分が所属している部署だけではなく、それ以外の部署がどういう仕事をしているのか、どんな人がいるのか、を知ってもらうことができます。

これにより、従業員は「私はこの仲間の一員なんだ」と会社への帰属意識が高まります。そして、仕事へのやる気・モチベーションの向上が期待できます。

 

社外広報

世の中に向けて、わが社にまつわる情報を広く発信するのが社外広報です。

社外広報は、これまで主にマスメディアを通じて行われてきました。

しかし最近は、自社でメディアを立ち上げ(オウンドメディア)、自ら積極的に情報発信に取り組む企業も増えてきています。

社外広報も細かく分けると、3つあります。

 

サービス広報

商品・サービスを多くの人に知ってもらう広報活動が、「サービス広報」です。

直接的な売上の増大、販売の促進であれば、広告の方が向いていることが多いです。

ですが、サービス広報なら、単なる商品・サービスの紹介にとどまらず、いろいろな側面を発信していくことができます。

例えば、社員のその商品にかける思い、開発の経緯、苦労話、ストーリー、目指す世界観、などなどです。

そうした商品サービスのさまざまな側面を発信していくことで、「それいいですね!」と熱狂してくれる、濃いファンを生み出していくことができます。

(参考)・広報PRでブランディングしたい企業が必ずやるべきたった1つのポイント

 

コーポレート広報

個別の商品サービスというより、「会社そのもの」を発信するのが、コーポレート広報です。

世の人々に、自社のことをよく理解してもらえれば、全般的に事業活動がスムーズに進むため、経営に大きな効果を発揮します。

会社のイメージがよくなれば、「この会社に入りたい!」という求職者が増え。採用がとてもやりやすくなります。

あるいは、取引先からも「信用できる会社だ」と感じてもらえ、商談もやりやすくなります。

さらには、資金調達が必要な時も、投資家や金融機関から「うちに支援させてください」と援助を受けやすくなります。

こうして、コーポレート広報は、社の知名度と信用度を上げながら、ブランディングを図ることができます。

経営全般に大きな効果を及ぼすため、コーポレート広報はとても重要な活動といえるでしょう。

(参考)・広報戦略8つの手順と3フレームワーク。戦略立案から実行、測定まで徹底解説

 

危機管理広報

危機管理広報とは、組織に災難が降りかかったり、不祥事を起こしたりした際、会社へのダメージを最小限に食い止めるための広報対応です。

誰もがウェブで情報発信するようになり、ネガティブな情報ほど、一瞬で世の中に拡散しやすくなっています。

ネガティブな情報の浸透は、あっけなく企業を存続の危機に追いやりますので、危機管理広報もとても重要です。

ただ、トラブル発生していきなり危機管理広報に取り組んでも、当事者は混乱の極みにいるため、ほぼ適切に対応できません。

「備えあれば憂いなし」で、大きな企業ほど日常から事前の備えとして、危機管理広報に取り組んでいます。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

・危機管理広報の基本と備え。元社会部記者が教える8つのポイント

 

 

IR広報

IRとは、「インベスター・リレーションズ」。つまりIR広報とは、投資家との関係づくりのための広報です。

将来的に大きな成長を目指す企業にとっては、投資を呼び込むことはとても重要です。

そこで、「この企業にぜひ投資したい」と思ってもらえるよう、投資家が必要とする情報を発信していきます。

また、IR広報の仕事の一つとして、株主総会の運営を担うこともあります。

IR広報の目的は明確です。投資家に安心して自社に投資していただくことです。

そのために、必要・十分な情報を投資家のみなさんにご提供していく必要があります。

 

 

広報部門のおもな活動内容7つ

ここまで、3種類の広報と、その目的についてご説明してきました。

それでは、具体的にどのような活動をやるのか?について説明していきましょう。

 

社会トレンドの把握

広報はまず第一に、社会のトレンドを押さえておく必要があります。

情報発信していくコンテンツが、社会トレンドを無視したものであれば、世間から見向きもされないからです。

私も記者時代からたくさんの売り込みを受けてきましたが、多くの企業広報は「社会トレンドを適切に把握できていない」というのが実感です。

そして、自社が売りたい情報ばかり発信しています。これでは、メディアの人と同じ目線でコミュニケーションが取れません。

広報は、会社と世の中をつなぐ窓口です。

世の中のトレンドを敏感に捉えながら、自社の発信すべきメッセージや広報戦略を絶えず、改善・向上させていく必要があります。

社会トレンドを把握するためには、各種メディアの記事・番組をしっかりリサーチしていくことが基本です。

その上で、業界関係者やメディア関係者らと直接やりとりして、鮮度の高い情報を入手していくことも大事でしょう。

 

プレリリース作成

広報の仕事として代表的なものなので、ご存知の方も多いでしょう。

プレスリリースとは、主に新聞社やテレビ局に対して、わが社の公式発表をお知らせする文書を指します。

A4判のペーパーに必要事項をまとめます。これをメディア各社に届けることで、取材・掲載を狙います。

ただ現実は、多くのプレスリリースが取材につながるような広報成果を上げられていません。

なぜなら、記者目線からみて、書き方を大きく間違えているからです。

せっかく広報活動で得られるべき効果効能を、ダメなプレスリリースが台無しにしています。

その根本原因は、多くの広報PR担当者がプレスリリースを「宣伝ツール」と勘違いしてい点にあります。

プレスリリースでは、宣伝したいことをそのまま書いてはいけません。

宣伝の書き方をするが故に、ほとんどのプレスリリースがメディア関係者から嫌われ、ゴミ箱行きとなっています。

正しいプレスリリースの書き方の基本は、この記事で解説しています。

・プレスリリースの書き方!読売とYahoo!13年の記者経験テンプレート公開

 

メディアリレーション

メディアリレーションとは、メディア・報道関係者との間に良好な関係を築くコミュニケーション活動です。

プレスリリースを出しっぱなしだけで、多くのメディアから注目を集め、継続的に取り上げていただくことは不可能です。

だから、メディア業界の記者や編集者、ディレクターらに会いに行き、情報のやりとりを行う必要があります。

広報というと、一般的には「華やかな仕事」と思われがちです。しかし内実は違います。

優秀な広報マン・広報ウーマンほど、地道にメディア業界の人々に会いに行き、粘り強いやりとりを積み重ねていきます。

断られ、拒絶されることは日常茶飯事です。ある意味で、広報は営業活動と似ています。

受注=取材獲得という成果をつかむには、簡単にはくじけない粘り強さも必要です。

広報は、人と人が向き合う、泥臭い仕事なのです。これを知っておいてください。

「人と会わず、楽をして成果を出そう」と考えると、広報はまずうまくいきません。

また、メディアから取材のオファーが入り、「社長にインタビューしたい」「開発部門の責任者に直接話が聞きたい」と頼まれることがあります。

その際のメディアと社内の連絡調整も、広報担当者の大切な仕事です。

・メディアリレーションとは?読売新聞の記者経験から伝える関係づくり3つのポイント

 

Webサイトのチェック

会社がウェブから発信する情報が適切なものになっているかどうか、目を光らせておくのも広報の大切な役割の一つです。

会社が大切にしている価値観や、トーン、マナー、誤字脱字などの細かいところまで、自社発の情報コンテンツには一貫性を持たせる必要があるからです。

信頼を積み上げていくまでには時間がかかりますが、自社のブランドイメージが壊れる時は一瞬です。

コンプライアンスに反する発信は論外ですが、昨今は発信したコンテンツが生活者たちから本来の意図と異なる受け止めをされ、炎上することもあります。

なので、そうしたことが起きないように、さまざまな観点から自社が発信する情報をチェックしていきます。

・広報とオウンドメディアで進めるPR戦略7つのステップ

 

社内への聞き取り取材

広報するには、ネタが必要です。しかし、ボーッと待っているだけでは、ネタはすぐ尽きてしまいます。

だから、社内の人たちに聞き取り取材を行い、眠っているネタを掘り起こしていく必要があります。

本当のニュースネタというのは、そのネタを持っている当事者は、その価値に気付いていないものです。

「え?こんなことがネタになるの?」と本人がびっくりする場面を、私は数え切れないほど見てきました。

なので、広報が社員からうまく聞き取りできるかどうかは、とても重要です。

聞き取り取材というと、相手も身構えてしまい、面白い話を引き出しにくくなります。だから、雑談的なスタイルで気楽に話してもらうのがおすすめです。

広報は、相手から自在に話を引き出すインタビュースキルが求められますし、「これはネタになる!」と発見できるニュースセンスを磨いていく必要もあります。

さらに重要なのが、社長からの聞き取りです。

広報は、会社のスポークスマンであり、会社の声を社外に発信する役割があります。

ですから、トップである社長の考えを常に聞き取り、社長の意を汲んで発信に取り組む必要があります。

広報は、社長と二人三脚で取り組まなければうまくいきません。ぜひ社長は広報と日常的に意思疎通を図っておきましょう。

・プレスリリースのネタまとめ12選!記者が教えるネタの探し方

 

広聴活動を行う

広聴とは、広く意見を集めることを言います。

広報は社会との双方向のコミュニケーション活動ですから、世の中の声にしっかり耳を傾けることも広報の大切な仕事になります。

時には耳の痛い指摘もあることでしょう。ですがそうした指摘こそが、自社のさらなる発展につながるケースはよくあります。

もちろん、言いがかりのような不当なクレームには毅然と対応する必要がありますが、多くの世間からの声は、宝の山と言っても良いかもしれません。

 

オウンドメディアやSNSからの情報発信

WEBの時代ですから当然、記者会見やマスメディアへのプレスリリースだけで情報発信する必要はありませんよね。

Facebookやツイッター、インスタグラムなどのSNSには多くの企業が取り組んでいます。さらには自社で独自のオウンドメディアを立ち上げるのも広報に有効です。

こうした自社メディアは、自社の声をダイレクトにそのまま伝えられる利点があります。

さらに、SNSはうまく話題になると相当な拡散力を発揮します。いわゆるバズる状態です。

ただ、これは企業が狙って実現するのは難しいです。なぜなら、ネットユーザーは作為的なコンテンツや、売らんかなの情報発信をとても嫌うからです。

大きなバズを狙うというより、地道な発信を通じて、ユーザーさんとの間で地道に信頼関係を育んでいくのが、こうした自社メディア活用の王道でしょう。

・情報拡散!一気に広める方法。SNS×広報PRで最大効果を得る5手順

 

広報活動を行うメリットとは

社内外に向けて情報を発信していく広報活動は、さまざまなメリットをもたらしてくれます。代表的なものをみていきましょう。

 

社会的信頼を高められる

広告で人々の前に出ていったとしても、多くの人は「これは宣伝だから、都合の良いことしか言ってないでしょう」と受け止められ、信頼されにくいのが実情です。

ところが、広報であれば、信頼性の高い第三者であるメディア(新聞、テレビ、雑誌など)で取り上げられることで、多くの読者・視聴者に高い信頼性を与えることができます。

早い話、本人が「僕イケメン」と言うより、第三者に「この人イケメン」と言ってもらった方が、信じてもらえるわけです。

私のクライアントさんでも、NHKや読売新聞など信頼性の高いメディアに紹介されることで、ビジネスが飛躍した方が多数います。

・それまで門前払いだった企業や自治体から信用されるようになり、取引が実現した

・メガバンク支店長から直々に電話がかかってきて、資金提供のオファーを受けた

などといった話は、枚挙にいとまがありません。

また、社内広報でも信頼感を高める効果があります。

社内の情報、仲間のことをよく知ることによって、従業員の会社に対する帰属意識と信頼を高められます。その結果、離職率などが下がります。

 

ブランディングにつながる

広報による発信を積み重ねていくことで、その企業が「ブランド」として認知されるようになっていきます。

あなたの会社がトータルで発する価値観や世界観、あり方そのものを引っくるめて、「この会社は素晴らしい!」「この会社が好き!」と言ってくれる人たちが増えていきます。

つまり、あなたの会社を熱く支持してくれるファンを増やすことができるのです。

「マーケティングの理想は、販売を不要にすることである」

これは、著名な経営学者のピーター・F・ドラッカーの言葉です。

まさに広報によって、そうした理想に近づいていけると言えるでしょう。

売り込まなくても買ってくれるようなお客様は、会社にとってかけがえのない財産になります。

こちらの記事もご参考ください。

・ブランディング戦略の全体像。小さな会社を圧倒的存在にする4つのステップ

 

広報活動において必要なスキルとは

広報活動を効果的に進めていく上で、必要なスキルを紹介していきましょう。

コミュニケーション能力

広報は、一方的な情報発信ではありません。プレスリリースを出して終わり、では成果を得られません。

広報は、相手のある活動であり、彼らに対して積極的に働きかけていく必要があります。

記者や編集者、ディレクターたちにアプローチし、やりとりを重ねるコミュニケーション能力が求められます。

広報は、AIやロボットの時代にも将来有望な職種の一つだと言われています。

その理由は、広報の本質はコミュニケーション活動であり、人間にしかできないことだからです。

 

企画立案力

広報の成否は、発信するコンテンツの質で決まります。

「こんなの、今までになかったね」と新鮮に感じてもらえるような、企画を継続的に出していく必要があります。

これからの時代は、常識を打ち破る企画立案力が、広報でますます求められていくでしょう。

・広報PRネタの作り方。全国ニュースを生み出す逆算発想のコツ

 

情報を集めて分析する能力

メディアの人々は、情報のプロです。

プロが一体どんな情報を求めているのか?を敏感に察知し、自分が提供したい情報を相手のニーズに寄り添わせていく必要があります。

情報のプロを相手にするわけですから、広報もプロとして、彼らと対等に話をできるくらいの情報感度と分析力を持つことが理想です。

社会トレンドを的確に読み取るのはもちろん、メディア側から「今どんな記事や番組の企画をしているのか?」「どんな情報が必要なのか?」といった情報を収集することも大切になってきます。

 

ライティング能力

文章を書く能力は、広報の基本中の基本と言えるでしょう。

プレスリリースはもちろん、社内向けの広報誌、企画書など、広報は日常的に文章を書く場面に直面します。

新聞記者を長くやった経験から言いますと、文章は「毎日」「大量に」書くことでしか、上達していけません。

ライティングが非常に苦手だった私でも、数稽古を積み重ねて、やっと人並みに書けるようになりました。

上達に近道はありません。良い文章に触れつつ、毎日文章を書くアウトプットを積み重ねていきましょう。

・文章うまくなりたい!イライラさせない文に一変させる12のコツ

 

まとめ

広報の目的や、その具体的な活動内容、求められるスキルなどについて、網羅的にお伝えしてきました。

もしかしたら、「大変そうだな」と思われたかもしれません。ですが、ここに書かれたことをいきなりすべて実践できなくて当然です。

御社でやれそうなことから、一つずつ取り組んでいただけたらと思います。

述べてきた通り、広報活動はあなたの会社に数多くのメリットをもたらします。

そして、多くの出会いや感動が生まれていく、素晴らしい活動です。

ぜひ広報を通じて、世の中に良い影響を広げていっていただきたい、と願っています。

 

この記事は、元読売新聞記者で、元電通PRシニアコンサルタント、Yahoo!ニュースに多数記事を書いた坂本宗之祐(そうのすけ)が執筆しました。

 

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