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記者が教える広報PRの方法

広報PR情報No.1サイト 元読売新聞記者 坂本宗之祐

NECのプレスリリースは、これまでの最高点でした!【プレスリリース採点】


坂本です。プレスリリースを勝手に添削アドバイス・採点するコーナーも3回目です。

当事者からは「大きなお世話だ」と言われそうですが、やはり実例をもって解説するのが一番、分かりやすいと思うんですよね。

世の中にもっと魅力的なプレスリリースがたくさん増えてほしいと願っています。

あなたの会社の場合も、書き方一つでせっかくのニュース価値が埋もれてしまっているんですよ。早く気づいてください。

さて今回は、日本電機(NEC)さんが今日(7月12日)、発表したものを取り上げます。

NECさんの本社は、僕の自宅の近くです。朝夕の田町駅周辺は社員さんで人混みがすごく、巻き込まれると大変なんですよ。

 

NEC、4インチ幅ラベルプリンタ「MultiCoder 503Lシリーズ」を商品化しラインアップを一新

~小型筐体により、医療現場を始め限られたスペースの様々な用途に対応~

 NECは、4インチ幅ラベルプリンタ「MultiCoder(マルチコーダー)503Lシリーズ」の商品化によりラインアップを一新し、本日より販売活動を開始します。

 新商品は、底面積が幅188mm x 奥行245mmと、ほぼB5サイズのコンパクトな本体サイズで、用紙の高さわずか3mm(注1)のラベルや医療用リストバンド(注2)など特殊な形状・素材に対し、文字情報に加えバーコード/二次元コードの印刷も可能です。

 これにより医療現場、公共・商業施設の窓口、製造・物流現場など、狭い場所でかつその場で印刷が求められる業務に利用できます。さらに、別売オプションにより無線LAN(5GHz帯/2.4GHz帯)に対応(注3)することで、タブレットPCとの組み合わせも容易となり、より幅広い用途での利用も可能です。

 なお、新シリーズでは、印刷方式2種類(熱転写/感熱方式、感熱方式)、接続対応方式2種類(USB、USB+LAN)、カッター対応(有、無)の組み合わせで選択可能な計8モデルを提供します。

 NECは社会ソリューション事業に注力しており、様々な業務環境に適したPCやタブレット、プリンタなどのスマートデバイスを提供することで、企業や団体の高度な情報基盤の構築に貢献していきます。

<背景>
 現在、医療現場では、医療用リストバンドや検体ラベル、またお薬手帳に貼る処方箋ラベル、受付票などの印刷が、また、公共施設や商業施設の窓口では、受付票や貸出票の印刷が行われています。いずれも限られたスペースで利用者毎に異なる氏名や情報をスムーズかつ正確に印刷することが求められています。

 さらに、製造・物流現場では、取り違えや間違いのない高い品質管理を実現するため、プリント基板や部品表示向けのラベル、また食品の原材料表示や生産情報を管理するバーコード/二次元コードラベルをその場で印刷する必要があります。

 新シリーズ「MultiCoder 503Lシリーズ」では、4インチ幅までの様々な用紙サイズ(注4)に対応するとともに、印刷方式・接続対応方式・カッターの装着など用途に合わせて選択可能な8モデルをラインアップしました。

 設置面積が、ほぼB5サイズのコンパクトな本体サイズで、限られたスペースを有効活用できます。更に、現場のワークスタイル変革を見据えた無線LANや、現場の細やかな要望に応える伸縮式のスタッカー(注5)の別売オプションも新たに用意し、こうした様々な環境で利用できます。

 

天下のNEC様だから許される書き方

まずタイトルから見ていきましょう。最初に「NEC」ときます。これはオッケーです。日本人であれば、大多数の人が知っている会社です。

このように、「誰もが知っている」ワードをタイトル内で見せつけることは有効です。記者は「何だろう、とりあえずチェックしなきゃ」と気になってしまうのです。

今回のリリースは、タイトルで「NEC」以降に面白みのない言葉が続きます。ラベルプリンター、MultiCoderなど…。

でもこれは、天下の「NEC」様だから許される書き方です。普通の方はマネしてはいけません。

そもそもタイトルには、アルファベットの言葉を入れてはいけません。

国内メディア記者は、超ドメスティックです。外国語に弱く、中には敵意すら抱く人もいるのです。

 

具体的な使用イメージが浮かぶのは好印象です

次にサブタイトルを見ます。「~小型筐体により、医療現場を始め限られたスペースの様々な用途に対応~」。

「筐体(きょうたい)」って、日常で使わない言葉です。もちろん新聞NHKでも使いません。こういう言葉はやめましょうね。

でも、「医療現場」という、具体的な使用のイメージを伝えているのはとてもいいですね。

具体性が伝わる上に、「医療」において使われるものとなると、社会性が感じられます。

つまり、この商品が「世の中に役に立ちそうなものだな」と記者に感じられるのです。

 

過不足なく、平易な文章が素晴らしい!

では、本文に入っていきます。序盤の書き出しで「〜〜〜開始します」から始まって、製品のサイズ、特徴、用途が説明されます。

これが長ったらしくなく、かつ必要十分な情報を盛り込んでいます。これはいいですね。

しかも、後半に<背景>という部分があります。これが素晴らしいです。

通常、どこかの会社が出す新しい商品をニュースにしてもらいたいなら、それが

「世の中にどのような意義があるのか?」
「どんな新しい価値を提供するものなのか?」

を、伝えないといけません。

その点、今回のリリースでは、この商品が必要とされる、社会的背景をきちんと説明しているのです。

これは、多くの企業の方にも見習っていただきたいですね。

僕は3〜4月に入院したのですが、その際に医療用リストバンド、腕につけていましたよ。検査や投薬のたびにバーコード読まれていました。なので、なおさら納得感がありました。

 

採点:70点

全体的によくできたプレスリリースです。記者に親切ですし、この製品の社会的な意義も伝わってきました。

ただ一つ難を言えば、やはり「タイトル」ですね。アルファベットだし、具体的な製品名って、記者にはニュース価値の判断材料にはならないんですよ。
(もちろん、アップル社のiphoneのような超メジャー製品は別です)

多くの会社さんが、今回のような「製品名」を前面に押し出した書き方をしますね。

それは、社内からの要請によるものであることは、まあ理解します。

でもそれは、「広告」的な売らんかなの発想です。記者が嫌う発想なんですよ。

プレスリリースは基本、製品を押し出すものではなく、世の中がどうなるか?を伝えるものです。

今回のNECさんは本文が良かっただけに、タイトルからそこを意識されるとなお良かったですね。

というわけで、今回は70点をつけさせていただきました。

 

 

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