プレスリリースの最適タイミングは?元読売新聞記者が、内容や送り先、曜日や時間帯ごとに解説します
「プレスリリースは、いつ送れば最も読んでもらえるのか?」
これは、広報の専門家である私が、最もよく受ける質問の一つです。
せっかくプレスリリースをやるのなら、有利なタイミングでお送りしたい、というお気持ちはとてもよく分かります。
ただ、記者は365日24時間、仕事をしてるので、読むタイミングは人それぞれです。
だから、「このタイミングで送れば必ず読んでもらえる!」という絶対的なセオリーはありません。
とはいえ、少しでも良いタイミングでプレスリリースを送りたい!というあなたのために、
私の13年間の記者経験(新聞、ウェブ)をもとに、プレスリリースのタイミングを説明していきます。
※この記事は、2019年8月1日に公開しましたが、2023年11月25日にリライトして再度公開しました
目次
プレスリリース「提供方法」ごとの適切なタイミング
まず、プレスリリースの提供方法によって、適切なタイミングというのは変わってきます。
各ケースごとに見ていきましょう。
①メール
メールはメディア各社に大量に送られてくるので、僕は新聞記者時代、正直あまり真剣に見ていませんでした。
メールアドレスには大きく分けて2種類あります。自分宛と会社宛。
自分宛のメールはきちんと見ますが、会社宛のメールは大半が売り込み宣伝なので、“まとめて削除”が多いです。
記者がメールをチェックする大まかな時間を、それぞれ大雑把に紹介します。
●会社のメールアドレス
・午前10時ごろ
・正午前後
・午後5時ごろ
●記者個人のメールアドレス
・午前9時ごろ
・午後1時ごろ
・午後5時ごろ
②ファクス
ファクスは、いまだに新聞社やテレビ局ではよく使われています。
記者にとっては、受信したらすぐ読むことができ、持ち運びや書き込みもできるメリットがあります。
比較的、おすすめの時間帯は
・午前9時
・午後3時
・・・あたりでしょうか。
③郵送
郵送は、タイムラグが生じるデメリットがあります。しかし、メールよりもはるかに見てもらいやすいメリットがあります。
郵送のタイミングは、「出せる時に、すぐ出す」に尽きるでしょう。
④記者クラブ
持ち込む時間帯でおすすめなのは
・午前10時ごろ
・午後2〜4時
あたりかと思います。
プレスリリース「送り先」ごとの最適な配信タイミング
次に、送り先の媒体ごとのタイミングです。
各社、“締め切り”というものがあります。
締切間際はとても忙しくばたついているので、プレスリリース送付は避けましょう。
その代わり、締切の直後はひと段落しており、「さて次のネタはどうしよう?」と考えるタイミングになります。ここがチャンス。
送るのに良いタイミングは、大雑把に以下の時間帯・時期です。
新聞社
:午後3〜4時ごろ
テレビ
:番組ごとのオンエア6〜7時間前
雑誌
月刊誌 ;発売日から前の4、5日間
週刊誌 :発売日の前日
ウェブニュース
:随時(決まった締切時間がないから)
ウェブメディアごとに編集のスケジュールや仕事の流れは異なります。各メディアごとの特性を確認してください。
※Yahoo!ニュースに記事を提供しているメディア一覧はこちら
プレスリリースの「内容」ごとの出すタイミング
新事業のスタート
開始の2か月前〜1、2週間前に出して良いでしょう。
イベントの開催
こちらも開始の2か月前〜遅くとも1週間前
新商品・サービス
開始の2か月前〜
調査結果
これは鮮度が命なので、まとまり次第すぐ出しましょう。
業績(売上、販売数)の節目
これも鮮度が命。すぐお知らせしましょう。
本の出版
出版日の1か月前〜でしょうか。
プレスリリースの「曜日」:金曜日は避けるべきか?
月曜日
週はじめの午前は記者も何かとバタバタしています。プレスリリースを出すとしても、午後の方が良さそうです。
火曜〜木曜日
曜日としておすすめと言えるのは、この3日間でしょう(でも絶対ではありません)。
金曜日
私の記者経験上、金曜日は多くのプレスリリースが新聞社やテレビ局に届きます。
官庁も大企業も、週末の休みを控え、今週の仕事にケリをつける意味合いもあってプレスリリースを多く出すのです。
このように金曜日にプレスリリース(=発表案件)が増えていることは、広く知られつつあります。
ですので、これを逆手に取り、不祥事などネガティブ案件を抱える企業や団体が、わざと金曜日の午後を狙って出すケースが増えています。
「取材されたくない」「できるだけ報道されたくない」というわけです。
金曜日にネガティブな発表をするメリットとしては、翌日から週末で職場は休みになるので、お客様や生活者からのクレームを避けられる点もあります。
取材・報道をされたくない当事者としては、金曜日のプレスリリースは当然狙いたくなるでしょう。
ですが、「取材・報道してもらいたい」という攻めの広報を行う企業や団体の方は、上記の理由から、金曜日にプレスリリースすることは基本、避けた方が良いです。
土曜、日曜
「土曜や日曜は休みだからプレスリリースすべきでない」とハナから考える企業の人はとても多いです。しかし、それは思い込みです。
確かに、経済系や官庁系の記者は取材対象の営業日に合わせて休みます。
しかし、テレビや新聞の報道機関の記者は、全員が週末に休むわけではありません。
報道機関は、毎日ニュースを報道しています。だから誰かしら、週末も必ず出勤している人がいるのです。
少なくとも、社会部系や地方支局の記者は週末も出勤しています。
週末は、届くプレスリリースが激減します。これに対して、会社に出勤している記者は、比較的のんびり仕事ができます。
つまり余裕があるので、意外とプレスリリースをじっくり読んでくれることもあります。そういう意味では、実は狙い目です。
ただ、メールで送られるプレスリリースは別です。メディアの代表アドレスに届くものが大半で、平日はチェックしてもらえても、週末はスルーされることが多いです。
なお、プレスリリース配信サービスを通じてメディアに届くリリースは、大半がメールです。
プレスリリース配信におすすめの「時間帯」は?
締め切りが月1回しかない雑誌などは、時間帯をそこまで気にする必要はないでしょう。
しかし、毎日締め切りがある新聞・テレビ(あるいはラジオ)は、時間帯を考慮する必要があります。
午前9〜10時
まだ比較的落ち着いている時間帯です。今日のニュース出稿計画を立てています。この時間なら、比較的プレスリリースに目を通す余裕があります。
午前11〜12時
夕刊のある新聞は夕刊の編集作業。テレビは、お昼のニュースに向けて忙しさはピークです。よほど急ぎでない限り、プレスリリースするのは避けた方が無難です。
正午〜午後1時
民放は正午前にニュースは終わります。しかしNHKニュースが正午から始まり、新聞テレビ各社の記者はニュースを見ます。また、新聞は夕刊作業のピーク時間帯です。プレスリリースは避けた方が良い時間帯です。
午後1時〜2時
テレビ新聞の各社は、ひと通り締め切りを乗り越え、ほっとする時間帯です。狙い目とも言えますが、ランチで会社外に出ることも多く、微妙ですね。
午後3時〜4時
ランチも終え、また夕方以降のニュース出稿作業まで時間があります。1日の中で最もプレスリリースを送るのにおすすめの時間帯です。
午後5時以降
テレビなら夕方・夜のニュース。新聞なら翌日朝刊の作業に入り、忙しさが増していきます。その意味では避けた方が良いと言えます。
ただ、新聞社にとって仕事のピークは午後9〜10時。午後7時8時なら、「まだ早い時間帯」という感覚があります。
この時間には、多くの企業も時間外となるため、届くプレスリリースがかなり減ります。その意味では穴場の時間帯、と言えるかもしれません。
プレスリリースが採用されやすい「時期」は?
年末年始
多くの企業が休むこの時期も、新聞テレビの記者は仕事をしています。プレスリリースは激減する一方、記者にはわりと余裕があります。だからこの時期にプレスリリースすると、意外とじっくり読まれることがあります。
1〜2月
1月中旬くらいまでお正月ムードでそれに伴うイベント等は続きます。しかし、それ以降2月にかけては世間の動きも鈍くなり、ニュースのネタが少なくなります。だからプレスリリースのチャンスと言えます。
3月
年度末、3月の記者はとても慌ただしいです。各種人事や、ルール・制度の変更への対応、さらには自社の人事異動も絡みます。3月中旬以降はプレスリリースを避けたいです。
4月
新年度がスタート。新入学や新社会人の話題や、花見などニュースやイベントが増えます。少なくとも4月上旬までは、できればプレスリリースは控えたほうが賢明です。
ゴールデンウイーク
企業が休みに入り、プレスリリースは激減します。しかし、年末年始と同じく記者たちは誰かしら出勤しています。記者はわりと余裕があるので、実はプレスリリースがじっくり読まれやすい時期でもあります。
5月(GW後)〜7月中旬
気候的に穏やかで、世間も落ち着きを取り戻します。プレスリリースの数は安定的に推移しますが、この時期は特に気にせずに自社のタイミングでプレスリリースすれば良いでしょう。
7月下旬〜8月
記者たちも交代で夏休みを取り始めます。また、地方の新聞は、高校野球の報道に多くの紙面が割かれます。つまり、一般ニュースの割合が減り、載りにくくなります。
とはいえ、届くプレスリリース数も減少傾向。お盆時期は記者も余裕があります。出せるタイミングでプレスリリースを出して良いです。
9〜11月
気候的に1年で最も過ごしやすく、秋のお祭りなどイベントも多くなります。届くプレスリリース数は安定して推移しますが、大きな事件さえなければ、記者たちは少し余裕があります。出せるタイミングでプレスリリースしましょう。
12月
1年で最も忙しい時期の一つです。というのも、記者たちは新年の紙面・番組に向けて、企画や取材に追われるからです。また、年末年始の休みを交代で取るために、穴埋め用の原稿も用意しなければなりません。緊急性の高いニュース性のあるプレスリリース以外は、避けるのが無難です。
記者の立場から:プレスリリースのタイミングについて
プレスリリースを送る側の方は、タイミングを非常に気にされますが…
受け取る記者としては、常識的な時間・時期に送っていただければ、まったく関係ありません!
重要なのは、タイミングではなく、「プレスリリースの中身そのもの」です。
ニュース価値のある内容であれば、いつ送ってこられても、あなたの元に記者は取材に駆けつけます。
「プレスリリースが届いたタイミングが悪かったから、取材できませんでしたー」
などという記者がいたら、無能の極みです。
そんな人のせいにする記者は、プロの記者ではありません。
スマホをぼーっとみている消費者向けの宣伝チラシであれば、タイミングは意味があるでしょう。
広告を配信するタイミングによって売れる・売れないの差がつくはずです。
しかし、記者は、情報屋=情報のプロです。
あらゆる情報にアンテナを立てて、価値のある情報を真剣にキャッチしようと努めている人たちです。
繰り返しますが、
取材される・されない、を分けるのは、タイミングではありません。
プレスリリースの中身そのものです。
まとめ:タイミングを気にしすぎる必要なし!
色々とプレスリリースのタイミングについて紹介してきました。
とはいえ、最初にもお伝えした通り、「このタイミングがベスト!」という絶対法則はありません。
例えば、記者たちが忙しい午前11時ごろにプレスリリースを送ったとします。
しかし、もしこの発表に“極めて高いニュース価値”があれば、記者は他の仕事をほっぽり出して取材を始めます。
僕も新聞記者時代、数え切れないほどこういうことをしました。
だから、こまごましたタイミングを気にしてもあまり意味がありません。一番大事なのは「ニュース価値」です。
あなたのプレスリリースにニュース価値がありさえすれば、タイミングに関係なく、記者たちは取材してくれます。
だから、ニュース価値を一番に考え抜いて、プレスリリースに取り組んでくださいね!
プレスリリースの全体像についてはこちらご参考ください。
無料電子ブック
「経営者・個人事業主のための“広告費ゼロ”PR戦略
〜新聞テレビWEBを活用して売上を高める方法〜
(全50ページ)
効果的な情報発信のやり方を調べているけれども、「どうしたら良いのか分からない」と悩んでいませんか?
この冊子では、
・マスメディアに登場する圧倒的メリット
・成功するPR戦略の全体像
・自らのニュース価値(強み・特徴)を掘り起こす方法
・記者が取材したくなる4つの切り口
など、具体的なPRの取り組み等を50ページにわたって詳しく説明しています。
ぜひあなたの情報を広めるためにお役立てください。
無料ダウンロード(期間限定)
「国内メディアリスト(新聞社・テレビ局・雑誌)」
(計803)
このリストでは
・全国のテレビ局(185)
・全国の新聞社(135)
・雑誌(209)
・ラジオ局、CATVなど(274)
これらの媒体名、所在地をエクセルで一覧にまとめています。
ぜひあなたの情報発信にお役立てください。