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記者が教える広報PRの方法

広報PR情報No.1サイト 元読売新聞記者 坂本宗之祐

文章要約のコツ!本田技研労組様のセミナーでお話ししました


広報・メディアコンサルタント坂本宗之祐です。

11月12日、静岡県浜松市の本田技研の労働組合様からお招きにあずかり、セミナーを実施させていただきました。

テーマは、「文章力向上」です。

組合の執行部は、組合員の皆様に文章をお届けする機会が多くあります。このため、文章力を高める目的で、講師のお声がけをいただきました。

個人的に、学生時代からホンダのバイクのファンでした!なので今回、喜んでお引き受けさせていただきました。

この記事では、同セミナーでお話しした文章要約の流れを、少し紹介したいと思います。

 

文章要約の流れ

僕自身、新聞記者として多くの文章を書いてきました。

記者の仕事では、「要約」する力が自然とつきます。

新聞の紙面には限りがあります。

限られた文字数で、読者さんに重要な情報を伝えるためには、不要な部分を削り落とし、要約を迫られる場面が日常なのです。

そこで、僕が自然と身につけた流れは以下のようなものです。

 

①ざっと全体に目を走らせ、「結論や主張」を見極める

②ロジックの流れを読み取る

③キーワードをピックアップする(印をつける)

④段落ごとの重要度を判別する

⑤キーワードとともに、要点を書き出す

⑥重要部分の見落とし・漏れがないか?チェックする

⑦もっとわかりやすい表現にできないか?、推敲する

 

上記のコツを、3つのポイントに絞って、かいつまんで説明しましょう。

要約のコツ①全体→細部を捉える

いきなり細部の検討に入る方がけっこういます。

それより、文章全体の大意をまずつかむことを優先すべきです。

山に例えると、まず山の全体を把握することです。

いきなり、木々1本1本をを見始めたら、キリがありません。

だから最初に、鳥が空から山を見下ろすように、全体像を頭に入れるのです。

 

要約のコツ②キーワードをピックアップする

大ざっぱな全体像を頭に入れてから、鳥は山の中に降りていきます。

木々を見ていく、つまり文章を読み始めるのです。

ただ、一字一句を読み始めると、時間がいくらあっても足りません。

だから、「キーワード」を突き止め、そのキーワードを頼りにチェックしていきます。

紙の文書なら、キーワードに丸をつけたり、サインペンで印をつけたりします。

 

要約のコツ③言い換え語を探す

キーワードを頼りに、短い言葉にまとめていくわけですが、

原文をそのまま引用すると、確実に冗長な表現になってしまいます。

だから、もっとこなれた言葉の表現が必要になります。

この時、頭の中に豊富な語彙のストックがある方は良いでしょう。

しかし、僕を含め、ほとんどの方はそうではありません。

その際、「連想類語辞典」というウェブサイトの助けを借ります。

ここで、僕もよく言い換え語を探す作業をします。

「こういう意味を表現したいんだけど、言葉が出てこない!」

というときに、大変重宝しています。

連想類語辞典はこちらです。

 

連想類語辞典: 日本語シソーラス連想類語辞典: 日本語シソーラス 

 

要約の重要ポイント

要約というと、絶対的に正しい答えがある、と思いがちです。

ですが、「絶対的に正しい要約はない!」というのが真実でしょう。

というのも、読み手それぞれ、立場や考え方が異なります。

だから、一つの文章でも、どの部分を重要だと感じるか?は千差万別だからです。

 

ですので、もしあなたが要約の作業に迫られたら、 「絶対的な正しさ」を追求する必要はありません。

もちろん、客観性に寄り添わせる努力は必要でしょう。

しかし人間は神様にはなれません。

だから、あなたは自分の立場を明らかにした上で、

「私はここが重要だと考え、こういう要約を行いました」

と堂々と表明すれば良いのです。

つまり、要約は「主観的な行為」なのです。

 

絶対的な正しさを求めすぎて、要約に無駄な時間を費やさないでください。

どこかを選べば、どこかを捨てざるを得ない。それが要約です。

だから、ある段階で“思い切る”ことも大事
です。

 

文章力をつける方法

「文章力をつけたい!」というご相談はよく受けます。

しかし、「近道や裏技はない」というのが実感です。

「書く」アウトプット量はどうしても必要です。数稽古ですね。

コツをいくつか挙げるとするなら、以下のようなものでしょうか。

 

1 締め切りを設ける(時間制限)

2 添削に次ぐ添削を受ける

3 良い文を音読する(リズム、語彙表現)

4 一文を短く区切る

 

本田さんでのセミナーでは、上記説明の後、ワークを行いました。

15分程度で、実際にA4判1枚の文書を要約していただきました。

みなさん、素晴らしい集中力を発揮し、冗長な文書をそれぞれの視点から見事に要約されていました。

「締め切り」は、文章のアウトプット力を高める有効な方法です。

 

新聞記者は、1日2回の締め切りがあります。

これが来る日も来る日もやってきます。記者の脳みそは毎日、緊張と集中を強いられます。

しかも、文章のプロである上司のデスクから毎回、添削を受けられる。

ですから、記者を続けていれば、誰でもある程度の文章力はつくのです。

 

まとめ

「文章要約」ということに関しては、まず正しくインプットできる力が必要です。

つまり、短時間に文章を頭に叩き込む力が求められます。

そもそも、文章を正しく理解できなければ、アウトプットしようがないですよね。

その上で、

「要約でどの部分を特に取り上げるか?」その判断は、個々人の裁量に委ねられる部分が大きいです。

国語のテストのような絶対的な回答がある、と思い込まない方が良いでしょう。

文章は、あくまでコミュニケーションの“手段”です。

あなたが何を一番伝えたいのか?あなた自身の思考と判断を大切にされて、要約に取り組まれてみてください。

 

 

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