広報戦略がなぜ重要性を増しているのか?7つの理由
広報・メディアコンサルタントの坂本宗之祐です。このところ、広報戦略への注目が高まっています。
広報戦略に取り組む企業や団体が増えているのです。
広報戦略とは、メディアを動かす、その目的を意図的に果たすためにロジカルなステップを構築することと言えるでしょう。
私は読売新聞記者、電通PRを経て、1200人を超える経営者らに広報やプレスリリースを指導してきました。
広報戦略がハマれば、劇的な効果があります。メディア取材による掲載なら費用がかからない上、高い信用を得られるからです。
賢い経営者は昔から意識的、無意識的に広報戦略に取り組んできました。
今、さらにその重要性が高まっている理由を、以下に説明していきましょう。
なぜ広報戦略が重要性を増しているのか?7つの理由
①広告の衰退
このところ、「広告の効果が落ちている」という話をあちこちで耳にします。
テレビや新聞といったマスメディアの広告が減っています。この20年で、広告はインターネットに大きくシフトしてきました。
ネット広告には、リスティング広告やディスプレイネットワーク広告、動画広告、FacebookやTwitterといったソーシャルメディア広告など数多くあります。
ところが、こうしたウェブに広告掲載しても、「以前ほど売れない」「お客が集まらない」と言われ始めています。
一般ユーザーは広告ではなく、「コンテンツ」にしか興味がない。だから必然的に企業の目は、「広報」に向くのです。
②マーケティングコストの増大
広告の費用対効果が落ちる中、それでも売りたい企業はさらなるコストを投下します。
すると企業間の体力勝負になってきます。
広告で売ろうとすると、ますますコストがかさむ悪循環です。
マーケティング予算の増大は利益を圧迫し、経営者の頭を悩ませます。
「なんとかコストを抑えながら、売上を伸ばせないか?」と考えるのは当然の流れです。
③ユーザーのリテラシー向上
上記でも述べたとおり、ユーザーの広告への反応が落ちています。
というのも、インターネットが普及してデジタルネイティブと呼ばれる世代も増加。スマートフォンも一気に普及しました。
このため、多くの人がたくさんのネット情報に触れる経験を積み重ねた結果、彼らのネット情報に対するリテラシー(理解能力)が高まっているのです。
かつてはコンテンツと錯誤させる広告が、ウェブにはあふれていました。
しかし、多くのユーザーはこれらにだまされなくなっています。
それどころか、昨今は虚偽の創作話による販売推奨行為は「ステマ(ステルスマーケテイング)」呼ばれ、最も嫌われるようになっています。
だからこそ、信頼性の高いメディアで、オーガニックに紹介される価値がますます高まっているのです。
④信頼性獲得の重要性への認知拡大
ウェブの発達で、あらゆる情報が流通するようになり、世の中の透明性が増しています。
こうした状況において、最も価値ある資産は「信頼」です。
信頼を失えば、一瞬で経営は行き詰まります。そのことを理解する経営者が増えています。
当然この信頼は、お金では買えません。
しかし、高い信頼を獲得できる方法があり、それが他でもない「広報」だというわけです。
⑤メディアをコントロールしたい欲求の高まり
メディア取材による露出の効果は、極めて大きいものがあります。
テレビなら視聴率10%で、単純計算で約1200万人の目に触れます。大手新聞なら500万部以上、全国にくまなく行きわたります。
ただ、こうしたメディアから取材を受けても、記事内容や放送内容の決定権はメディア側にあります。
つまり、取材を受けた企業・団体は、その内容をコントロールできないことに不満と不安を覚えることがあります。
内容はもちろん、広告のように露出の頻度もコントロールできません。
だから、定期的にメディア露出できる保証がないのです。
このため、「こちらが望む内容、頻度でメディア露出を実現したい」と考えます。
そこで、戦略的に広報することで、内容と頻度をコントロールしたいと考えるのです。
⑥モノ余り時代
モノ余り時代と言われて久しいです。衣食住はもちろん、趣味娯楽の世界でも、あらゆる物資が世の中に溢れかえっています。
社会の生産力が爆発的に高まった結果、モノあまりを招き、「作れば売れる」時代はとうの昔のこととなりました。
「それでも売りたい」というのが変わらぬ企業の本能です。
こうした状況下で、人々が購買決定を行うポイントが「感情」です。
モノの機能で判断して選ぶより、「好きだから」買う人が増えています。
その判断材料となるのが情報コンテンツであり、それをメディアに流通させるのが「広報」です。
⑦ファン獲得の重要性
SNSを通じて身近な人と情報をやり取りをする人が増えています。
好きな人とだけ繋がり、嫌いな人とは距離を取りたい、と単純に考えます。
そして上記の通り、モノの機能だけでは売れません。感情で消費活動を行う人が増えています。
いくら、モノの機能を強調しても、アタマの理屈で説得されて動く人は少ないのです。
このため、企業側としては、ファン獲得が必要になっています。
ファンの獲得に最も効果的なのが、広報によるメディア露出。あるいは、インフルエンサーによる言及やシェアです。
広報戦略の遂行に必要な5つの能力スキル
①時代のトレンドを読む力
広報戦略を進める上で、根本的に必要なベースとなる能力がこれです。
今、世の中で何が話題になっているのか?これから世の中はどういう方向に向かっているのか?
こうした世の中の流れに乗ることで、情報コンテンツが広まるからです。
世の中の流れを無視した、一方的な情報発信をしても、決して広まることはありません。
②企画・アイデア力
世の中のトレンドを考慮しながら、
「自分たちはどんな役立つコンテンツを発信できるだろうか?」
と考え抜く必要があります。
すでにありふれたアイデアであれば、誰も関心を向けてくれません。
まだ世の中にない、新しいアイデアだからこそ、メディアが注目して取り上げてくれます。
このため、企画、アイデアを継続的に生み出していく能力がなければ、広報戦略を遂行していくことはできません。
③ライティング能力
いくら企画を生み出しても、それを客観的な第三者に理解してもらえる文章に落とし込めなければ、陽の目を見ることはありません。
最近は、文章を読めない人が増えていると言われます。
そうした中、長々とした説明は誰にも読まれないのです。
だから、短く端的に、ポイントを理解してもらえるライティング能力が重要になっています。
④対人コミュニケーション力
広報活動は、広告の販促活動とは異なり、対人的なコニュニケーションが重要な位置を占める活動です。
優れた広報マン・広報ウーマンは例外なく、メディア業界に人的ネットワークを築いていっています。
「優れたプレスリリースさえできれば勝手に広まる」というのは大変な誤解です。
プレスリリースを送りまくるだけで、メディアに連鎖していく企業は、昨今では皆無です。
このため、対人コミュニケーション力は必須の能力です。
⑤粘り強さ、諦めない力
広報は、すぐに結果が出にくい活動です。
いわばマラソンのように息の長い活動として取り組むことで、成果がじわじわと現れていきます。
だから、「プレスリリース送ったのに反応がない…」とすぐに諦めたり、落ち込んだりする人は向いていません。
最低でも3ヶ月〜。1年、2年先を見据えながら取り組める粘り強さが求められます。
広報戦略の成功事例
映画「アナと雪の女王2」
広報戦略が失敗するケース
・絵に描いた餅パターン
「このようにメディアで取り上げられたい!」
という自己願望が強すぎて、失敗するパターンは非常に多いです。
自分の願望から広報戦略を作っても、それは絵に描いた餅に過ぎません。
上記で述べたとおり、世の中のトレンドから逆算して組み立てていくのが広報戦略です。
それには、メディアと一般市民のことを理解することが不可欠です。
つまり、メディアと市場の声をしっかり傾聴、リサーチした上で、戦略は立てなければいけません。
・継続できないパターン
広報を行うには、企画が必要です。つまりメディアからいえば「ネタ」です。
しかし、「ネタのアイデアが出せない!」と行き詰まるケースが後を絶ちません。
その結果、広報活動を放棄してしまう。こういうパターンも多いです。
・効果を焦り、潰されるパターン
広報活動の評価は、難しいです。数字として評価しづらい面が大きいのです。
このため、社内で広報担当者が厳しい立場に立たされるケースがよくあります。
目先の売上に焦る上司から、「メディア露出はまだか!」と担当者が責められるのです。
そして、「広報なんて効果ないじゃないか」と、広告や営業など、目先の効果が出やすい方向に結局シフトしてしまう。
メディア露出という表面の成果が出ていなくても、目に見えない土の中で芽が出ていることはよくあるものです。
このせっかくの芽を潰してしまうケースはかなり多いです。
広報は、1年スパンで見るべきで、3ヶ月では効果は出ない、と思っておいた方が良いでしょう。
広報戦略の立て方の記事はこちら
プレスリリースの全体像についてはこちらご参考ください。
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