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記者が教える広報PRの方法

元読売新聞記者・電通PR メディアの専門家 坂本宗之祐

舛添要一・東京都知事と、オウンドメディア運用に失敗する企業の共通点


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記者たちは、舛添さんになめられていた!

あぁ、なめられているなぁ。舛添要一・東京都知事の「政治とカネ」問題。5月13日の記者会見のやりとりを見て、「記者たちは舛添知事になめられている」と率直に感じました。

新聞記者になりたての頃、上司のデスクから「新聞記者は、なめられたら終わりだぞ」と、こんこんと説かれました。

「この記者にテキトーに応対したら、何を書かれるかわからない」と畏怖される存在にならなければ、権力者から言葉を引き出せないという訳です。

なので若造の頃ほど、取材時に「なめられてたまるか!」と気負っていました。

しかし、会見での舛添さんの話しぶりをみていると、「こいつらは適当にあしらえば大丈夫」という思いがありありと透けて見えました。とにかく言葉が真摯ではないのです。

僕自身も新聞記者時代、県知事や市長ら首長を取材しました。

僕自身が恐れられる存在だったかどうか分かりませんが、他社には舌鋒鋭く追及することを厭わない先輩記者が何人もいました。

なので、記者と知事の間には一定の緊張感がありました。知事も記者に対して真摯な言葉でもって向き合わざるを得なかったのです。

 

インターネットにより、マスコミと政治家の関係が変化

ところが、2000年代前半頃から役所がネット上にホームページを持つようになりました。

やがて知事のページができて知事が独自の発信を始めた時、僕は驚がくしました。「知事と県民の間にいたマスコミ記者が不要になるのでは!?」と直感したのです。

知事に立ち話でそう話すと、「いやー、記者の視点は必要だよ」という答えが返ってきました。

その時は「知事は記者が煙たいだろうに、少し意外だな」と感じたものです。

でもやはり今は、マスコミ記者の視点は、広く世の中にメッセージを発信する人にとって必要不可欠なものだと強く感じます。

それは、客観的な視点、公共的な視点です。

マスコミの力がネットの出現で相対的に弱まったからか、舛添さんに限らず、情報を発信する人にこうした「客観的」「公共的」な視点が急速に失われている気がしてなりません。

 

企業も政治家も、真摯さを失っていないか?

「自分が正しい!」という前提を一切崩さず、周りの人々を無理やり納得させようという姿勢。

そこには、自己を客観視し、他者の視点を取り入れようという寛容さがありません。公共の利益よりも、自己利益を優先します。

そのため、メッセージを投げかける相手に対する真摯さが失われています。

最近の政治家には特に顕著ですが、多くの企業が行う情報発信にも、こうした傾向がみられます。

メディアを通じて発する言葉に、この真摯さが失われることは不幸です。

受け手はもちろんですが、発信する本人にも不幸な結果を招く、それは今回の舛添さんの出来事が証明している気がします。

結局、メッセージの受け手たちから信頼を失うのです。

 

御社のオウンドメディアが信用されていない理由

今、多くの会社が自社について情報発信するオウンドメディア(自社メディア)に力を注いでいます。

しかし、その多くはうまくいっていません。その理由は明らかです。

多くが自己都合を優先した情報発信ばかりで、客観的、公共的な視点がないからです。

だから消費者やネットユーザーらからそっぽを向かれています。

それでも、どんな事業者にとっても、オウンドメディアはこれから絶対に必要です。

世界中の不特定多数の見込み客と低コストでつながることができる、夢のようなメディアだからです。

これは時間をかけてじっくり構築していくものです。時間はかかりますが、作れば今後10年20年にわたって利益を生む大きな財産になっていきます。

長期ということは、ウソは通用しない、ということです。

言行不一致は、舛添さんのように遅かれ早かれ露呈します。ネットであらゆる情報がオープンになりつつあるからです。

例えば、舛添さんの政治資金収支報告書は、総務省のサイトで見ることができます。「グローバルネットワーク研究会」です。

 

信頼されるメディアを育てていくために

あなたのことを鋭く追及してくれるマスコミ記者が側にいないなら、なおさら意識して、客観的、公共的な視点をオウンドメディアに内在化させるべきです。

人はどうしても自分が可愛いものです。誤りを認めたくなかったり、増長したりすることもあるでしょう。

そうしたことも引っくるめて、真摯な言葉を紡いで発信していくことで、読む人々と長期的な信頼が築かれていきます。

新聞やテレビがこれまで一定の信頼を得てこられたのも、客観性と公共性に根ざした真摯な言葉を記者たちが積み重ねてきたからだと考えます。

これと同じことを、御社はオウンドメディアでコツコツ積み重ねればいいのです。

 

インターネットでは、マーケティング手法としてSEOや検索連動型広告がもてはやされました。

ちょっと前まではこうした手法で、「読ませたい情報」を消費者やネットユーザーに食いつかせることができたかもしれません。

しかし、グーグルの検索エンジンは精度を増し、ゴミ情報を淘汰しつつあります。

ユーザーに利益のない情報は、検索の上位に表示されないようになっています。小手先のSEOテクニックはもう効きません。

そして、検索連動型の広告も効果が落ちています。

最初は何も知らずに検索結果に表示された広告をクリックしていた人々も、リテラシーが高まり、「これは広告だ」とスルーするようになっています。

 

コンテンツそのものの質を高める以外に、道はない!

結局、行き着くところは、小手先のテクニックやお金でワクを買うような発想ではなく、「コンテンツそのものの質を高めていくこと」以外にはありません。

ウォールストリートジャーナル日本版の西山誠慈編集長も、ニューズピックスの対談で

今はスマホなり何なりで、いろんな情報がすぐ選べます。そういう中では、すごく質の高いもの、もしくは個性の強いものでないと生き残れないと思います」

と語っています。

逆に言えば、真摯に読者に寄り添うコンテンツを備えたオウンドメディアこそが最強です。

他の媒体や広告屋に一切影響されず、集客や売上をすべて自社でコントロールできるのが理想です。

それを自社メディアできる自立した会社と、他のメディアに依存することでしか存続できない会社とに、今後分かれていくでしょう。

オウンドメディアを持たない、という選択肢はないはずです。まだやっていないのなら、それを始めるのにベストなタイミングは今すぐです。

これからオウンドメディアによって、ますます本物が浮き彫りになっていきます。

だから、個人的にはとても楽しみな時代になると考えています。

 

 

 

 


手紙を書いてマスコミにPRする方法(自由国民社)



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