広報とはどんな仕事?広報の役割や種類など徹底解説します
これを読んでいるあなたはきっと、広報の重要性に気づいた感度の鋭い方でしょう。
大きな企業では広報部は珍しくありませんが、最近は中小企業や成長を目指すスタートアップ企業の間にも、広報を始めるところが増えています。
「広報をやるといいらしい」
と気づく人が少しずつ増えています。
そこで、この記事では広報に関心を持ち始めたあなたのために、広報について説明していきます。
この記事を読めば、広報の全体像がお分かりいただけると思いますので、ぜひ参考にしてください。
目次
広報の意味とは
まず、広報とはそもそもどんな意味で、どういう役割があるのでしょうか?
この項目では、広報の本来の意味合いに加え、広告やPR、IRといった近い概念の言葉との違いについて説明していきます。
広報とは
広報とは、社内外の人たちと良好な関係を築いていくために、必要な情報を届けていく活動を指します。
広報でよくイメージされるのが、報道機関(新聞、テレビなど)への対応でしょう。ただ最近は、ウェブを通じたコミュニケーションも重要になってきています。
広報の仕事は、企業の取り組みや理念のほか、商品・サービスなどを外部に発信することが主なものです。
ただ、それは単なる一方的な宣伝活動とは異なります。
「世の中の視点はこうですよ」と翻訳して社内に取り入れつつ、「わが社の視点はこうです」と、翻訳して世の中に発信する。
優秀な広報マン・広報ウーマンは、自社と世の中を客観視できるバランス感覚が、とても優れています。
いわば広報は、会社と世の中をつなぐ架け橋であり、窓口であり、翻訳者でもあるのです。
広報とPRの違い
では、広報とPRはどう違うのでしょうか?
PRとは「パブリック・リレーションズ(Pulic Relations)」の略です。
ただ実は、広報という言葉の語源も、なんと同じPulic Relationsです。
「あれっ、それじゃ広報とPRって、もともと同じ意味なの?」
と驚かれたかもしれませんね、その通りなのです。
とはいえ、2021年現在の日本では、少し違った意味合いで広く理解されているようです。
・PRは、企業などの組織と、社会との関係を良好にするための活動全般。
・広報は、主にマスコミなどメディアに対して自社の情報を届ける活動。
このため、「広報は、PRという大きなくくりの中の一つ」と理解されることが多くなっています。
広報とIRの違い
IRは、Investor Relations(インベスター・リレーションズ)の略です。
つまり、投資家に対して、経営状況などをお知らせする活動を指します。
広報は、対象が幅広く、自社の情報を多くの人に伝えます。これに対して、IRは投資家に対象を絞っているわけです。
スタートアップ企業を始め、投資を必要とする企業にとって、投資の獲得はビジネスに大きく影響しますから、IRは非常に重要な活動と言えます。
広報と広告宣伝の違い
広報と広告は、言葉が似ていることもあり、あらゆる場面でよく混同されます。
しかし、中身はまったく異なる概念です。
平たくいえば、広告は「お金を出して、メディアに掲載してもらう」性質のものです。
これに対して、広報は、広告と異なり、メディアに対して金銭を支払うことは基本ありません。
私も長く新聞記者をやり、広報担当者に数多く取材をしましたが、一度もお金をもらったことはありません。
広告は、英語ではAdvertisement(アドバタイズメント)といいます。
テレビやウェブ、新聞、雑誌などを使って、自社のプロモーション情報を発信していきます。
新聞社やテレビ局の社内には広告部門があり、こちらでお金のやり取りは行われます。
ですが、記者がいる取材部門とは、明確に区別されているのです。
企業にとって広告の目的は、基本的に「販売の促進」「売り上げの増大」です。
これに対し、広報はメディアや生活者との間に「良好な関係をつくる」という裾野の広い活動です。
もちろん広報の結果、売上が劇的に伸びることもよくあります。しかしそれは、あくまで結果なのです。
広報の目的とは
広報を始めるに当たっては、その目指す目標をしっかり明確にしておく必要があります。下記に、広報の代表的な目的を紹介します。
企業と社会の架け橋となる
広報は、会社の情報を広める役割があります。が、それだけではありません。社会からの声も取り入れ、双方の窓口になることがあります。
つまり、社内の人たちと社会をつなぐ架け橋です。
こうした広報を行うことで、社会とわが社の関係を良好にしていくことは、広報の重要な目的の一つです。
コミュニケーションを円滑にする
広報によって、自社の情報を広く発信しつつも、時には社会から投げかけられた声の社内へのフィードバックが必要な時もあります。
こうして社会からの声や意見に耳を傾けることで、その後の情報発信がより受け手に好意的に受け止められやすくなります。
一方的な情報発信をしては、自社への理解は深まりません。会社と社会、双方向の意思疎通を図流ことで、円滑なコミュニケーションを実現します。
自社のブランディング形成
ブランディングとは、自社のイメージを良くし、ユーザーからの共感を獲得するものです。
わかりやすく言えば、「お客様から惚れられる」ことと言っても良いでしょう。
各種メディアを通じて、自社の好意的な情報を広げることは自社のブランディングにつながります。これも広報の大きな目的の一つです。
メディアとの関係を良好にする
メディア各社は、自社の情報を伝えるために、とても大切な存在です。
メディアには新聞、テレビ、雑誌、ウェブ媒体など様々あります。そして記者や編集者、ディレクターなど様々な職種の人々がいます。
彼らの仕事を正しく理解し、良好な関係を築くことは、広報において極めて重要です。
メディアとの間で信頼関係が構築できれば、わが社について好意的な報道が増えます。
広報には2種類ある
広報には大きく分けて社内広報と社外広報の2種類があります。
いずれも、根本的な役割や目的は同じですが、情報を届ける対象が異なってきます。
社内広報、社外広報について解説していきましょう。
社外広報とは何か
社外広報とは、その字の通り、会社外に向けた広報活動です。
情報を発信することで、自社のブランディングを図っていく取り組みと言えます。
ですので、その対象は、生活者、取引先、メディアとなります。
では、具体的にはどうやってそれを行うのでしょうか。
基本は、新製品や新サービス、あるいはイベントを発表する「プレリリース」の作成になります。
そしてプレスリリースを作成したら、それをメディア各社に届け、記者らとコミュニケーションを図ります。
さらには、自社のブログやオウンドメディアを開設し、そこから情報発信を行う会社も最近は少なくありません。
また、SNSを通じてネットユーザーと交流を図り、わが社のファン開拓に努めたりもします。
社内広報とは何か
社内広報とは、文字通り社内の人々に向けた情報発信の活動です。
大きな会社になるほど、人が多くなるため、お互い知らない人同士がどうしても増えてしまいます。
そして業務としても、自分の部署以外がいったい何をしているのか?分からないことも多くなります。
そこで、社内にどんな人がいて、どんな仕事をしているのか?情報を届けることは、会社経営においてとても重要になってきます。
それに加え、福利厚生や社内向けのイベント、部活動に関する情報など、従業員に必要な情報を伝えます。
そうした社内広報により、会社への帰属意識や一体感、コミュニケーションの促進を図ることができます。
広報の具体的な仕事内容とは
それでは、広報を行うにあたって具体的にはどんなことをやるのでしょうか。それぞれみていきましょう。
情報発信
これはまさに広報の基本と言える活動です。これをやらなければ始まりません。
自社の扱う商品やサービス、あるいは自社そのものについて、わかりやすい文章にまとめ、発信していきます。
このため、文章作成能力、ライティングスキルが求められます。
発信手段としては、新聞テレビなどマスメディア向けのプレスリリースのほか、自社のホームページやSNS、ブログなど多岐にわたります。
上記のほかにも、社内向けに広報誌を作り、社員に届けていくケースもあります。
イベント企画
イベントを企画することは、広報活動にとって有効な手段の一つです。
一つの明確なテーマを設定し、日時・場所を定めることで、特定のターゲットの人たちにアピールすることができます。
イベントは、「一般の消費者向け」だけでなく、「取引先の企業向け」というケースもあります。
場合によっては、マスメディアの記者たちを招待して行われるイベントもあります。
さらには、企画はリアルイベントに限りません。人々の注目を集めるために、広報は様々な企画を打ち出していくことが求められます。
例えば、調査アンケートの実施や、SNSを通じた交流イベントなどです。
記者会見を開催する
世の中に向けて広く発表したい事案がある場合は、メディア各社に声をかけ、記者会見を開きます。
会見を開くには、ホテルや会議室などの会場を押さえ、当日の司会やスタッフを手配したり、会見の段取りを決めたりするなど、やることが多数あります。
このため、PR会社やイベント会社に依頼する会社も少なくありません。
ただ、外注すればそれなりの費用がかかるため、自社ですべてまかなって開催するケースもよくあります。
2020年からの新型コロナウイルス感染症が広がって以降は、密を避ける意味で、オンラインで記者会見を行う企業も増えています。
社内に広報がいるメリット
広報の機能は、外注せず、社内に置くべきです。なぜなら広報は、経営の根幹に関わってくる重要な役割を担うからです。
社内に広報がいるメリットを以下に列挙します。
社会における信頼度が上がる
自社の良さは、自社の社員が一番よく理解しています。自分たちの言葉で、熱意を込めて社会にメッセージを届けることができます。
この「メッセージを直接届けられる」という点は大きな意味があります。
広告であれば、どうしても消費者に買ってもらおうとする企業側の思惑が込められてしまいます。
そして当然、消費者ら広告を観る側も「宣伝」と受け止め、100%信じることはありません。
それに対して、広報は、企業が持つ思想や理念、思いをトータルで伝えていくのに適しています。
信頼性の高い新聞やテレビで取り上げられることで、社会的な信頼度が劇的に上がります。
だからこそ、自社で広報を行うことには、広告とは格段に異なるメリットがあります。
従業員の満足度が高くなる
社内に向けた広報を効果的に行うことで、車内のコミュニケーションが円滑に進むようになります。
同僚の動向や、経営者の考えが浸透することで、車内の一体感も高まっていきます。
企業としては、従業員に知らせているつもりでも、実はほとんど理解されていない情報は多いものです。
だからこそ、企業の規模が大きくなるほど、社内広報は大きな意味を持ちます。
さらには、社外に向けた広報によって、多くのメディアで取り上げられることで、社員のモチベーションも劇的にアップします。
「社会から注目を浴びる会社で自分は働いている」という実感を得られ、「この会社で働いて良かった」と感じるようになり、従業員の満足度が高まっていきます。
もちろん、広報が成功すれば、「この会社で働きたい」という人が増えるため、優秀な人材の採用においても効果を発揮していきます。
長期的に売上アップに貢献する
情報発信に力を入れる企業が増える中、広報をうまくできるかどうかが、企業の生き残りを左右する時代になってきています。
ただ、広報は目先の短期的な売上アップを期待するものではありません。
確かに、場合によっては、テレビ等で取り上げられて「数日で売上●●倍」というケースはあります。
しかし、そうした短期的な売上ばかりを追うと、広報の発信内容が「宣伝」となってしまいます。
単なる宣伝は、メディアや一般消費者から嫌われ、信頼を失い、長期的な経営を危うくします。
広報は長い目で正しく行うことによって、社会と良好な関係が築けるようになります。
社会における信頼度が高まることで、好意的な報道やメディア露出が増え、長期的な売上のアップにつながっていきます。
まとめ
ここまで、広報について様々な角度からお伝えしてきました。いかがでしたでしょうか?
情報が爆発的に世の中で増える中、自社のことを正しく伝え、社会的な信頼を築き上げていく広報の役割は、ますます重要性を増していくと考えています。
広報を正しく行なうことで、自社のブランディングにもつながります。
さらには、広報は社員のモチベーション向上に寄与するうえ、優秀な人材も採用しやすくなります。
長期的にビジネスを成功させて行きたい経営者は、すぐにでも広報に手を付けていくべきでしょう。
ぜひ広報に取り組んでいただき、御社の情報を必要とする人たちに向けて、情報を発信していかれてください。
この記事は、元読売新聞記者で、元電通PRシニアコンサルタント、Yahoo!ニュースに多数記事を書いた坂本宗之祐(そうのすけ)が執筆しました。
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