自治体職員の広報成功事例。“聖地”になった大分県中津市に勤務した元全国紙記者の体験談
全国の自治体様から、広報についてご相談をいただく機会が増えています。
私は読売新聞記者時代から、いくつも地方自治体を取材してきました。大分市、佐賀県、福岡市といった記者クラブに所属したほか、北海道から沖縄まで足を運びました。
多くの首長や広報担当の方とお付き合いし、「広報が上手だな」と感心するところももあれば、そうでないところもありました。
確実に言えることは、「全国どの地方にも無数の宝が眠っている」ということです。
自治体の皆様は、ぜひ広報に力を入れ、その魅力を国内外に発信していただきたいと願っています。
この記事では、私自身の経験も踏まえ、私が考える自治体の広報のあり方について紹介します。
あなたの街の魅力を広く発信していただく一助になれば幸いです。
※この記事は、2017年12月15日に公開しましたが、2023年1月7日にリライトして再度公開しました
目次
自治体PRがうまくいった事例:「聖地」になった中津市
私が新聞記者時代、経験した自治体の広報について紹介します。
私の駆け出しは、大分県でした。初任地は大分市。そこで1年弱ほど大分市政を担当した後、県北の中津市に赴任しました。
中津市役所の皆さんは、私のような駆け出しの無知な記者にも優しく温かに迎えてくださりました。
中津市での私の経験は、後から振り返って、自治体広報のあるべき姿についての示唆が多分に含まれているとしみじみ思います。
全国津々浦々にいる地方記者は、みな不安である
私が中津に赴任したのは、2000年9月のことです。もちろん、住むのは初めてです。誰一人として知り合いはおらず、当然、「ここで自分はやっていけるだろうか…」とそれなりに不安を抱きました。
ですが、初めて訪れた市役所で、その不安は良い意味で裏切られます。
最初にお会いした広報係長が「読売の後任の方ですね」と、にこやかに迎えてくれ、市について親切に色々なことを教えてくれたのです。
今でも、この時に感じた安心感をはっきり覚えています。
行政の広報の方には、記者を警戒したり恐れたりする方も少なくありません。ですが、記者も人の子。見知らぬ人がいる取材先については、不安なのです。
記者は、人とのつながりが飯のタネです。腹を割って話せる相手をどれだけ自分は持てるか?に常に関心を持っています。
だから、この親切な広報担当の方に会えた時、「何とか自分はこの街でやっていけそうだ」と安堵感を覚えたのです。
全国的に有名になった「中津からあげ」のきっかけ
会社にも、それぞれの「社風」があるように、役所にもそれぞれの市風?といえる職員の雰囲気があります。
当時の中津市役所は、風通しの良い市風がありました。良い意味で役人らしからぬ、人間味のある職員の方が何人もいらっしゃったのです。
広報職員にSさんという方がいました。彼と仲良くなり、一緒に地元の草ラグビーで汗を流すようになりました。
その彼と居酒屋で飲んでいる時、私は何気なしに「そういえば、中津ってから揚げ屋さんが多いですよね」と言いました。
すると彼は「そうで、坂もっちゃん」と、ぐっと身を乗り出してきました。
「中津の唐揚げは安くてうまい。誰もケンタッキーやら買わんけん、何年か前に店が無くなった。中津はケンタッキーが全国で唯一、撤退した街なんで」
と自慢げに語ったのです。
飲み屋でのよもやま話ですから、笑い飛ばしてその場では終わったのですが、後日、「待てよ、もしかしたらこれは記事のネタになるかもしれない」と考えるようになりました。
それから、中津から揚げのルーツについて取材を始めました。
記者の取材に協力的だった観光商業課
いざ取材を始めてみると、中津から揚げに関する情報が全然ないことに戸惑いました。
当時はから揚げの業界団体などありませんでした。だから、市内にどれだけから揚げ屋さんがあるのか?その成り立ちはどういう経緯なのか?まったく分からないのです。
過去、メディアで取り上げられた記事がないか?も調べましたが、これもありません。市役所の商業観光課に尋ねても「情報ないですね…」と戸惑いの表情を浮かべました。
ですが、商業観光課のHさんは偉い人で、「分からない」で終わりにせずに、「坂本さん、私も中津から揚げのこと知りたいので、一緒に調べましょう」と言ってくださったのです。
そして、市内の養鶏業者や卸会社、そして最も古い店舗ではないかとみられるお店を紹介してもらい、一緒に取材に回りました。
そのおかげで、中津から揚げについて1本の記事がまとまり、ついに夕刊の一面に掲載されました(九州・山口地区)。
以来、他の全国紙や福岡のテレビ局が中津から揚げを取り上げるようになりました。地方B級グルメのブームにも乗って、いつの間にか「中津から揚げ」は様々なメディアで取り上げられ、メジャーになっていったのです。
その知名度は全国区となり、2010年頃から東京の商店街でも中津から揚げのお店が復数、出店。
渋谷区の広尾商店街や、大田区の戸越銀座商店街で「中津から揚げ」の看板を見たときは、「なんでこんな所に?!」と腰を抜かしそうになる程驚きました。
さらには、大手コンビニチェーンの弁当にも中津から揚げが採用されたのです。
今や、中津市は「唐揚げの聖地」として、全国的な知名度を誇っています。
自治体が目指すべき広報のあり方
中津市の事例には、他の地方にとっても、学ぶべきところがたくさんあります。
1 面白い素材・ストーリーの掘り起こし
まず、全国区になる可能性を秘めたダイヤの原石が、どんな地域にも眠っています。
ですが、地元の人たちはそれに毎日接しており、「当たり前」になっているが故に、その価値に気づけていません。
中津では、小規模なから揚げ店が街のあちこちにあったのですが、それは地元に人たちにとっては、「当たり前」の日常風景だったのです。
「自分たちには、何も価値や強みはない」という思考は、自治体に限らず、企業や個人でも陥りがちな思い込みです。
まずは、この思い込みを打破する必要があります。
そしてさらには、その素材の魅力を劇的に浮き彫りにするのが、「ストーリー」です。
ストーリーも、多くの人々はみすみす見逃して埋もれさせてしまっています。
中津の場合、「日本で唯一ケンタッキーが撤退した街」というストーリーがありました。
このストーリーがあったからこそ、中津は伝説的な唐揚げの聖地として押し上げられていったと言えるでしょう。
2 外部の視点を取り入れる
地元にとっての「当たり前」を、外部の人の目にさらします。すると、高い確率で「当たり前ではない」点を見出してくれます。
よそ者の視点は重要です。記者は多くの場合、「よそ者」です。そして他の地域についてもよく知っています。
だから、あなたの街を相対化して、その強みや弱みを的確に捉えてくれます。そうした彼らの意見に耳を傾けることが、思わぬ価値の発見につながります。
ですので、記者を煙たがるのではなく、むしろ彼らを積極的に招き入れて話をじっくり聞いてみてください。
記者の視点を柔軟に取り入れることは、自らの街の価値や魅力の再発見に繋がります。
3 職員の積極的な取材への協力
私の経験上、多くの行政機関では、メディアの取材に対して積極的だったところはそれほど多くありません。
わかることは教えてくれるけれど、「分からない」となると面倒くさがって、それ以上の情報を出しません。
ですが、中津の当時の観光商業課は、「分からない」で終わりにせず、「一緒に調べましょう」とまで言ってくれました。
その結果、中津が潜在的に持っていたオンリーワンの素材を掘り起こす記事ができあがり、中津から揚げが全国の人々の知るところとなりました。
そもそもの取材のきっかけは、広報職員のSさんが教えてくれた「ケンタッキー撃破」という“から揚げ都市伝説”でした。
彼が教えてくれたちょっとした情報が、取材の端緒になったのです。
日常的な記者とのコミュニケーションの積み重ねが大切だということですね。
自治体は、どう広報戦略を立てたら良いか?
1 明確なゴールの設定
これまでの話は、新聞記事から始まって情報を全国に広げる、という話でした。現在はマスメディアに限らず、ウェブを使った多様な情報発信のやり方があります。
ただ、どの方法・ツールを使うのか?も大事ですが、もっと重要なのは、「何を伝えたいのか?」をはっきり明確化させることです。
自治体に限りませんが、そもそもの話として、広報に取り組む当事者が「何のために、広報に取り組むのか?」を明確にできていないケースがよくあります。
ですので、最初にやるべきなのは、「明確なゴールの設定」です。
自治体によって、人口や職員数も全然違いますし、置かれている状況はそれぞれ異なり、取り組むべき課題も異なります。
ですので、首長も交えて、その自治体では何のために、どういう成果を目指し、誰にどういう情報を発信するのか?ということを組織として意思統一することが大切です。
2 わが地域の特性を客観視する
さて、上記1のゴールを設定するにあたっては、自らの強み・弱みを客観的に把握しておくことがとても大事になります。
わが地域の特性や、社会情勢を直視しないまま、単なる願望で「こういう情報を広めたい」と決めても、ニーズのない情報を広報によって広めていくことは困難だからです。
例えば、「企業誘致」を目指す自治体は少なくありません。しかし、客観的に見て、本当にあなたの地域に企業が進出することに、他の地域と差別化できる絶対的メリットはあるのでしょうか?
あなたの地域が得をしたい、というだけの視点からの情報発信では、情報を広げていくことはできません。その手段は広報ではなく、お金を払う「広告」になります。
広報活動は、必ず相手がいます。それはメディアの記者だったり、ネットユーザーだったりします。
彼ら情報の受け手にとって、魅力的に映るコンテンツはどういうものか?をきちんと考慮に入れて発信すべきコンテンツを考える必要があります。
多くの地域では、その土地に長く住む人が発想すると、どうしても受け手との目線がずれてしまいます。そして、現実と乖離した空想的なゴールを設定してしまい、たちまち頓挫してしまいます。
3 埋もれた素材の掘り起こし
上記の中津から揚げの例もそうですが、地元の人にとって何気ない日常の風景の中に、とても魅力的な素材が埋もれているということが往々にしてあります。
私は今でも日本中の見知らぬ土地を訪ねるのが好きです。特に、情報のない無名の土地を訪ねる時は非常にワクワクします。
必ず面白い歴史や文化、名物があるからです。
地元の人が「えーこんなの珍しくも何ともないよ?」という素材にこそ、心惹かれます。
地元では当たり前だけど、全国的には無名。これは化ける可能性があります。
なぜなら、ほとんどの人にとって知らないことを伝えるのが「ニュース」だからです。
本当に面白い素材とストーリーが全国に無数に埋もれています。きっと、あなたの街にもあります。これは自信を持って言えます。
4 最適な情報発信手段・ルートの決定
さて、ゴールが決まって、発信すべきコンテンツも決まった、とします。
そこから、具体的にどのメディアからどう発信していくか?の方法論を検討します。
これも、地域やゴール、コンテンツによって取るべき最適解は異なってきます。
若い世代に向けに訴求したいテーマで、ビジュアル映えするコンテンツがあるのなら、ユーチューブなどの動画を選ぶのも良いでしょう。
社会性、時事性のあるテーマなら、新聞やテレビの報道で取り上げてもらいやすい、というのはあります。
また、大都市圏と離れたローカル自治体であればあるほど、実は新聞やテレビで取り上げられやすいというメリットがあります。そういう地域特性があるのなら、それを最大限生かすべきです。
一方で、どの官庁もこれからはウェブメディアを最大限、有効に使うべきです。
ウェブメディアでやるべきなのは、個人的には「メルマガ」や「LINE」などのプッシュ型のメディアだと考えています。
というのも、ホームページには特段の用事がなければ、人はわざわざ訪問してくれません。
また、フェイスブックやツイッターなどのSNSは、投稿が「流れてしまう」ため、コンテンツとして残りません。
これに対して、メールマガジンやLINEであれば、こちら側が読者に対して連絡を取りたいタイミングで、「訪問」していくことができます。
攻めのウェブツール。でありつつ、受け手は好きな時にいつでも読める手軽さがあります。
この10数年で多くのウェブツールが生まれては消えて行きました。しかし、メールマガジンはインターネット黎明期から、いまだに根強く残るウェブメディアです。それだけの合理性があります。
もちろん、漫然と中身のないメールを送り続けていては、すぐ「迷惑メール」扱いとなり、誰も読まなくなります。
読者にとってメリットのある情報を地道に届け続けることで、メルマガは読者と長期的に良好な関係を築いていくことができます。
かく言う私自身も、メルマガ(読者数8000人弱)によって今の私の事業が成り立っていると言っても過言ではありません。
県庁の広報と、市役所の広報の違い
さて、私は中津市のような小規模自治体のほか、佐賀県や福岡市といった大規模な自治体の取材を担当した経験があります。
記者クラブ担当になると、ほぼ一日中、記者クラブに詰めて県庁・県議会の取材に明け暮れます。
取材する側としても、大きな組織と小さな組織ではやはり全然違います。広報としても、都道府県と市町村では、情報発信の取り組み方は大きく変わるでしょう。
その1 エリアの広さ
当然、都道府県は広いです。そして、その中に多様な市町村があります。
公共性が重視される行政ですから、地域によって扱いに差をつけず、エリア全体を満遍なく扱う、ということをどうしても求められます。
平成の市町村合併で、市町のエリアが広がりました。いまだに旧地域間の壁が残り、行政遂行に当たって気をつかう市町も少なくありません。
それでも、都道府県と比べるとまだマシかもしれません。面積が広く、歴史や風土の異なる地域を抱え込んでいるため、平等な扱いになるよう気を使っています。
その結果、情報のパッケージは「幕の内弁当」のような何でもありの詰め合わせとなります。
その結果、「何も印象に残らない」という典型的な情報発信の失敗パターンに陥ります。
その2 現場のあるなし
市町村の行政は、住民と直接的に接する機会が多くあります。このため、取材する記者にとっても、現場の取材をする機会が多くありました。
メディアにおいても、一般的に好まれる取材対象は「生々しい現場の動き」です。
特にテレビでは、現場で画が撮れるかどうか?によって番組で取り上げられるかどうかが分かれることが非常によくあります。
その意味では、現場を紹介しやすい市町村の広報は有利な面があります。
一方で都道府県は現場から離れており、発信する情報は、机上の政策的なものがどうしても多くなります。
「抽象的」な話は、どちらかと言えばメディアに好まれません。メディアが欲しいのは「具体性」なのです。
その3 「日本初」の打ち出しやすさ
さて上記の通り、エリアが広く現場から離れた都道府県は、広報において市町村よりも不利な側面があります。
とはいえ、都道府県には市町村よりも有利なポイントがあります。それは、「全国初」を打ち出しやすい、という点です。
メディアは「・・で初めて」を好む性質があります。読者・視聴者に分かりやすく、見出しが立ちやすいからです。
何といっても、都道府県では同列のライバルはたった「46」都道府県しかないのです。
他の46がまだやっていないことをやればいい。すると、ニュースになります。
これに対して、市町村は全国に「1718」あります。市だけで見ても、790市。
これだけの数がある自治体の中で、初めての施策を打ち出すのは容易ではないでしょう。
自治体広報の課題
自治体の広報が抱える課題について、書き出してみます。下記の5つです。
1 ニーズに合っていない情報を出している
2 内部の情報取集ができていない
3 目標設定ができていない
4 住民を巻き込めていない
5 組織内の広報マインドの欠如
では、それぞれについてみていきます。
1 ニーズに合っていない情報を出している
自治体の広報の方から、マスメディア記者に対して次々とプレスリリースが届きます。
しかし、それらの多くは「役所が報道してほしいこと」であって、記者が記事にしたいこととはずれていることが多く見受けられます。
昔なら、役所が広めたい情報をそのまま出すだけで、新聞テレビに報道してもらい、人々に知ってもらうことができたかもしれません。
しかし今はネット時代となり、人々は「自分が読みたい記事」しか読まない時代になっています。
そのため、広報においても世の中のニーズを意識した情報発信にしていく必要性がいっそう高まっていると言えます。
2 内部の情報取集ができていない
広報の担当職員は、当然プレスリリース案件について表面的には知っているものの、役所内の各担当課で取り組んでいる仕事について、深い情報は知りません。
だから、記者にとってほとんど広報課の職員は「プレスリリースを持ってくる人」に過ぎず、実際の取材はそれぞれの担当部署に話を聞きに行くしかありません。
どの役所内にも、膨大な情報が眠っています。しかしそれを組織の広報として有効に活用できているか?かなり疑問です。
日常的に記者と接触する広報の職員が、もっと記者に有用な情報提供ができれば、テレビや新聞を始め様々なメディアでもっと面白い記事が増えるはずです。
だから、広報担当の職員の方は、くれぐれも単なるプレスリリースの伝達屋さんで終わらないでください。
役所が取り扱う情報は非常に多岐にわたります。それらすべてを少数の広報職員が把握するのは難しい、と思われるかもしれません。
それでも、各新聞社は記者1〜2人ほどで担当役所の情報を網羅的にカバーしているのです。
記者の情報収拾のやり方が少しは参考になるかもしれないので、紹介します。
その1:議会の議事録を読みまくる
記者がその役所を担当するのは、せいぜい2年前後です。いきなり担当となって、その役所を網羅的に取材していかないといけません。
幹部や議員と話をするのに、「何も知りません」では取材になりません。ですので、暇があるときは図書館などで過去の議事録を手にとって、読みふけっていました。
本会議の一般質問はもちろん、各常任委員会、特別委員会のやりとりを追いながら、過去の経緯から含めて頭に叩き込んでいきました。
もちろんすべてを読み込むことはできません。ですので、ニュース価値を勘案しながら、読む対象を選別します。
漫然と情報を頭に入れてもムダです。「どこかにニュース性のあるネタはないだろうか?」という視点で、アンテナを研ぎ澄ませて読み込んでいくのです。
その2:議員先生に「今気になることは?」聞きまくる
過去の動きだけでは当然、ニュースになりません。 ですので、過去の経緯を踏まえて、水面下で今どんな動きが起きているのか?をキャッチする必要があります。
そこで、私は頻繁に議会に足を運ぶようにしていました。議員先生は地元に密着しています。地元の生の動きを知っている上、お役人から情報を得やすい立場にあるからです。
議員に合う際も、漫然と会いには行きません。「この議員には、これとこれを聞こう」とある程度、目星をつけておきます(「何か面白いことはないですか?」は、記者として最悪な質問です)。
その上で、「先生が今もっとも関心があるのは何ですか?」と聞いていました。すると、思いもよらぬニュースのタネをキャッチできることがありました。
3 目標設定ができていない
それぞれの自治体の置かれた状況によって、誰に?どんな情報を届けるべきか?事情が異なります。
では、うちの自治体は誰にどんな情報を発信することで、どういう未来を実現させたいのか?根本的にこの部分が設定され、組織内で意思統一できていないケースが大半のように感じます。
4 住民を巻き込めていない
役所で面白い企画やアイデアをやろう、という動きはたまにありました。しかしそれは、首長や担当者ら内輪だけで盛り上がり、肝心の住民がついてきていない。こういうケースも往々としてあります。
ネット時代にあって、情報流通のあり方が大きく変わっているにもかかわらず、昔ながらの「お上マインド」が抜けきっていない、と感じることがあります。
5 組織内の広報マインドの欠如
上記にも関連しますが、役所全体として、外部に向けて積極的に情報を発信していこうという意思統一ができていないことが多いです。
役所ですので、がんばっても自分の給料は増えないし、無難に仕事をしておけばいい、危ない橋を渡る必要はない、という雰囲気は、程度の差こそあれ、どの役所にも大なり小なり存在します。
一方で、日々生き残りをかけて仕事をしている民間企業の人たちの方が、広報マインドを持っていることが多いです。
そこには「伝えたい!」という情熱があるのです。役所と勢いのある民間企業、その「温度差」は広がるばかりのように感じます。
ぜひこうした民間企業に学んでいただきたいと感じます。
全国各地の情報発信事例
・鹿児島よかもん再発見(鹿児島県)
・とっとりずむ(鳥取県)
・鞆物語(広島県福山市鞆の浦)
まとめ
記者時代から、「よそ者」として数多くの土地を訪問してきて感じること。
それは「日本中どの地域にも、非常に面白いネタが多数埋もれている」ということです。歴史や文化、自然、人物など、多様性にあふれています。
ですが、そうした無数の財産をいわば「当たり前」のものとして見過ごし、うまく生かせていないケースがとても多く目につきます。
「うちは田舎でなーんもない」という自虐心も相まって、突き抜けきれない地域がたくさんあります。
しかし、地方には、とてつもない可能性が眠っています。その魅力は国内にとどまらず、海外にも訴求できる力を秘めています。
特に、地球上すべての人々が情報発信を始めた今、声を上げなければ、「存在しないのと同じ」とみなされてしまう時代なのです。
だから、ぜひ情報発信をやりましょう。
まず、発信できる素材を見つけるために、外部の目を取り入れてください。その手段として、「よそ者」である記者をうまく使ってください。
それから、広報の皆さんは記者のように腰軽く動き、庁内の人々と良好な関係を築いてください。
広報で最重要なのは「ネタ」です。ネタがなければ情報発信できません。ネタがもたらされるのは、人とのつながりなのです。
何よりも、広報活動は楽しむことがとても大事だと感じています。楽しそうなところに人は集まってきます。
効果的な情報発信を行い、地域住民も巻き込んで、ぜひあなたの地域を盛り立てていただきたい、と願っています。
(参考記事)
・福島県南相馬市役所で、“ニュース価値を生み出す”広報研修を行いました
・北海道・帯広市役所で管理職様向けに広報研修の講演を行いました
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