ジャーナリスト視点のプレスリリース書き方コツ。採用率アップさせる7つの打ち手
1日1000通を超えるプレスリリースがメディアに届く、と言われる今の時代。プレスリリースの大半が埋もれ、読まれていないのが実情です。
私も読売新聞記者の頃、膨大なプレスリリースを受けてきましたが、その多くは取材する気が起きないものばかりでした。
失敗の原因は、「企業目線が強すぎる」からです。企業の“売り込みたい”意図に、記者はドン引きしているのです。
プレスリリース成功のコツは、「記者の視点に立つ」ことです。
99%のプレスリリースはこれができていません。
この記事では、記者目線でプレスリリースを書くた7つのコツを具体的に解説します。
この記事をじっくり読んで、その他大勢のプレスリリースから一気に抜け出してください!
目次
コツ1:記者になったつもりで書く
プレスリリースの究極のコツは、「記者になったつもりで書く」ことです。
プレスリリースを書き始める前に、以下のように考えてください。
・あなたは客観的な立場から事実を伝えるジャーナリストです
・1個人、1企業のエゴから離れ、社会全体のためにニュートラルな情報を伝達します
私は新聞記者時代、いつも意識していたのが「読者」「社会」でした。
「読者さん、世の中のために、有益な情報を届けるんだ!」
と考えていました。
いわば、パブリック(公共)な仕事をしている、という感覚です。
ですから、
・自社のために
というスタンスをいったん忘れ、
・公共のために
というスタンスで、書いてください。
プレスリリースを書く、ということは、あなたは社会に対して情報を届けるという、社会的な行為を行おうとしているのです。
「自分はジャーナリストなんだ」と使命感を感じてみましょう。すると
“客観”、“ニュートラル”という視点にあなたは近づきます。
「そういえばうちの会社って、客観的にみて○○○○だよなぁ」
などと、今まで見えていなかったものが見えてくるはずです。
コツ2:読者(社会全体)にとっての価値を示す
「記者になったつもりで書きましょう」と言いましたが、ピンとこない方も多いと思います。
また違った言い方をします。
・「社会にとって、価値のある情報」は何か?
・自社が持っている情報の中で、社会に役立つことができる情報がないだろうか?
と考えてみましょう。
プレスリリースは単なる企業の宣伝ではなく、社会や読者にとっての価値がなければ、注目してもらえません。
プレスリリースを書く際には、「この情報は社会全体にとって価値があるか?」という視点で内容を見直してください。
コツ3:企業エゴを排除し、事実のみを中心に書く
記者は常に、「事実を追求する」役割を担っています。
メディアの記者・編集者たちは
・怪しい情報
・うさん臭い情報
・偏った情報
というものに、極めて敏感です。情報を見極めるプロです。
だから、「主観」「企業寄り」な宣伝チラシのようなプレスリリースは、最も嫌われます。
ですので、プレスリリースを成功させたい、と思うなら、エゴや過剰な宣伝を避けるようにしましょう。
プレスリリースの書き方としては、事実に基づいた中立的な表現を使い、過剰なアピールは避けてください。
コツ4:ニュース価値(バリュー)を明確にする
記者はいつも、ニュース価値(バリュー)のあるネタを探しています。
ですので、プレスリリースでは記者が興味を持つニュースバリューを明確に示すことができれば、成功率アップに繋がります。
では、ニュースバリューとはどういうものか?
・社会にとって影響がある
・多くの人の仕事や生活にインパクトがある
・今までになかったような出来事
・予想外の出来事
・世の中の関心事の新しいトピック
…などなど、さまざまな要素があります。
端的に言えば、ニュースとは、「人に驚きや発見を与える情報」と言えます。
あなたのプレスリリースには、「人に驚きや発見」を与える要素があるでしょうか?
それがないまま、自分が言いたいことを書くのは、単なる宣伝に過ぎません。
コツ5:800文字程度でシンプルにまとめる
プレスリリースでは、シンプルな文章を書いてください。
文章量は、多くても800字程度で十分。A4判の文書1枚(多くても2枚以内)に収めましょう。
なぜなら、長い文章を書いても、記者には読まれないからです。
むしろ、長々と書くほど、「意味が分かりづらいプレスリリース」になり、成功率が下がります。
文章も、専門用語など、難解な言葉を使わないでください。
「小学6年生でも理解できる単語」で書くのが理想です。
それから、ムダな装飾も一切不要です。
プレスリリースは記者にとって、内容を一目で理解できるかどうか?で勝負が決まります。
シンプルなタイトルやリード文で、核心を伝え切ることを意識してください。
コツ6:事実が伝わる画像を載せる
記者がプレスリリースを見るのは、ほんの数秒です。
この短時間にプレスリリースを印象づけるために、画像やグラフなど、視覚的に伝わりやすい要素を加えるのは有効です。
プレスリリースで使用する写真は、「新聞の報道写真」をイメージしてください。
加工などが一切ない、ファクト(事実)をそのまま伝える写真です。
宣伝チラシのように、加工だらけの写真には、記者は強い拒否反応を示します。
なぜなら、そうした加工されたコンテンツは「事実の報道」からかけ離れた「フェイクニュース」になってしまうからです。
●プレスリリース写真のポイントはこちら
コツ7:1本のプレスリリースは1テーマに絞る
1つのプレスリリースで伝える情報は、1つのテーマに絞ってください。
「あれもこれも書いておこう!」というプレスリリースが本当に多いです。
記者時代、プレスリリースを読み始めてAの話かと思ったら、Bの話になり、Cの話まで出てくる・・・
「これ、結局何の話だ?」と意味が分からなくなり、捨ててしまったことが数え切れないほどあります。
複数の要素を盛り込むほど、プレスリリースは意味不明になります。
だから、1つのプレスリリースは必ず1つのテーマに絞って書いてください。
プレスリリースの基本5項目
プレスリリースには5つの要素があります。
①タイトル
30文字程度で、「ニュース価値」を感じさせることを意識しましょう。
プレスリリースの成否は、このタイトルにかかっています。極めて重要です。
②写真
タイトル部分の真下に、写真を載せると良いです。
記者は、タイトル文と写真を同時に見ます。タイトルと写真のセットで「ニュース価値」を伝えます。
③リード文
リード文とは、プレスリリースの導入文です。全体を要約している文章と考えると分かりやすいでしょう。
・誰が、何をします
という「主語 + 述語」をメーンにシンプルに記述してください。
④本文
プレスリリースで伝えたい内容を書きます。ダラダラと長い文章を書いてはいけません。
ポイントを絞って、長くても500文字程度でまとめ上げましょう。
なお、文章に太字やアンダーライン、赤文字など、装飾することは控えてください。
文字への過度な装飾は、逆に「宣伝ぽさ」を強調することになり、記者は読む気をなくします。
⑤お問い合わせ先
記者がプレスリリースを見て「取材したい」と考えてくれたら、この連絡先に電話やメールで連絡が入ります。
社名、所在地、電話番号、メールアドレス、担当者名、を正確に記入しましょう。
記者はここを見ている!書いた後のチェックポイント7つ
記者は毎日、大量のプレスリリースを受け取っています。
このため、極めてシビアにプレスリリースを判断します。出す前に、最低でも以下の項目をチェックしておきましょう。
① 正しいファクト(事実)を書いているか?
② 目新しさ・珍しさはあるか?
③ 社会的な背景に触れているか?
④ 売り込んでいないか?(記者は、宣伝が大嫌いです)
⑤ 客観性はあるか?具体性はあるか?(抽象的な話をしない)
⑥ 消費者向けの単なる宣伝になっていないか?(記者向けです)
⑦ タイトルだけ見て、小学6年生にも意味が通じるか?(専門用語は使わない)
プレスリリース実際の事例
①パートのお得な働き方を学ぶ「パート社員検定」を9/17リリースします
(一般社団法人パーソナル雇用普及協会)
②オタフクお好みソース使用「広島お好み焼きおにぎり」を10/1より発売
(株式会社ミツハシ)
③東京都民に置き配バッグ3000台を無償提供。都と連携して再配達削減を推進
(株式会社ナスタ)
プレスリリース書き方がわかるテンプレート3選
商品、サービス、イベントの各プレスリリースの例を紹介しましょう。
①新商品のプレスリリースの例
報道機関各位
2024年11月19日
XYZ株式会社
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新しい日常に対応する「〇〇〇〇」を発売します
〜〇〇の課題に対する解決策として開発〜
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(ここに写真)
株式会社〇〇〇〇(本社:東京都、代表取締役:坂本宗之祐)は○月○日、新製品「〇〇〇〇」を発売します。
近年、〇〇の増加により〇〇〇〇に対するニーズが高まっている現状があります。そこで当社では、〇〇の増加に伴う〇〇への対応を目的に開発を進めてきました。
製品の主な機能として、〇〇〇〇をサポートする〇〇機能が備わっており、日常生活の〇〇〇〇において利便性の向上が見込まれます。また、環境負荷を抑える素材選定により、使用後のリサイクルや廃棄も考慮されています。持続可能な素材を使用し、日常的に使いやすいデザインが特徴です。
(製品概要)
商品名:〇〇〇〇
発売日:2024年11月15日
価格:〇〇〇〇円(税込)
販売場所:全国の主要店舗および公式オンラインショップ
当社では今後も、環境への配慮やユーザーのニーズに応え社会に貢献する製品づくりを進めていく予定です。
【お問い合わせ先】
XYZ株式会社
担当者:○○○○○
電話:03-9576-****
メール:info@digitalinnovationfesta.jp
②新サービスのプレスリリースの例
報道機関各位
2024年11月19日
XYZ株式会社
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新しいビジネス環境に対応する「〇〇〇〇サービス」を提供開始
〜効率と利便性を向上させるソリューション〜
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(ここに写真)
XYZ株式会社(本社:東京都、代表取締役:坂本宗之祐)は、業務の効率化と生産性向上を実現する新サービス「〇〇〇〇サービス」を○月○日に提供開始いたします。
近年、リモートワークやデジタルトランスフォーメーションの推進により、企業のワークフローや情報管理に対する新たなニーズが増加しています。当社では、こうしたビジネス環境の変化に対応すべく、〇〇〇〇の効率化に寄与するサービスの開発を進めてきました。
「〇〇〇〇サービス」には、業務フローを自動化する機能やデータ管理をシンプルに行えるインターフェースが備わっており、企業の業務運営の効率を高めることが期待されています。また、ユーザーのセキュリティニーズに応え、安心してご利用いただける設計も施されています。
サービス概要
サービス名:〇〇〇〇サービス
提供開始日:2024年4月1日
料金プラン:月額〇〇〇〇円(税別)〜
提供方法:公式ウェブサイトにて申込受付
今後も当社は、企業のビジネス環境に最適なソリューションを提供し、クライアントの成長と変化に寄り添うサービスづくりを推進してまいります。
【お問い合わせ先】
XYZ株式会社
担当者:○○○○○
電話:03-9576-****
メール:info@digitalinnovationfesta.jp
③イベントのプレスリリースの例
報道機関各位
2024年11月19日
XYZ株式会社
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○○○○○○○イベント取材のお願い
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(ここに写真)
XYZ株式会社(東京都港区)はこのたび、「○○○○イベント」を開催いたします。
生産性が低いとされる日本の中小企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めることを急務です。
本イベントはデジタル技術の最前線を行くスタートアップ企業やクリエイターたちが革新的なアイデアや技術を共有します。
日時:2024年10月20日(土) 10:00〜18:00
場所:東京国際フォーラム(東京都千代田区丸の内3-5-1)
対象:デジタルに関心のある企業、クリエイター、学生、一般
参加費:無料
登録方法:イベント公式ウェブサイトから受け付けています
【お問い合わせ先】
XYZ株式会社
担当者:○○○○○
電話:03-9576-****
メール:info@digitalinnovationfesta.jp
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「国内メディアリスト(新聞社・テレビ局・雑誌)」
(計803)
このリストでは
・全国のテレビ局(185)
・全国の新聞社(135)
・雑誌(209)
・ラジオ局、CATVなど(274)
これらの媒体名、所在地をエクセルで一覧にまとめています。
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